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その姉妹品、危険につき──  作者: フユキ
支配階級と男尊女卑
284/547

284『シャイニングカンタに成り損ねました。( タイトルを書いて気付きましたが、かなり名前が似てる・・。)』


「ぜぇー・・ぜぇー・・」


「はぁ・・はぁ・・」




秋原家のメンバーも、ジート砦のメンバーも・・時に喚声をあげ、時に息をのみ、俺とガロスの決闘を見守っている。


戦況は・・互角だと思う。


俺は、まだまだ魔力に余裕が有るけど・・スタミナがヤバい。

流石にこの衆人観視の中で、可憐な乙女がゲロインになる訳にはイカン。


ガロスは、俺の逆だな。

スタミナに余裕は有るが、魔力切れが近いみたいで眠そうだ。

ゲーローになる様子は無いもよう。

( 万が一、食後の人達ばかりのド真ん中で、ゲーロー・ゲロインの登場なんて事になったら・・阿鼻叫喚だろう。)




「ど・・どうした・・?

ずいぶん目ぇシパシパしてんじゃないか・・」


「ふ・・ふん、貴様も魔力を無理に振り絞っているだけだろう・・?

嗚咽を隠しても無駄だ」




魔力切れで嗚咽が出た事は無いなあ・・オェ。




「幹太はねえ、一人で家をココまで動かした後にアンタと決闘してんのよ!」


「は、ははっ・・。

確かに疲れてはいるな・・今、あの娘が嘘をついていないように見えたぞ」




彩佳の台詞は嘘じゃあ無い・・が、ココで全力フル魔法を使えば、その証明になるけど───


そんな事をすれば、ガロス(まほうつかい)はたぶん納得するだろうが・・ジート砦のガロス派の人達は『俺に恐怖する』ばかりで『俺を認める』事は永遠に有り得なくなるだろう。


寄る辺無き民の旗印たる者が、民が納得していないのに民を無視して俺を認めるかは・・分かんないな。


・・しゃあない。

ココが踏んばり所か。




「来いっ、ガロス ダ アスェベタ!

俺を認めて貰うぞっ!!」


「・・ぐっ、良かろうアキハラ カンタ!」




動きは最小限に・・心の目だ。

明鏡止水の境地に立て、俺!

( ゲロインにならない為に。)




「行くぞ、アキハ───」



──ズン・・ッ──



「「・・っ!?」」




・・なんだっ!?

今、なんか地揺れみたいな・・?




「な・・なんだなのだっ!?

まさか、この大陸で地震・・っ!?」


「が・・ガロス様っ!」


「【人土じんど】の皆さん、【人土じんど村】から連絡はっ!?

魔物の群ですかっ!?」


「い・・いえ、【巫女】様!

朝に、魔物の襲来は暫く余裕が有ると・・ソレ以外の事前連絡のは何も来ていません!」




事前連絡ナシ、通信障害でも無いもようだ。

魔物の群じゃないみたいだし、ホントに只の地震か?




「ガロス、決闘は一時中断っ!

民を安全な場所へ!」


「う、うむ!」


「みんなは秋原家へ!」


「「「お・・おうっ!」」」




普段は冷静沈着なディッポ団長も、おそらくは生まれて初めての地震に焦っている。


秋原家なら耐震設計も確りしているし、土台の下の『土魔法の足』も形状変化させる事でかなり免震出来るからな。

実際ココまで、かなりの悪路でも震度2以上に揺らした事はないし。




「ふぅー・・ビビったゼ。

他大陸の商人に地震の話は聞いた事こそ有るが・・」


「ざ、ザレさん・・平気そうッスね。

ビタちゃんも」


「ニホンは地震大国ですもの。

彼方ニホンにいた一カ月強の間に今のクラスが1回、以上のが1回、以下なら数回在りましたわ」


「初めての時は眠れませんでしたが、慣れたのです」


「今のは震度3・・ってトコかな。

───ん?」




ガロスと、ガロスと共に避難した民達が戻ってくる。




「どうしたっ!?」


「広場に地割れが見つかった。

かなり丈夫な砦とは言え、廃砦は廃砦だ。

万一を考え、建築家・大工等の洗脳が解けて集まるまで・・別の拠点を探そうと思う」




ガロスは貴族の風格とでも言おうか、弱音は出さない。

・・しかし、他の民達は───

元々、逃げてジート砦へと来たんだ。


誰も彼も・・絶望の表情。




「・・仕方ない。

みんな、我慢しろよ!」


「───えっ?」




ガロス達が、俺の言葉を理解する前に・・ガロス達の立つ地面を持ち上げる。




「「「えええぇぇっ!?」」」




秋原家を歩かせる魔法を、土地だけで再現した訳だ。




「こ・・この魔法は・・この魔力は・・っ!?」


「彩佳、クワガタで周辺の土地チェック!

みなが安心出来る場所を探してくれ」


「分かったわ、まかせて!」




彩佳のナビゲートで、ココに来るまでに作った日本式道路に面した平坦な土地まで行き、ガロス達を降ろす。




「【人土じんど】の皆さん、申し訳有りませんがこの土地のチェックを。

取敢ず、ザッとだけで良いので」


「分かりました!

・・・・。

【巫女】様、周囲に『地割れ・陥没・隆起』といった異変は見つかりませんでしたよ」


「なら、土地の補強だけしとこう」




確か『マンションが傾いた』とかいうニュースでは───


地中深くの『支持層』なる、硬い地盤のトコまで支柱となる物を、必要量刺さなきゃいけない所・・ケチって必要量未満しか刺さなかった事が原因、だとかなんとか。


取敢ず、土に魔力を送り硬い層を探すと・・だいたい地下30mぐらいのトコに、明らかに硬い層を発見。


確か支柱は最低直径30cm以上、一本で100tぐらい耐えれる強さが必要とかニュースでは言っていたので、土魔法でおもくそ固めた支柱を作る。


支柱の周囲に出来た隙間を、近くの小山の土から取って埋め───また少し離れた場所に支柱を作る。


完全なる素人知識なので、この支柱で大丈夫なのか、量は足りているのか・・丸で分からないけど、高層マンションを立てる訳で無し───ソレに残存魔力量がヤバい。


支柱の上に蓋となる地盤( 建物を直接建てる部分 )を作り完成。




「ううぅ~・・眠いぃ。

が、ガロス・・決闘は・・また今度で・・良い、か・・?」


「───あ?

・・あ、ああ・・」


「ディッポ団長ぉ・・?」


「ああ、任せてサッサと寝ろ」


「さっ、御姉様!」




ザレと彩佳に両肩を支えられ、秋原家の玄関・・の辺りで記憶が途切れた。



◆◆◆



「───んっ・・」


「あっ、幹太姉ちゃん!」




えーっと・・何で自室のベッドで寝てるんだっけ?




「お早う、颯太。

今、どういう状況なんだ?」


「えーっとねぇ、幹太姉ちゃんが地面を硬くした後、ディッポファミリー傭兵団とか【人土じんど】の人達とかジート砦の人達とかが家を建ててるよ」


「・・ああ、そういや。

じゃあみんなの所へ行こうか」


「うん!」


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