283『フィクションのアクションも、わりと魔法ですよね。』
ネンマツ シンコウ ハ モウ イヤダ
ガロスは、どうやら
『男しか居ない魔法使い』と
『魔女』と『男尊女卑』の関係に心当たりが有るらしい。
ならその秘密を教えてもらおう。
「まあ・・考えようによっては上手い事仕掛けられたのかしら?
幹太の魔力は貴様のソレを超えてるらしいし、マッチポンプよね」
「マッチ何とかは分かんないッスけど、こっちに有利な条件で勝負に持っていけたッスね」
「では何時もの『美味い料理』などの準備致しますわね」
みんながほのぼのして色々やっている。
「いや・・応援してくれよ」
「アンタに勝てる人間が居るわけ無いでしょうよ」
うーん・・颯太や源太ちゃん達以外でも、ディッポ団長達には勝てないんだけどな。
チラッと、ディッポ団長を見れば・・ツマラナさそうにドカッと俺とガロスの動きが見える位置に座り「はっ」と、手をパタパタする。
さっさと終らせろ、って事かな。
ディッポ団長の隣に颯太が。
その隣にモスマンを抱き抱えたビタが座る。
「ふん。
仲間にも応援してもらえないのか、アキハラカンタよ・・剣を貸そうか?」
「いや、秋原流甲冑柔術は無手の流派だからな・・剣は良い」
「「「───・・ん?」」」
ん?
「幹太、ナニ言ってんの?」
「カンタさん?
ま・・まさか・・」
「魔法を使わないおつもりですの!?」
「そりゃ決闘だからな」
彩佳・ジキア・ザレが目を白黒させる。
なんだ?
「仲間の言う通り魔法を使うと良いぞ、アキハラカンタ。
・・たったの30人余で、小さいとはいえ───家一件を動かす魔力は大したものだ」
「あ"あ"んっ!?
幹太ぁっ、ソイツを極大爆発魔法で消し炭にしなさいっ!?」
またこの話題で彩佳が不機嫌になる・・。
勘弁してくれ。
( まあ俺が怒られている訳じゃないから良いけど。)
「もちろん、身体強化( 作用・反作用・引力・斥力 )魔法は使うさ」
「貴様がソレで良いなら我は何も言わん。
いくぞ、アキハラカンタっ!」
ガロスが剣を右側腰だめに構えたまま突進。
ソレに合わせ、左掌底をくりだし・・たのを、ガロスは死角の背中へと回転しつつ避け、斬りつけてきた。
ソレを・・剣の腹を真下から叩き上げつつ、背中で体当たり。
「魔法鉄山靠っ!」
「ぐうぅぅっ!?」
貴族的優雅な動きではない技に、不意を突かれたか・・結構、モロに入った。
が、ガロスも防壁をはっており致命傷には程遠い。
「アレも秋原流甲冑柔術ッスかっ!?」
「違うよ」
「格闘技を知らない作者の漫画によく出てくるトンデモ鉄山靠に身体強化魔法を組合わせたせいで、更に変になってる上にホントは貼山靠で───」
散々、文句を言ってた彩佳たちも・・いざ決闘が始まると、プロレス観戦の如くディッポファミリー傭兵団といっしょに決闘場の回りでワイワイやっている。
応援っつうより見世物気分だ。
『敬愛するガロス様の弟を殺した者達が来る』
───としか思っていなかったジート砦の人達も、『ガロス派』『俺達派』問わず突然始まった決闘に唖然となる。
【人土】達は用意していたうどんタネによる『うどん』や『大根煮の長芋雪鍋』を作り( 少しずつ彼等も魔力付与料理を覚えている )をジート砦の人々に振る舞い、キャンプ用イスやテーブルを用意していく。
「は・・はあ」といった感じで受け取る人、「またこの人達の料理が食べられる♡」といった人、俺達の決闘を観戦しつつ料理を平らげる頃には・・彼等の目から険はとれていた。




