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その姉妹品、危険につき──  作者: フユキ
支配階級と男尊女卑
281/547

281『あの日の国境の村で、善かれと思い、行商人母娘に教えた『ネコぐるみ』が・・巡り巡って彼女に伸し掛かり。』


弟デロスを溺愛する、兄ガロス。

そのガロスに───

デロスを殺した( 一味である )俺が呼ばれた。


「 ジート砦に来い 」という言葉と共に無線機を切られる。




「み・・【巫女】様っ!?

罠に決まっています!

ジート砦に行く必要など有りません!」


「・・・・。

ペリオラ傭兵団の副団長(アッド)さんは、ガロスの為人をどう見たか聞いていますか?」




罠・・罠か。

確かに無線機越しでガロスの魔力は見えない。

真贋が分からない。

・・けどなあ。




「・・・・。

剛健にして、貴族らしからぬ質実さを持った方だった・・と」


「そう・・ですか」




罠ならなあ・・。

あの敵意は見せないだろ───

・・というのは、思考停止か。




「罠だろうと正々堂々だろうと、敵認定されたようですしね。

俺達の行動でジート砦へと行った人達の安全の為にも・・行きます」


「・・【巫女】様───」


「俺の我儘で申し訳有りませんが、皆さん(人土)にはフォローをお願いします」


「【人土(我ら)】が【巫女】の御心のままに」




俺が頭を下げると、【人土じんど】の皆は更に深く頭を下げる。




「ディッポファミリー傭兵団のみんなにも・・」


「ああ、オレ等も団長も皆も文句は言わんよ」




戦闘職では無いので秋原家に残っていたタゥコさん(鍛冶修繕士)ナムァコさん(鍛冶修繕士)クジャラさん(衣類修繕士)が頷く。




「途中、国境の村に近づけますが」


「いえ、私もジート砦には興味が有ります」




国境の村商工ギルド職員さんにも聞くと、付いてくるとの事。

颯太と彩佳とザレとビタは・・まあたぶん付いてきてくれるだろう。



◆◆◆



〔───私も行きたいのだけれど・・〕




その日の晩、リャター夫人と連絡がつく。

ちなみに村の問題は滞りなく解決し、ジート砦に行く事は・・彩佳がやはり罠を心配して難色を見せたけど、納得してくれた。




「リャター夫人は『商会』『女学園』『孤児院』の経営で大変でしょう」


〔でも・・〕


「デロスは、【ファフニール】に取り込まれた瞬間に死んだんです。

俺達が殺したのは、デロスの『日記』を読んで影響を受けた『だけ』の【ファフニール】ですよ」




【デロスファフニール】は、ずっとリャター夫人を追っていた。

最後、俺達の攻撃により弱った奴は・・リャター夫人が止めを刺した。

『【ファフニール】に』刺したのだ。

『デロスに』、じゃない。




「大丈夫ですよ」


〔・・有難う〕




デロスはリャター夫人に。

リャター夫人はデロスに思う事は在ったんだろうけど、もう終った事だ。




〔ガロスは直属の騎士団を持っていなかったから、黒薔薇騎士団を持つザーロスと違って直接会った事は無いのよ・・〕


「・・そうですか」


〔デロスとザーロスは御互い不仲だった、というのは有名な話だけれど・・ガロスはねえ〕




どうも父である当主ダロスの補佐で内政にチカラを入れていて、ガロス本人は余り外に出なかったらしい。




「ガロスは、

『男しか居ない魔法使い』と

『男尊女卑』の関係を知りうる人物です。

まあ頑張りますよ」


〔・・お願いね〕




ソレからは、孤児たちが【人土じんど村】の保育園や小学校に入っている事。


女生徒達は中学校に通いつつ、小学生にコチラの世界の常識や歴史を教えている( 手透きの人間で教養の有る人が彼女達だけだったらしい )事などを話す。



◆◆◆



ガロスと無線機越しで対談してから、更に3つの村を解放する頃、目的地のジート砦に付いた。


俺達の来訪は・・知れ渡っていたようで、周囲には沢山の人達が集まっているな。


その表情は───悲喜交交。


ガロスに救われた人、或いはガロスの噂を聞きジート砦に集まった人は『悲』もしくは、俺達に対しての『悪感情』。


俺達が救った人達は・・まあ全員が全員、俺達の事を信じている訳じゃない。

『7:3』で『喜』ってトコか。

ジート砦全体だと逆転して『4:6』の、ちょい負け。




「ガロス様の弟を殺した者」

「平民のクセに御貴族様に逆らう者」

「女のクセに男に逆らう者」

「怪しげな魔法で亭主を洗脳した者」

「違う、あの人は酷い暴力を受けていた私達を助けてくれたのよ」

「お母さん、うどん美味しいって言ってたでしょ?」




・・ちょいヤバい雰囲気だな。

暴動が起きそうな───




「───静まれ」


「「「・・・・っ!」」」




一人の男の声が響き渡ると、俺達を取り囲む人垣が割れる。


人垣の割れた部分から現れたのは、デロスやザーロスさんを若干老けさせた・・でも感じるチカラ強さは比べ物にならない男。




「我が、

『ガロス ダ アスェベタ』だ」




190cmを超える大男。

手には・・デロスをデフォルメした感じのぬいぐるみ。


───・・ええぇ?


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