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その姉妹品、危険につき──  作者: フユキ
支配階級と男尊女卑
280/547

280『「 選ばれたそうです 」が「 エロばれたそうです 」に一瞬なってました。 ゾッとしますね。』


最初の村を救ってから十日強。

二組の行商人を追いかけ、二つの村を救った。




「だいぶ効率良くなってきたわね」


「そうだな」




村全体の探査。

行商人の限定。

ガロスの痕跡探し。

正気の人間探し。

洗脳された人の区別。

その救助。

後のフォロー。

ソレらを手際よく出来るようになってきたのだ。


その際、割りと重要なのが『異世界風うどん』で、トラウマを癒すのにも長年の栄養失調回復にも何かと便利なんだけど───




「ただ・・うどん粉は、ビタに負担かけているからなあ」


「そうね。

さりとて、コッチの小麦粉は・・ね」




『肉』や『野菜』は、野性の物で賄える。

『小麦』も異世界ピーマン並みに、何処にでも生えているので比較的簡単に手に入る。


・・けど、以前自分達だけで小麦の収穫から小麦粉の精製までやってみた事があるが───


風魔法で一斉刈り取り。

汚水から超純水を取り出す水魔法の応用で、藁だのゴミだのの分離。

圧力による精製・・とにかく面倒くさい。


その上、マズイ。


国境の村から買ったりもするけど・・コッチは色んな品種の麦を交ぜて売るのが一般的で( 金持ちは、良いの一品種小麦粉を使う )正直、『不味い・臭い・舌触りが悪い』など、『洗脳を解く(ウマイ)料理』には向かない。




「だから日本食チートをぉぉ・・!」


「どっちかと言えば、魔力さえ有れば種から短時間で植物を成長させられるビタのチートだろ」




ビタが居なかったら、早々にこの旅は詰んでいた。

( というか【人花じんか】の人達が居なかったら【人土じんど村】も。)


有難や。




「まあ、オレぁアヤカ御姉チャンの言う事も分からンでも無ェけどよ」


「そうよねっ!?」


オメェ等(にほんじん)が『優しい味』っつうのは・・この辺じゃあ『味気無ェ』っつうンだ。

オレ個人的にゃア好きだけどよ、他の連中にゃあ受けにくいンだろ」


「ううぅ~・・」




ディッポファミリー傭兵団にも女学園生徒達にも『ニホン人は素材の味を気にしすぎ』と言われた事は有る。


コッチの人からしたら、素材の味を気にするのは料理( 味付け )に自信が無いという考え方らしいしな。




「結構ディッポファミリー傭兵団のみんな、無遠慮にマヨネーズとかソースをドバドバ掛けるからなあ」




一部の調味料は不足する事は無くなった。


魔力総量が増え、魔力操作が向上した【人土じんど】達が水魔法の応用魔法で、『発酵・熟成』を短時間で出来るようになったお陰だ。

( 必要な菌だけ取り出したり、魔力譲渡したり。)


この辺、専門知識の無い俺には『想像力(魔法の奥義)』の限界だな。




「もしかして、マヨネーズを魔力付与しながら作った方がトラウマ解けたりして・・」


「・・・・」

「・・・・」


「せめて、何か言って!?」




ソレも何だか味気ないし、それはイコール心が込め辛い。

結果、魔力を付与しにくい。




「比較的ドコでも手に入りやすい野草だと、大根( の亜種で鉛筆サイズ )の煮物や、長芋( コッチはほぼ日本と同じ )をすりおろした物が胃に優しいかなあ」


「ソレはソレで流しの料理人みたいね」


「いや、【巫女化】の練習でもあるんだけど・・」



◆◆◆



「み・・【巫女】様・・!」


「どうしましたっ!?」




消化に良くない食材( 肉とか不溶性食物繊維の野菜とか )を使った昼食中、【人土じんど】の無線機技士さんが慌てた様子で俺に駆け寄ってきた。




「【人土じんど村】の使節団が、ガロス氏とコンタクトを取ったそうです!」


「えっ!?

こちらの被害は!?

向こうの反応はっ!?」


「被害はゼロ!

現在、向こうが様子見中との事です」


「そうですか・・取敢ずは良かった」


彼方(ガロス)魔法使い(ウソが通用しない)ですからね。

此方の誠心誠意は伝わるでしょう」




魔法使いとの交渉は嘘が介在しない分、手っ取り早くて良い。

無論・・個人的な欲望、守りたい人の違いなどにより『嘘の無い社会』=『平和な社会』という訳では無いけど。




「コチラの使者は・・まさか【人土じんど】だけ・・?」


「いえいえ。

おそらく【巫女】様と颯太様以外での【人土じんど】最強は、代表の8人ではなく【巫女】様から魔力譲渡されている私達のはずです」




まあ、今の彼等を見るとな。




「ですので『交渉』と『戦闘』が出来る専門家───

『ペリオラ傭兵団副団長』が使節団長として選ばれたそうです」


「ペリオラ傭兵団の副団長・・確か源太ちゃんが【ニーズホッグ】を倒した時の話でチラッと、為人を言ってたけど・・どんな人物ですか?」




「えー・・っと───」と言いながら、書類を捲り始める【人土じんど】の無線技士さん。




「名前、アッド。

性別、男。

年齢、38歳。

職業、ペリオラ傭兵団副団長。

主な活動内容、戦闘作戦立案にその他交渉事を一手に引き受けていた。

備考、魔法使い。

・・実質的にペリオラ傭兵団、影の支配者ですね」


「ペリオラさんはカリスマと個人の戦闘力は高いけど、その辺はなあ」


「『対、街破級傭兵団副団長』の肩書きは大貴族(ガロス氏)との交渉には有利でしょう。

まさにうってつけかと。

未だ【変換機】が必要な方ですが、万が一【変換機】を使い潰してでもその価値は有ると思われます」


「確かに」




さて、向こうは・・どう出る?



◆◆◆



次の日、行商人とは関係の無い村を解放中・・ガロスから無線連絡がきた。

村は皆に任せて、無線機の所へ。




〔我が名はガロス ダ アスェベタ。

この寄る辺無き世界にて、弱き者のため動く者なり〕


「わた・・俺の名は秋原幹太。

縁ある人を救うため、男尊女卑を潰し【空の口】を退治するつもりだ」




付き合いが出来る魔法使いに、変に下手に出ても・・後々がよく無さそうなので敢えて普段通りにする。




〔『とらっく』やら『むせんき』やら・・極め付きは『洗脳を解くチカラ』やら───

使節団団長が彼の者(アッド)で無ければ、魔法使いであっても『狂人』と断じた所よ〕


「理性ある人達が倫理に従って得た技術だ」


〔然り。

それは信じよう・・だがアキハラカンタ、貴様の為人は別の話〕




無線機越しに、声が怒気を孕みだした。

・・良くない雰囲気だ。





〔我が弟、デロス。

人は、我欲にまみれ【ファフニール】に取り込まれし愚か者と言う・・〕


「・・・・」


〔だが、我には可愛い弟だった〕




・・ん?




〔デロスを倒した『対、街破級』の名簿を一人一人残さず確認した。

一人残さずだ。

アキハラカンタ、貴様の名を見たぞ。

姉妹傭兵団の姉。

我の・・我の我の我の我の我の我の我の我の我の我の我の我の我の我の我の我の我の我の我の我の我の我の我の我の我の我の我の我の我の我の我の我の───我の、デロスを倒した者の名だ!〕





「(・・な、なんだコイツ、ブラコンかっ!?)」


「「「(オマエが言うな)」」」




皆に一斉に突っ込まれる。

俺はブラコン(シスコん)じゃない。

普通だ。




「・・何が言いたい?」


〔洗脳から解かれた者は受け入れる。

人土じんど村】との協定も受け入れよう・・だが、それらは貴様と直接会ってからだ。

───ジート砦に来い〕


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