28『スライム・a2ルート ( a1ルートは皆にグルグル、bルートはトロ目スライム化END)。』
「わ・・【ワーム】だあーっ!?」
下種傭兵共の不注意で、今度は【ワーム】に囲まれた。
【ワーム】は云うなれば枝分かれする巨大ミミズで、今この足下の地面に縦横無尽に体を伸ばしているらしい。
「コイツの厄介なトコは身体の一部を傷付けたら全身全てから地面ごと溶かす強酸をだすトコでの。
ドコに【ワーム】が居るか分かるかの?」
「う~ん・・頭の奥以外に魔力無いみたいだよ?」
「ではソレが【ワーム】の脳だろう。
脳だけを破壊出来れば酸は出させずに殺せるそうだ」
「一帯の地面の下ごと同時に・・は、流石に二次被害が炎制御の範疇を超えるかな・・。
・・脳をやってみます」
とは言ってみたものの、ね。
ゲームだとすんなり使っている睡眠魔法・・アレは睡眠ガスを作ってるタイプと──
睡眠物質を分泌させるタイプがある。
転移前、颯太の体調管理の為に勉強したモノのひとつに、脳内分泌物のセロトニンとかホルモンのメラトニンとか快眠について調べたが・・あくまで素人の民間療法の話。
・・脳を魔力で直接刺激するってどんな魔法だろうな・・?
「う・・んっ・・・反応は・・あるっぽい、けど魔力を直接じゃなく間接的に操作するって・・」
他の生き物の身体はそのまま結界のような物で、その奥を魔力操作しようとするだけで必要魔力が半端ない。
まだ足りない・・まだ・・もうちょい・・あっ、上手くいきそ──
『・・ギッ?ギギッ??ギイッ?ギイッ?ギィィッ!??』
「ワ、【ワーム】が小刻みに震えだしたぞ・・?
大丈・・ぶ──」
──ドゥオヴォオオッッッ!!──
──頭が破裂した。
うわ~・・血と肉がエライ事になってる・・。
「「「・・・・」」」」
「脳以外も・・頭全部破裂させちゃいました・・けど?」
酸は・・出てない。
「お、おそらく余りの超高密度魔力汚染により誤作動でも起こした・・とか、か?
昔──
とある宗教団体が魔法使い300人を生贄に使った魔法の被害地で似た現象の記録がある」
なんつう喩え、出すかね。
ザ○を掛けようとしたら、イ○だった。
M・・魔力はイオ○ズン数十回分使ってる。
ちなみに【ワーム】の酸は金属加工業者に高く売れるらしい。
◆◆◆
「す・・【スライム】だあーっ!?」
まず奴等の不注意で【スライム】のプールに俺と颯太が落とされた。
【スライム】が蠢くと肌がチリチリする。
俺達を溶かして喰おうといるらしい。
浮力が無い上、掴む場所が無い【スライム】に颯太が身動き取れなくなり、丸焼きにしようと魔力を練り上げ──
「「~~~~~ッッッ?!!???」」
──練り上げた魔力を【スライム】が吸ってきたんだが・・ヤバい。
ナニがドウ、ヤバいんだかワカンナイけど・・ヤバい。
二人共、頭が真っ白になる・・寸前に【スライム】が動きを止めたんで、イーストさん達が助けに来てくれた。
「この数の【スライム】が満足する程の魔力量とはの・・」
何故かコイツは全女性の敵だと思ったので全身全霊一片も残さず焼却したかったが、
「 流石に魔力を消費しすぎている。【コカトリス】戦もあるんだ 」
と言われ渋々諦めた。
あと、無力化された【スライム】は貴族の女性に高く売れるらしい。
・・知らねぇよ。
◆◆◆
・・そしてついに【コカトリス】を見つけた。
ある意味ソレも奴等、下種傭兵共のヤラカシだった。
やっと今章の伏線を出し終わりました。




