279『ずっと『御大臣様』だと勘違いしていたので、変換した時「 おおつき? ずいぶん変な誤変換したなあ」と思っていました。』
「ジキア、今回は色々と無茶ブリして悪かったな」
「ははっ・・。
ソレでスンナリあの村の女性達が【人茸化】や【人土村】へ行く事を決められたんなら、ソレで良いッスよ」
「有難うねぇ、ジキアさん」
男尊女卑により、女性がクズ男に理不尽な差別・暴力を受ける村。
そして───『ソレ』を、女性達が『当たり前だから』と受け入れている、村。
村がこんな状態だと、女性を助けようとしても・・逆に、俺達が怪しまれるだけ。
『信頼』を得る。
その為に俺達がとった作戦は、女性達が『栄養失調』だった事につけこみ、美味い料理でトラウマを癒した。
・・と、同時に
『 女は男に逆らってはイケない 』というトラウマを視認で否定させる為
『女が、男に命令する様』を見せ続けたのだ。
ディッポファミリー傭兵団や、男性【人土】達にも、命令はしたけど・・普段から一緒に居るジキアについつい集中してしまった。
「『女』とか『男』とかって前に・・ジキアのプライドを傷つけちゃったからなあ」
「僕も幹太姉ちゃんと共に、いっぱい命令したゃったから」
「そんな・・屈辱的な命令は無かったッスし、その後ちゃんとフォローしてくれたッス」
「───彩佳とザレも、調子に乗ってちょい暴走したし・・」
「───ソレは・・まあ」
という訳で、あの村での活動は終えたし・・彩佳とザレの二人を呼びだす。
「なに?」
「二人とも!
ソコに───せ、正・・座・・・」
「なあに?」
「そ、ソコのソファーに座って!」
「・・・・・・」
颯太とジキアが生暖かい目で見てくる。
し・・しょうがないだろっ!?
「あの村の特殊事情により、俺達はジキアを・・扱き使いすぎた」
「そうね。
あ、ジキア、これ捨てといて」
「はいッス」
「それぇーーっ!」
言ってる傍から。
ジキアも、命令され馴れ過ぎちゃってるし。
そりゃ元々、ディッポファミリー傭兵団でのジキアの仕事は
『魔法使いの目を利用した交渉』
が主で、ソレ以外は皆の補助・・手伝いだった。
命令される事も多い立場だったから、仕方無い一面もある。
「まず、今後は『頼み』ならともかく・・ジキアの親切心につけ込んだ『命令』は禁止!」
「ジキアさん、立ったついでにお水を『頼み』ますわ」
「ザレ?」
「あらー?」
まあ今のは悪ノリだけど・・俺ふくめ、ジキアに甘えすぎ。
「という訳で、今日のジキアは御大尽様です」
「だ・・大尽って何スか?」
ジキアが急に
「 またコイツ、何か言いだしたぞ 」って顔をする。
大丈夫だ、問題ない。
「そこはかとなく、問題が有りそうなんスけど」
「さあジキア。
何でも俺達に命令してくれ!」
「な・・何でもっ!?」
ジキアの鼻が膨らむ。
彩佳とザレが、呆れた顔をする。
ディッポファミリー傭兵団の上世代はニヤニヤし、下世代が真顔になる。
「うん、なーんでもイイよ!」
「そ、ソウタちゃんっ!?」
「" ちゅー " とか、エッチなの以外!」
「う、うんうん!
そりゃそうッス、当然ッス、分かってるッスよ!
あははははははははははは・・はあ」
ジキアがナニやら変なテンションだ。
『エッチ』の定義は・・個々人々でだいぶ違うだろうからなあ・・。
ひょっとしたら颯太に助けられたのかもしれない。
「ち・・ちなみに・・何処までがOKッスか?
( カンタさんに )肩揉み( を、するの )は───あ、有りッスか?」
「( ジキアに )肩揉み?
そんぐらいなら全然OKだぞ」
「( 肩の下へ )手が・・す、滑る可能性も無きにしも非ずッスよっ!?」
手が滑る?
うーん、肩叩きで滑るなら多少ヤバイ( 素人がやると頚椎損傷の可能性有り、とか聞いた事あるし )かもしれんけど、肩揉みだしなあ?
「大丈夫だ、問題ない」
「ソレ、問題ある時の台詞じゃないの・・。
アタシ、ジキアの魂胆みえる気がするんだけど・・」
「奇遇ですわね、ワタクシもですわ」
「って言うかアタシ達の事、もう眼中に無いわよね」
ジキアが「 いや、待てよ・・ソレがOKならもうちょい攻めても・・ 」とか、ブツクサ言っている。
「 ッス 」は何処いった。
「アタシとザレは『ジキアに』肩叩きね。
後は何か取ってきてあげたり、ゴミ出しをしてあげたり」
「・・水・ぎ・・・?」
彩佳に話かけられても気づかないジキア。
うーんうーんと悩み続け───
「・・・・キュウ」
「わあっ!?
ジキアさんが気絶したあっ!?」
「おいっ!?
ジキアっ!?」
◆◆◆
「う、うーん・・」
「ジキア、目覚めたか?」
「あれっ?
オレ・・・・どうして?」
まだ頭がフラフラしているっぽいな。
現状を正しく認識出来ていないようだ。
「気絶してたんだぞ?
だからずっと膝枕を」
「膝枕っ!?」
「ディッポ団長がしてくれてて」
「───っ!??」
ビクンッと身をすくませるジキア。
家族愛だな、善き哉善き哉。
「どォした、祖父が孫を心配してンだろ?」
「は・・はいッス」
ディッポ団長の微笑みに、ジキアも微笑み返す。
ああ、良いなあ。
俺も源太ちゃんと父さんに会いたいなあ♡
「ちなみに・・クラッゲとナムァコの野郎共は『ソウタ御嬢チャンと一緒に風呂に入りてェ』とかぬかしやがったから、二人仲良く寝てらあ・・」
「へ、へぇ~・・」
「御姉チャン『が』肩揉みで良いな?」
「は・・はいッス・・」
「だそうだ。
御姉チャン、ジキアの肩を揉んでやンな」
「はーい」
ジキアが涙を流しながら喜んでくれている・・そうとう無理させてしまってたみたいだな。
後で精のつくモンでも作ってやろう。




