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その姉妹品、危険につき──  作者: フユキ
支配階級と男尊女卑
274/547

274『【巫女化】。』


クワガタ達(みんな)っ!

村の探査をお願いね!」


「おおっ、動きが違うなあ」


「ふふーん、でしょっ!?」




彩佳がクワガタ達に指示を出すけど、すげぇスムーズだ。

クワガタ達にも、怯えや戸惑いは無い。




「村には・・家が12件。

うち、3件クワガタが入り込むスキマが有ったけど、外を出歩く住民ふくめて全員『自失者』みたいね」


「火事、もしくは焼け跡みたいなのは?」


「無いわね。

でも・・ちょっと待って。

───っ、広場に焼死体が有ったわ!

石碑も有る・・けど、流石にクワガタ達は文字を読めないのよ」




魔力パスによる意志疎通もかなり鮮明になっている。

この村にも『ガロス ダ アスェベタ』が来た、ソレだけ分かれば充分だ。




「分かった。

ココからは何時ものメンバーで、何時ものように行こう」


「「「了解」」」



◆◆◆



非爆発型貫通魔法スナイパーライフルっ!」


「おお?」




ジキアが俺の魔法をパクっ・・リスペクトして小石を飛ばし、村の門番の目を引く。


出会った頃は、有効距離10m程って所だったけど・・今のは100m近く飛んでなお、常人の手の骨を折る威力だった。


チートには劣るけど、そんじょそこらの魔法使いは遥かに圧倒する魔力だ。




「今ッス」


「自失した門番ってホント、出入りする瞬間の人間『だけ』しか見ないよなあ」


「一度、門をくぐれば後は騒ごうと無反応ですもの・・っと。

焼死体は彼方(あちら)ですわね?」


「ええそうよ。

ザレ、今の・・匂いで?」


「そうですわ。

未だ【狼化】は出来ませんが、肉体強化の一部・・嗅覚と瞬発力の上昇を使えるように為りましたの」


「凄いじゃん!

みんな成果アリだなあ、ビタも上手くいっているとイイけど」




秋原家の防衛に残る時、自信満々だったから・・何かしらの成果は得たっぽいが。




「みんな御披露目会まで、ちょっとずつ内緒にしてたってのは・・有るわよね」


「あれ?

披露したの、俺だけ?」


「披露したって言っても、今の所は美味しい料理を披露しただけでしょ。

アンタの本当の御披露目は【巫女化】よ」


「まあ、そりゃそうだな」




『魂の集束』は兎も角───

『分身への譲渡』に次いで、『敵性魔力の吸収』も魔物が襲ってきた時に練習している。

ヤってヤれない道理は無い。




「・・あっ、自失した商人っぽいのをクワガタが見つけたわ。

旅装の準備をしている人が、この道の先に居るわよ」


「では我らはソッチに行くの。

無事に保護出来たら合図だけ送って、さっさとアキハラ家に帰るからの」


「分かりました」




ヒトゥデさん達と商工ギルド職員さんは、自失した行商人の保護へ。

俺達は焼死体のそばに有るらしい、ガロスが作ったであろう石碑の確認に行く。




「コレか。

ザレ、頼む」


「分かりましたわ、御姉様。

えー・・。

『この者、裁き無き世界に───』

やはり以前と同じ、

『コイツがクズなので、ガロスが裁く』云々ですわね」


「被害者については書いてないかな?

焼かれた家が無いのは、コイツと被害者が家族で家が同じだから・・だと思うんだけど」


「コチラには有りませんわ」


「そうか・・有難う、ザレ。

洗脳された人達を保護しているウチに、被害者用の石碑も見つかるだろ」




取敢ず村を探索。

すぐ、足が悪いのに水汲みをしている自失した女性を発見。

俺が桶を半分持つと、感情の無い目で暫く見つめられ・・歩きだす。


女性が一件の家に着き、戸を開けた途端に『何か』が女性目掛けて飛んできた。


防壁魔法トーチカで飛来物を防ぎつつ、飛んできた方を見ると───虚ろな目の男が、何かを投げた姿勢のままボソボソと呟いている。




「洗脳されて自失しても、女性に暴力をふるう男と・・その被害者女性ね」




よく見ると女性は無表情のまま、微かに震えていた。

・・ちっ。




「俺は広場を均しておく(・・・・・)から、皆は村の女性を広場に集めてくれないか?」


「ええ、分かったわ」


「暫くしたら颯太とビタを呼ぶから───」


「ん。

ソッチ(・・・)も分かってるわよ」




数10分後・・ヒトゥデさん達の『行商人保護』の完了合図が鳴り、更にその数10分後に女性だけが広場に集まる。




つまんない(・・・・・)奴は、居ないな」


「アタシの方には、ね」


「ワタクシの方にも、ですわ」


「オレの方は、来ない(・・・)ッス」


「・・そうか。

そろそろ二人が───」


「幹太姉ちゃァーん!」

「お姉さァーん!」




・・っと、ちょうど良い辺りで来たな。




「秋原家に魔物は?

ヒトゥデさん達は?」


「ディッポ団長が、どっちも大丈夫だからって」


「なら安心だな。

・・二人とも、ヤれる?」


「うんっ!」


「はいっ!

私の修業成果、魔物相手に見せられなかったのです!

だからコッチで見せるのです!」


「ザレ」


「お任せ下さい、御姉様」


「彩佳、見回りを頼む」


「任せなさい」


「ジキア、俺達全員の護衛を頼む」


「了解ッス!」




俺と颯太、ザレ、ビタ・・【三種族の巫女】が村の女性達の一人を取り囲む。




「行くぞ・・っ!」




【巫女化】した青い世界の目で、女性に触れる。

女性にまとわり付く【空の口】の悪しきパスに【三種族の巫女(オレたち)】のパスが、ガリガリと絡みついてゆく。




「ザレっ、女性の頭らへんにもっとチカラを!

ビタっ、斬る感じより蔦で締め上げる感じで!」


「「ハイっ!」」


「颯太、魔力吸収パンチで女性のその奥の奴だけ殴るイメージだ!」


「うんっ!」


「彩佳とジキアの、助けたいって気持ちも来ている!

俺達全員を守りたいって気持ちは、ソレだけで俺達の武器になってる!」


「「了解っ!」」




ココだ・・!




「『魂の集束』!

『敵性魔力の吸収』!

そして・・ソレを俺達のチカラとして吐き出す『分身への譲渡』だあっ!」




皆は『分身』ではない。

だけど我が身より大事な『人達』。


敵から吸収したチカラを、皆のチカラに!

悪しきパスはどんどん細まり、俺達のパスはより強度を増してゆく!




「いっけええぇぇぇ・・っ!!!」




──バツ・・ンッ!!!──


・・切った・・!

【三種族の巫女】全員がかり、フルパワー。

彩佳とジキアの補助輪付き。


・・でも。


初めて【巫女化】を成功させられた気分だ・・!


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