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その姉妹品、危険につき──  作者: フユキ
支配階級と男尊女卑
272/547

272『その後の【巫女】様のオモラ───いえ、何も。』


「あっ、幹太姉ちゃん!

僕、ちょっとだけ世界が青く見えるよ!」


「えっ!?

まさか体内の【スライム細胞】の量を増───」




【スライム細胞】を増やした状態を維持しつつ、秋原家の庭を散歩していたら颯太から突然の告白。


他の生物の肉を食って増殖する【スライム】を封印する『自己再生魔法』を弱める事で【スライム細胞】を増やす・・そんな危険な行為を、自らの体でヤるなんて───




「お、落ち着いて下さい【巫女】様!

我々が颯太を危険な目に逢わす訳が御座いませんっ!」


「そ、ソレは・・そう・・ですよね。

人土じんど】の皆さんが付いているんだから安全策を取ってますよね・・!」


「( ・・というか・・危険な行為とか、どのクチが・・ )」


「( シッ! )」




でも───

体内の【スライム細胞】を増やすとか、そういう狂気じみた手段で無ければ他に・・どうやって『青い世界』に入ったんだ?




「我々の体内に有る【スライム細胞】と、颯太様の【スライム細胞】をパスにより『リンク』させてみました」


「『リンク』?」


「颯太様の体内で【スライム細胞】を増やすのでは無く、一時的に我々の【スライム細胞】をパスを通じて颯太様が使っているのです」


「そんな事が出来るんですかっ!?」




颯太自身のパソコンだとパワーが無いから、外付けのパソコンでパワーアップする感じか?

( パソコン、分かんないけど。)




「まだ、洗脳された人の魔法(悪いパス)を吸収は出来無いけど・・カスリ傷ぐらいなら付けられるよ!」


「すげえなあ、さすが颯太だ!

皆さんも大変でしょう?」


「【人花じんか】の皆さんが平均的にパスが繋がっているならば、我々【人土じんど】は【巫女】様を頂点に『ピラミッド』形でパスが繋がっているみたいなんです」


「『ピラミッド』形?」


「或いは『熊手』形でしょうか」




んー・・。

種族全体でヤる【人花じんかの巫女化】は、種族全体の『平均化』・・強い者を無くす代わりに、弱い者も無くす感じ。


人土じんどの巫女化】は強い者をひたすら『強化』・・援護する感じか。


『三者を超えし者』の言う【人土じんどの巫女】の条件は『最強』だから、【巫女】を( 今回は颯太 = 【巫女】のスペア )ひたすら強化してんのね。




「【巫女の目】で見たら颯太を中心に、みんなが・・お饅頭? みたいなんに見えるんだけど・・なんだろう、コレ?」


「お饅頭・・ひょっとして日本で【アジ・タハーカ】相手に我々全員で【巫女化】した時に言われた、『風船』では?」


「ああ、確かにこの状態で空を浮かんでいたら風船にしか見えないかも」




といった辺りで、颯太の様子に変化が出だした。


何と言うか・・さっき迄はやたらニコニコしていて、新しい技術を得て嬉しいんだな、と思っていたら───

徐々に颯太の笑みがナニやら・・エロさを感じるような・・妖しげな笑みに変化してきた。


颯太に同調している他の【人土じんど】達も似たり寄ったりの、笑み。




「ストップ、ストップっ!」


「えぇ・・?

なんでだよぅ、幹太姉ちゃん?」


「颯太、暴走しかかってる!」


「あははぁ♡

やだなぁ・・そんな訳無いよぅ♡」


「彩佳に見つかったら、

『ぎにゃああ』されるぞっ!?」


「───・・はっ!?

ぼ、僕、何してたんだっけ?」




一瞬、颯太が『ビクンッ!』と飛び上がり、普段通りの颯太の顔と雰囲気になる。


よかった、お饅頭が消えて颯太も【人土じんど】の皆さんも理性的に戻ったようだ。




「結局、どんな技術も要・鍛練って訳だな」


「うーん、そうだねぇ・・。

よぉしっ!」




鍛練好きな颯太は火が付いたか。




「我々もチカラ不足で不甲斐ないばかりです」


「皆さんは今、秋原家に居るみんなのフォローをしてくれているんですから。

コレはチカラを送られた側・・俺達【巫女】側の鍛練不足です」


「うんっ!

僕もみんなと幹太姉ちゃんの為に頑張るからね!」


「「「はいっ!」」」



◆◆◆



てな訳で、作戦会議。




「ビタが、前【人花じんかの巫女】であるお姉さんの【巫女】としてのチカラを知らなかったように、【人狼じんろう】も【巫女】のチカラを知らないらしいんだ」




源太ちゃんがソレとなく聞いたらしいけど、「 分からない、見たこと無い 」と答えられたそうだ。




「数百年に渡り、【巫女】が居なかった我々【人土じんど】が一番【巫女】の秘密に近いとは・・皮肉ですな」


「・・だからって【人土じんど】が三種族NO.1だ、とか思っちゃ駄目ですよ?」


「は・・はは・・。

ま、まさかぁ・・・・♡」




まあ、どうしても『種族の誇り』という物は有る。

差別化では無く、切磋琢磨の為に善く在らんとするのまでは禁じれない。




「他の【巫女】達の訓練を見てて、俺達に足りないと感じたのは・・やっぱ【人土じんど】そのもののチカラだと思う」


「【人土じんど】のチカラ・・。

【スライム細胞】の量って事?」


「ソレも有るとは思う」




けど・・【人土じんど】の『本質』とでも言えば良いのか・・。




「最初、俺は一人で【スライム細胞】を増やそうとして早々に限界が来た」


「ディッポ団長に『青い世界』で怒られたってやつだね?」


「ああ。

だから【人土じんど村】の皆に協力してもらって、魂を集束させて女学園の皆の洗脳を断ち切った」


「魂の集束・・。

私は『風船』の時の多幸感を微かに覚えていますが───

アレこそ【人土じんど】の本質では?」




人土じんど】達が皆、頷く。

彩佳の話だと、俺が幼児帰りするほどの『アレ』だったらしいけど。




「【人土じんど】・・その先祖、【スライム】。

『核』が魔力を吸い、『分身』に吸収した魔力をわける」


「魂の集束、敵性魔力の吸収、分身への譲渡・・此処までが1セットだと?」


「料理・・包丁で言うなら、

魂の集束=良い切れ味の包丁の用意。

敵性魔力の吸収=正しい包丁の握り、当て方。

分身への譲渡=刃の引き方。

・・かな?」




自分でも今一つ分かんないけど。




「現状の【巫女】様には、一連の動きが悪いと?」


「魂の集束は・・あの時、もっと効率良く出来た気がするし・・魔力吸収は、魔法ほど思いっきりが足りない感じだし・・魔力譲渡に至っては何も無いかと」


「魂の集束は・・あの時が初めてだしねぇ」


「颯太様の言う通りですよ。

魔力吸収は・・その、若い娘さんなら───その・・その・・・・」


「「???」」




人土じんど】達が急にクチごもる。

なんなん?




「まっ!

魔力譲渡に関しては・・料理!

【巫女】様に魔力付与された料理がそうなのではっ!?」


「おおっ!」


「そうだそうだっ!」


「魔力譲渡は素晴らしい!」




・・なんなん?


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