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その姉妹品、危険につき──  作者: フユキ
支配階級と男尊女卑
270/547

270『「延々、クワガタ相手に独り言を言っている未来しか見えないしな・・」「何か?」』


「デロスとザーロスさんの兄・・」




この世界において、貴族とは

『強い魔力の持ち主』と、

『魔法使いを産み出す』血族の事。


ディッポ団長の実家は、魔法使いが生まれなくなったので『血継断絶』とされ、貴族では無くなった。


アスェベタ家とやらは本来、強い魔力を持った魔法使いが安定して生まれる家系だった。


しかし現当主『ダロス』の三人の息子、その次子『デロス』が魔力を持たずに生まれた事により性格を歪ませてゆく。


貴族で在りながら魔法使いで無い者達の受皿たる騎士団に入団し、ソコで一般人から募集されたリャター夫人と出会い・・格の違いを見せつけられ、更に歪み───




「・・悪意を糧にする魔物、『街破級【ファフニール】』に取り込まれたんだ」


「・・ふん、自業自得じゃないの!」


「まあなあ・・。

デロス自身にも色々あったんだろうけど、ソレに付き合わされた俺達や女学園のみんなはイイ迷惑だよ。

・・風呂も覗かれたしさあ」


「そうですわね・・。

ああ見えて学園長・・デロスに止めを注した後は随分、気落ちしていましたのよ」




俺が【ファフニール】戦後、数日ほど気絶していた頃か。

リャター夫人自身も思う所は有ったらしいしなあ・・。




「デロスは、自分より優れた弟であるザーロスさんに嫉妬するとかいう意味の分からな過ぎる言動を取っていたけど・・」


「ソコは、ソコだけは、デロスが正しいんじゃないかしら?

アタシも頭が良くて社交性の高い妹の奈々に嫉妬はしたし」


「なんで?

姉より優れた妹がいるのは自慢中の自慢だろ?」


「アヤカ・・こればかりは御姉様に絶っっ体、通用しない話ですわ」


「・・ッス」


「・・まあね」




何故みんなが遠い目をするのか分かんないけど・・。




「長男ガロス? とやらは、どういう性格なんですか?」




『この者、この裁き無き世界において『悪徳』の限りを働いた』とは言っても、『悪徳』とは何なのか。


無茶な命令をしといて、

『こいつ、平民のクセに貴族様に逆らいやがった!

ハイ、悪徳ぅ~!!』

って、ケースも無いとは言えない。

( デロスがそうだったらしい。)




「平民に、御貴族様の・・しかも上位の方々の性格なぞ分からんの」


「そういやそうか」


「現当主、ダロス様の政策は民衆に人気の有りますがね。

治水・経済もそうですが・・カンタさんの気にする男尊女卑も少ない領地なんですよ?」


「あー、【北の村】とか女学園とかは、そうですね」


「治安維持もしかり。

いざ盗賊、ともなれば苛烈に攻め、厳しい断罪を為さる御方・・と、聞き及んでいます」




もし、その人物像そのままの人が『クズ(悪徳)』を見つけたなら・・『こーゆー事(処刑)』になるよな。




「・・ねえ」


「ん?

どうした、彩佳?」


「もし、そうなら被害者が居るわよね?

そして・・そういう貴族なら、こんな世界のこんな村に被害者を置き去りにしないわよね?」


「た・・たぶん。

『自失者』はまだ村に居るけど、洗脳を解く手段がない限りこの人数を連れての旅は出来無いし。

でも、せめて被害者ぐらいは連れて行くかも・・」




俺の言葉に、意を決した風の彩佳。




「クワガタと、もっと深く繋がってみるわ」


「・・え?」


「『三者を超えし者』に睨まれたクワガタに無茶させられないからって・・適当な調査をしたのはアタシだもの!」




国境の村に突入する際、『三者を超えし者』がクワガタを睨んだ途端にクワガタ達が怯えだした。

( クワガタの診察なんて出来無いからたぶん、だけど )怪我や病気の類いでは無くアレは・・おそらく『魔力吸収』。


もう全匹、回復してはいるんだが・・トラウマなのか、一部のクワガタの元気が無い。


なのでクワガタによる村の探査はオザナリで終えたのは確かだ。

もっとしっかり探査していたら、村外れの放火に処刑跡などは突入前に気づけたろう。




「けど・・ソレは俺達全員納得して突入したんだし、探査は俺の魔法やディッポファミリー傭兵団の勘も頼りにしているんだ」


「そうだの。

探査に絶体は無い」




現に、国境の村では全力フルの警戒網を『三者を超えし者』に突破されたしなあ。




「アヤカ。

取敢ず貴女の仰った『被害者』を探しますわよ・・ワタクシ達全員で」


「そうッスね。

クワガタは時間が出来てから試すッスよ。

オレら、みんなで」


「彩佳・・」


「・・・・・・。

そうね、御免なさい。

今は被害者よね!」




彩佳は家庭環境のせいも有ってか、責任感が変に暴走する癖が稀に出るからな。

闇落ちしないよう、留意しとこう。




「彩佳は今のクワガタ達でも分かる範囲で、村の外周の家を一件一件丁寧に調べてくれ」


「ええ」


「俺はこの広場から見て北、ザレは東、ジキアは南、イェカさんは西の家を調べて下さい」


「「「了解」」」


「ヒトゥデさん達は皆のサポートをお願いします」


「よし」「はい」




結果、村の産業である薪や琥珀や植物油を集めている自失した行商人を発見。


また、とある家の前にて

『被害者女性を保護する。

連絡ある者は『ジート砦』へ』という石碑を見つけた。


確認のとりようが無いんで、取敢ず無差別で女性のみ保護、男は【人茸じんたけ化】。

( 男はみな太っていて女はみな痩せているだけで充分か。)


秋原家に帰る。



◆◆◆



「『ジート砦』ってなぁに?」


「【人土じんど村】から【国境の村】、そして【銀星王国首都】への物流回復の旅では回らンが・・ゲラェブ領地の中央に有る廃砦だ。

アスェベタ家の人間が使うなら納得する場所だゼ」




ゲラェブ領の各地を回り、正気の人間( もしくは何らかの犯罪被害者 )を集めているっぽい。


ガロスの人間性は分からねど、一度何処かで接触する必要有りか。


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