27『横領する主人公。』
雑魚傭兵共がパニックを起こし「 し、死ねぇ! 」とか言いながらざわめく植物に斬りかかるが──
「落ち着け!
植物は操られているだけだっ!
斬ったトコロで魔物にダメージは無い!!」
「こうなったら【アルラウネ】本体をやるしか無いの」
うぇ~・・?
唯でさえ、【コカトリス】を探さなきゃならんのに・・。
・・って、あれっ?
・・・・もしかして。
「ヒトゥデさん、ひょっとしてエリ草って【アルラウネ】の一部とか?」
「ん? 確かにそう言われとるがの」
「エリ草に魔力が有るなら【アルラウネ】本体にも魔力が有る!
だったら俺達なら魔力を追える!
・・颯太、行こう!!」
「うんっ!」
「あっ!? おい、ちょっ・・!!」
エリ草を基点に見れば一直線の魔力が見える!
「あの下種傭兵のせいで無駄働きさせられてるんだし、こっそりエリ草を貰って帰ろうか?
ディッポファミリー傭兵団へのお土産になるし・・果実水をくれた女の子のお母さん怪我してるらしいし」
俺達はいわゆる他者回復魔法は使えない。
魔法使いは魔力さえあれば、勝手に自然治癒力が高まり自己再生魔法となる。
しかし魔法使い以外にいくら大量の魔力を相手に送ろうと、魔力操作出来無いせいか自然治癒力が高まったりしない。
俺側で魔力操作しようとしたトコロで医学知識が無いと自然治癒力の高めようもない。
魔法薬は自然治癒力を高める薬効と大量の魔力、その両方をもって魔法薬と呼ばれる効果があるらしい。
「そうだねえ。
喜んでくれるかなあ♡」
おっ、またエリ草発見!
◆◆◆
「ふぅ・・草引きって以外と体力使うなあ・・」
「幹太姉ちゃんの分も持とうか?」
「いや、ソレだと北の村の時と一緒だし・・颯太の戦闘に邪魔だろ?
ディッポファミリー傭兵団に拾われた時、約束したじゃんか。
俺達はもう油断も暴走もしない。
一緒に強くならなきゃな!」
「・・うん、よ~し頑張ろうね♡」
『ククク・・ワがテリとリーで、オシャベリが油ダンなノだ!!』
一際太く強いツタが攻撃してきた。
・・誘いだし成功だな。
俺達が平然としているのに気づかず【アルラウネ】本体があらわれる。
『・・オンナぁ・・?
ククク・・メシベとオシベ、わカるカ?』
「えっ? 学校で習ったよ?」
「【アルラウネ】、おまえもか!」
女王ちゃうんか!
まあ花の総本みたいなモンだし、ドッチでもイケるのか・・。
取敢ず誰にセクハラしてんのか教えて殺ろう。
◆◆◆
「火が弱点だったんで相当弱い魔物でした」
「ああ・・知っている・・。
・・ハハ・・。
君等が行って10分で植物が大人しくなったからな・・」
イーストさんがずうっ・・と、
「【アルラウネ】に潰された村が何百あると・・群で襲われ国すら滅ぼされた記録があるというのに・・」
と、ブツクサ言ってた。
まあ「 知らんがな 」としか言いようがない。
文句は下種傭兵に、としか言いようがない・・よね?
「ほらっ、幹太姉ちゃんが【アルラウネ】の身体を燃やしたら頭の花が落ちたんだ。
エリ草より魔力が有るけど何かに使えるかなあ?」
「こっ、コレは【アルラウネ】を即死させた時だけ手に入るという伝説の・・!!?」
「『村破級』を単独で即死・・はは──」
なんかイーストさんが疲れてらっしゃる。
エリ草が余ったら後でちょっと分けてあげよう。
今回のような大規模作戦の場合、たまたま落ちてたエリ草などは本来、参加者全員の共通報酬になります。
( もし、あのままエリ草が下種傭兵の手に入ってた場合、「はい、没収ゥ」となっていました。)
ただし、【アルラウネ】の頭の花のような明らかに獲得者の手柄が大きすぎる物は獲得した本人の物になります。
・・ですが大概、付き合いや義理に労いなど・・参加者の『 分かってるよな? 』という嫉妬の空気に、作戦終了後に参加者に飯や酒を奢ったりします。
( 姉妹は自分の大事な人以外に心底空気を読まない( 読めない )ので気づいていませんが。)




