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その姉妹品、危険につき──  作者: フユキ
支配階級と男尊女卑
269/547

269『ご都合主───伏線を考えるのも大変ですよ?』


強力な炎魔法と防火魔法により焼けた家。

家の中に、焼死体などは無かった。




「取敢ず、ココにはもう手掛かりは無さそうだなあ」


「そうッスね」


「件の行商人の家、でない事を祈りますわ」




焼け跡からは、商人の拠点とは違う・・と思うけど。




「村に戻ろう」


「ココが『クズ』の家だったなら、アタシ達の目的を潰された事になるわ」


「うーん・・もしそうなら、いっそ『無差別』で『彩佳だより』になるかも」


「アタシは『ソレ』でもイイけどね」




まあ貴族( 相当の魔力を持つ者 )の目的はまだ分からないんだ。

善良な村民の家を、戯れに焼いた可能性だって無きにしも非ず・・だ。



◆◆◆



「───コレは・・処刑、よね」




村の中央広場。

そのど真ん中。

おそらく・・平時なら村民の憩いの場だったハズの場所。




「子供は見ちゃダメ」


「子供じゃ無いッス!」

「子供では在りませんわ!」




そう、言いたくなる光景。

───人が、膝まついた姿勢で・・焼けていた。

俺にとっては大部癒えてきたこの腕の、かつての姿の如く。


完全なる黒炭。

悪趣味な芸術でなければ、人間を高火力で焼いたモノだ。

・・しかも生きた状態で。


咄嗟にジキアとザレの背後に回り、目を隠す。

暴れるので背中に片乳ずつ当てると、大人しくなる。




「じ・・じじ、時間的に、さっきの家と同じぐらいの日数が経過しています・・ね?」




荒事に無縁そうな商工ギルド職員さんが震えながら、焼死体をビクつきながら観察している。


荒事に無縁とは言え・・ほんのちょっと前まで戦争は有ったし、魔物や盗賊も居る世界での・・だから、吐くほどにビビっては居ないけど。


ヒトゥデさんとイェカさんが、ジキアとザレを見て俺に頷くので仕方無く、二人の目隠しを解く。




「あっ・・ああ、4~5日は経過しているんじゃないッスかね」


「ああん・・先程の家の住人でしょうか」




たぶん、そうだろうなあ。




「みんな、アレ何かしら?

台座みたいなヤツ」




彩佳が何かを指差す。

皆、焼死体に気を取られていて気づかなかったけど確かに台座みたいなのが、やや離れた位置に有る。

なにやら土魔法で作った石碑っぽい。




「俺もまだ、そんなに文字は読めないからなあ・・ザレ、分かる?」


「えーっと・・あら?

御姉様、コレ・・貴族の言い回しを使っていますわ!」


「マジ?」




ってことはコレ等をヤったのは、やっぱ貴族なのか?

騎士でもあるリャター夫人から貴族特有の言い回しも習っている、女学園生徒であるザレしか読めなさそうだ。




「意訳して読み上げますわね。

えー・・。

『この者、この裁き無き世界において悪徳の限りを働いた。

故に『ガロス ダ アスェベタ』の名において裁くモノなり』

・・と、在りますわ」


「アスェベタ・・!」


「また大物の名が出てきたの」




ヒトゥデさん、イェカさん、商工ギルド職員さんが固まる。




「大物なんですか?」


「アスェベタ家当主といえば、王を含めた【銀星王国】最高権力者16人の中に入る、大物中の大物だの」


「カンタ、御主にも縁が有る貴族家といえば分かろう」




俺に縁有る貴族家・・っつったら───

『街破級【ファフニール】』に取り込まれた『デロス』と、その弟の『ザーロス』さん・・って事は。




「【銀星王国首都】と隣接する広大な地・・【北の村】や【女学園】も入るゲラェブ領を治める大貴族───

『ダロス ダ アスェベタ』の長男だ」


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