265『それぞれの国が発行する地図で、その国の闇が見えたりします。』
遅れて申し訳有りません。
まだ完治はしておらず、暫く不自然に少ない文量になるやも知れません。
「良いなぁ、僕も足が届いたらトラックを運転したいなぁ」
「だっ、ダメだ・・!
アレは悪魔の兵器だ、マリ○カートじゃない!
グラ○ド・セフト・オートだっ!」
「トラックよ?」
運動神経の良い颯太は乗馬もすぐに覚えた。
トラックも手足さえ届けば直ぐにでも運転出来るように為るんだろうけど・・ダメだ、許容出来無い!
「御姉様?
運転が上手ければ安全という訳では有りませんわ・・」
リャター夫人の曲乗りに付き合わされたザレが遠い目をする。
颯太もリャター夫人も天才型だからなあ・・新しい技術にはっちゃけるリャター夫人と安全運転第一の父さんの子である颯太とじゃあ違う、とは思いたいけど・・。
・・うん。
颯太に運転はまだ早い。
「普段あんなバケモノ等に立ち向かってる颯太なら問題無いでしょうに・・」
「ねぇ?」
◆◆◆
物資の搬送を( 俺以外の人達の活躍により )終え、一息ついた辺りで休憩がてら商工ギルド・国境の村支部の代表である支部長と会話。
「支部長さんは【空の口】や『魔女』『英雄ヨランギ』『三者』について何か知っていますか?」
「知らんよ。
この世の全ての魔法使いは『英雄』の子孫って事くらいだ。
息子が魔法使いだから、オレか妻かが『英雄』の子孫って事になる」
『英雄ヨランギ』の子は『三者』との間に産まれた『三種族』───いや、ハーレム主人公みたいな事をやっていたんだ。
もっと沢山、妻がいたかもしれない。
伝説に残らない・・戦闘力を持たない人間女性との子孫が国を興して王族貴族になったんだろうな。
「自分の先祖が貴族かどうかは・・」
「ディッポの世代前後ぐらいから、貴族は血継断絶した家が多く出始めたらしい」
「ケッ」
「・・が、ソレより前───
なんせ二千年の歴史だからな。
子や孫に魔法使いが産まれて、初めて貴族の血筋だと知るケースも少なく無い」
「あー、なるほど」
この世界・・ジキアや行商人母娘のような事情でもない限り、一人っ子はまず居ない。
( 平均で3~5人ぐらい。)
そういう意味では潜在的な魔法使いは沢山いるっつう事か。
「───ただ」
「ただ?」
「『【空の口】の伝承』は世界中の国、つまり世界中の大陸にあるが・・土地によって『多い・少ない』は有るな。
【銀星王国】は特に多い方だろう」
「ソレって・・」
「【空の口】と英雄ヨランギの戦いがお伽噺では無かったという事は───
ヨランギ本人ないし子孫の誰かが【銀星王国】( が、出来る土地 )に住み付いたのでは無いか?」
うーん・・『決戦の地』、もしくはソレに近い思い入れでも有ったのか?
彩佳がビタに向く。
「ビタ、【人花】の御先祖様が里を引っ越したって聞いた事あるかしら?」
「無いのです」
「おそらくだけど、『聖者』ないし『最初の【人花】』からずっと永住してるんでしょうね」
「多分なあ。
ひょっとしたら、『聖者』の故郷だったのかも」
「ええ。
『覇者』と【人狼】も似たモンだと思うわ」
【人土】は・・この世界に居た頃の里の位置は分かんないか。
ちなみに【銀星王国】はこの大陸の南中央、【連合】は北周囲にある・・と、大雑把にしか分からない。
地図毎に大陸の形や国の形が違うからだ。
大陸の形を測量できる技術が無いのと、他国に測量技師が入れない事から、らしい。
「『三者』を含めた妻や子たちが、それぞれの土地に辿り着いてそれぞれの集落を築いたのなら・・魔法使いの多い土地って無いの?」
「確かに・・【銀星王国】【大赤国】、西大陸の【マウリ連邦】等、支配階級全てが魔法使いの国ほど民に魔法使いが多いかもしれん」
「ついでに東大陸の【珍麗玉】も、『そう』っちゃ『そう』だなァ。
・・ン?
そういや今出た国は確か男尊女卑が強い国でもあらアな?」
男尊女卑の強い───
「以前、そういう話はチョッとしたよな。
『俺達』と『三種族』と『魔女』以外は男しか魔法使いが居ないのと男尊女卑って関係有るのかも・・って」
「そう言えば話したわね」
「コレでその説に少しだけ信憑性が出ましたわ」
まあ、だからといって進歩した・・とは言い難いんだけど。
『【空の口】コワイ』=
『魔女コワイ』=
『女コワイ』=
『女を管理しなければ』=
『男尊女卑』?
・・いやー・・。
流石にソレは馬鹿すぎだとは思うけど性差別を含め、あらゆる差別の原点って迷信( 思い込み・決めつけ )から来ている事が多いらしいしなあ・・。




