257『「 見た事も無い新カードで、ピンチを脱出せよ! 」「 無いし 」』
「スゴい・・!
ザレ、ジキア、気づいてるかしら・・!?」
「えっ・・?
こ、コレだけの炎を距離も問わず同時に操る事ですの?」
「ソレはカンタさんの得意技ッスから。
あの家を見るッス。
藁葺きなのに一才類焼して無いッス」
「本当ですわ・・!
日本で暴漢に襲われた時、コレに似た現象を見ましたが・・」
「たぶん、屋内の一切合切にも焦げ跡一つ付いて無いんでしょうね・・」
◆◆◆
「ぐう・・っ、なんて熱量・・!
だけどこんな威力が、何時までも持つ訳が無い・・。
・・行け、巨人!」
『三者を超えし者』が作り出した巨人が俺達の目前に迫る。
ソレを、火柱の一本で凪ぎ払う。
「馬鹿ヤロウっ!?
御姉チャンの事だから、何かの炎対策はしてくれてンだろうが・・怖ェんだよっ!?
目の前は勘弁してくれ!」
ゴメンちゃい。
当然『アイツ等』以外、有りと有らゆる人や物全てに防爆衣魔法は被せてある。
凪ぎ終えた後には・・無傷の巨人が居た。
・・ノーダメージ?
の、割りには手応えを感じたんだけど・・。
「炎が過ぎた直後にあの女が何ぞ、巨人に飛ばしたのは見えたがの。
強いて言えば・・灰色の【スライム】みたいな奴だの」
「巨人のダメージを、自分の体で再生させたようだね」
ヒトゥデさんとイェカさんはあの一瞬でソコまで見えたのか。
やっぱチートも無しで『対、村破級』になったディッポファミリー傭兵団ってスゲえなあ。
「あの女自身の一部をコストに、ギルド館四階をイケニエ召喚に使ったんだし。
モンスター効果は『コストを払い続ける限り、このモンスターは破壊されない』ってとこね」
「御姉チャン語はよく分からンが・・なら、あの女を直接狙えばイイって事か」
ダイレクトアタックか。
それも良いけど・・。
「『賢者』、オマエは『粘土』を・・完全には使いこなせ無いんだな?」
「な・・何を・・」
本当の意味で使いこなせているなら・・『賢者』自身の体で戦えばいい。
ソレをしないのは・・。
「俺自身がそうだからな。
颯太や源太ちゃんよか魔力操作は上なのに、俺自身の体は俺自身の身体強化魔法に堪えられ無いし」
俺が全開で超速歩魔法なんか使ったら・・たぶん死ぬ。
何かにぶつかって死ぬ。
どっか崖に突っ込んで死ぬ。
ゲロまみれになって死ぬ。
俺が本気を出すには、身体の外・・炎だとかに使うしか無い。
しかも、全魔力を使うと初めて魔法を使った時の『腕』の二の舞になる。
「オマエは、自分のチカラ全てを使え無い」
「・・・・・・っ!」
「「 こんな威力が何時までも持つ訳が無い 」?
正解だよ、小出しにしか出来ないさ。
小出し同士、魔法同士で勝負だ」
「舐めるなああァァァァっ!!!」
ヒトゥデさん達が見たという『灰色のスライム』とやらを、『三者を超えし者』が巨人に数発打ち込む。
更に大きくなる巨人。
俺も炎の柱の数を増やす。
「傭兵的に言えば・・敵の喉元だけ食い千切って、さっさと終らせろと言いたいとこだがの」
「相手の得意分野を真っ向から叩き潰して格の違いを見せつける───のも大事か」
「はン・・。
傭兵家業御、舐められちゃ御仕舞ェよ。
姉チャン達が初めて傭兵ギルドに行った時の事を覚えてるか?
・・イチャモンつけてくる馬鹿に教えてやンな」
「了解っ!」
巨人が飛び降り、周囲の建物を取り込みつつ俺達から距離をとる。
おそらくは『三者を超えし者』の全力全開の大きさになった巨人がグッ・・と構え───
「行けェェェ!」
クラウチングスタートからのタックル!
対物理、対魔法、ともに普通の威力じゃあ跳ね返されるだろう。
「そっちこそ舐めんなァァァっ!
全力・大小自動追尾魔法 !
弾数大幅カット、貫通力マシマシ対戦車ミサイルモード!」
「弾数カットって・・数百発が・・?」




