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254『ヒーローは遅れてやってくる的なアレ。』


「『クワガタに気づいた = 俺等に気づいた』と考えるべきですかね?」


「流石にソコまで化物じゃ無ェ、とは思いてぇが───

・・まあ、化物ってなあ居るモンだしな」




ん?

ナンかディッポ団長が俺の顔をジィーッと見てくる?

・・テレるなあ。




「アタシの幼馴染みの頭の(あった)かさが不安だけど・・カメラクワガタ以外が村全体を見た限りは、自失者しか居なかったわ。

凡そ4~500人ぐらい?」


「普段は2000人近く居るンだがな。

確か、村に定住している連中が3~400人ぐれぇだったから・・正気の人間や、自失者が以前の行動のまま帰ったのか?」




自失したままの旅・・か。

注意力はゼロに等しいし、魔物に突っ込んだり荒れ地で転けたり・・ほぼほぼアウトじゃないか?




「知り合いも居るから助けてェが・・全てはココを解放してからだ」


「はい」




正直・・もう、全員手遅れ───

というのは、ディッポ団長なら嫌という程に分かっているんだろう・・。




「・・陽炎魔法をかけときますね」


「おう。

目標は『商工ギルド館』。

目的は『商工ギルド国境支部長の解放』とする。

・・行くゼっ!!」




皆が頷き、足早に商工ギルドへ。

彩佳のクワガタが使えないので、村を俯瞰して見れない。


俺の寄生虫探査魔法は大雑把な位置、人間かどうか、ぐらいしか分からない。

颯太の耳もたぶん似たもん。


近づく人間が居たら、魔力パスの強弱で皆に忠告する・・が、自失者数人に出会うぐらいで商工ギルド館に着いた。




「なンも、妨害が無かったな・・」


「カメラの女が『件の女』で、悪意を持って行動しているなら・・何らかのリアクションは有ると思ったんですけどね」


「細工は流々仕上げを御覧じろ、って事かしら?」


「商工ギルド支部長に何かしたかも?」


「・・ちっ、憶測でモノを言っても始まらねェ。

御姉チャン達とジキアとヒトゥデ(弓士)イェカ(剣士)は中へ。

ソウタ御嬢チャンと残りの連中は館を守れ!」


「「「了解!」」」



◆◆◆



「館内も自失者ばっかりっぽいですね」


「油断はすンなよ」




連合支部商工ギルド館は四階建て。

他の建物も大概二・三階建てで、広大な土地を持つリャター商会と違って横にではなく縦に広げた建物が多いイメージだな。


ギルド館一階から調べ、二階三階・・そしてギルド支部長室のある四階。




「反応、13。

反応しない(におう)のは・・2」


「・・そうかイ」




俺にとって敵であっても・・嗅ぎ慣れる事はない、匂い。


一部屋ずつ確認し、支部長以外は後回し。

結局、最奥の支部長室までギルド長は居なかった。




「反応、5。

うち・・」


「ああ・・。

この部屋は支部長と五人の班長の計六人(・・・)が使う部屋だからな。

今は会議中(・・・)なンだろうさ」




確認した部屋でも、洗脳以前の行動を再現する自失者は居た。


書類棚の前で同じ書類を何度も抜き差しする人。


何も無い場所を延々掃除する人。


食堂では頑固親父っぽい料理人が誰かカウンターに来るたび条件反射的に料理を作っていた。

( 一見、ちゃんと作っているけど「アレも不味かァ無ェンだろうが・・本来のアイツの飯は香りから美味ェ」との事。)


食材も( 今は )尽きて無いし、何もかも物流システムで出来ているこの村は自失者だけで必要最低限、回っているようだ。




「【銀星王国首都】やリャター商会も、俺達が騒動を起こす前は完全洗脳者達で自失者達を上手く回していたようだし・・。

大侵攻で多くの完全洗脳者を確保した今、立ち行き行かなくなった街や村って多───あ痛っ!?」


「考えてもしょうが無ェ事を考えンじゃ無ェよ。

今までの村も私利私欲のためとは言え、正気の奴等が自失者達を動かしていたンだろうが」


「そうッスよ。

クズはさっさと真人間にする、助けるべき人はさっさと助けるッス!」


「・・ん、そだな。

行こう!」




今は【人土じんど村】。

その為に国境の村との物流を回復させる。

───その為に。


支部長室の扉を開ける。

居たのは自失者5人と・・残りの1人。

座る席から主に魔物を解体、各素材毎に別ける班の班長らしい。


ギルド支部長は奥の席、会議を一目で見渡せる位置の人か。

生命反応から、自失者だった事は分かっていたけど・・。




「取敢ずザレ、ビタ、三人で試そう」


「分かりましたわ、御姉様」


「カンタお姉さんが【巫女化】、ザレさんが【人狼じんろう化】を頑張っている間、私も【人花じんかの巫女】として修行していたのです!」


「よし、行くぞ!

・・せぇーのっ!」




【三種族の巫女】三人同時に触る。

全員、少しずつとは言え【巫女】として成長している筈なんだ。




『う・・ぁ・・・・?

で、ディッ・・ポ・・?』


「おおっ!?」


『・・ぉ・・・・』




駄目かっ!?

今まで、無茶はしないよう試さなかった【巫女化】も同時にヤる!


・・くっ、全く別のベクトルのチカラが暴れて───




「そのやり方では駄目」




ソイツ(・・・)は、女は・・突然、いきなり、ソコに居た。


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