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250『道端で、知らない誰かが知らない誰かに怒鳴られているのを見かけると切ないです。』


新しい村で見つけた正気の女性。

俺より一つか二つほど、歳上なのかな?


ザレに女性を秋原家に連れて行くよう頼み、俺はもう一人居た正気の男 ( 正気か? ) から『懇切』『丁寧』に『御話し』をする。


その間に彩佳とジキアは村民の対応。

村そのものの問題は何時もの如く、容易く終わらせる。



◆◆◆



「み・・皆さんも正気なのですよね?」


「ええ。

貴女の症状を聞いて良いですか。

【空の口】の声を聞いたのを忘れたのか、大事な人を忘れたのか」


「・・はあ・・そういう人も居るんですね」




・・ん?

『声』か『大事な人』か・・『忘れる』事を知らない?




「まさか・・ジキアみたいに全部覚えている?」


「ディッポ団長みたいに、寝て目覚めたかもッス」




だけど女性が首を横に振る。




「私は・・空から声がして───

頭の中がスゥー・・っと白くなって、ソレからはずっと夢の中にいた感じだったんですけど・・。

気づいたら、知らない女性が助けてくれたんです」


「助けてくれた・・?」




彼女自身はまず『自失』したんだろう。

洗脳を解くチカラが有る?

ピヒタがペリオラさんやディッポ団長の洗脳 ( ? ) を解いてくれたように、別集落の【人花じんか】が彼女の洗脳を解いた・・?


以前ビタやピヒタ、【人狼じんろう】達に自分達以外の部族を知らないかと聞いた時は「 分からない 」との事だったけど。




「その女性って?

もう村に居ないのかしら?」


「え・・ええ」




知らない女性・・ね。




「まさか───転移せずコチラの世界に残った【人土じんど】・・ですかね?」


「となると血の薄まった我等【日本人・人土(じんど)】では無い【源・人土(じんど)】となりますな」


「って事は、本来の【人土じんどの巫女】候補だった訳ですね。

コッチで【巫女】をやってんのかなあ?」


「そ・・ソレは───」




俺が軽い感じで言うと、ちょい恐い位の雰囲気になる【人土じんど】達。


そんなつもりは無かったけど、【巫女おれ】以外の【巫女だれか】を認める = 【巫女おれ】の軽視 = 【巫女おれ】に尽くしてくれている【人土じんど】に対して軽視する発言に聞こえたのか?




「俺は皆さんに感謝してますし、【巫女】の役目を放棄するつもりは有りませんよ」


「───っ・・取り乱してしまい、申し訳有りません」




皆がこうべを垂れるのを止める。


30人近い ( 男含む ) 成人が自分より年下の小娘に平伏せんばかりの勢いの光景に、救出した女性が俺の事を貴族だとかでも思ったか慌てて跪こうとするのを慌てて止める。

・・なんだこりゃ。



◆◆◆



「コッチに【変換機】みたいな魔道具とか無いのかしら?」


「アヤカ御姉チャンはその魔道具とやらが好きだけどな・・無ェよ、ンなもん。

『三種族』以外の可能性は───モスマンの繭みたいなンを使ったか・・」


「チャー?」


「或は、正気の貴族が何か魔法を使ったか」


「魔法使いに女の人は居ないんじゃないかなあ」


「御付きの女と見間違えたって事も考えられらァな」


「そっかあ」




ちなみに、もう一人の男は最初から正気で『件の女性』に助けられた訳では無い・・との事。




「───何か、嫌だな。

ソイツ」


「わ・・私を助けてくれましたし・・」


「ずっとこの国に居たなら男尊女卑とか分かるハズなのに・・正気の男が居たらこう(・・)なる結果も分かっているハズなのに・・放ったらかしなんですよ?」


「・・・・・・」




村民全員を助けず、一人だけ助けた・・。


ソレは───一人しか助けられ無かったから?

ソレとも・・この状況が望みだった?




「確かに悪趣味な奴も居るかも知れンがよ───

貴族にしちゃあ・・小さすぎっちゃァ、小せェな」




一貴族如きが、こんな世界になって・・手間と労力の割りには性癖を満たせるとは思えない。




「・・洗脳を解くチカラを持つ『女性』・・か」




洗脳されていた彼女は、当時の状況は優しそうな女性が助けてくれた───としか分からないらしい。

目覚め、村を彷徨いていたら・・あの男に襲われたようだ。


どんな手段かは分からないけど・・一瞬で治したのなら・・俺や【三種族の巫女】より凄いチカラの持ち主って事になる。


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