247『【人土《じんど》村】ツ○ヤ ( 擬き ) の、奥まったコーナーで13歳位の少年がウロウロしていたので「【巫女】様に・・ 」と言った途端、土下座してきました。』
「あっ、幹太姉ちゃん!」
「颯太、お疲れ様」
「うん、幹太姉ちゃんも」
「・・・・・・ああ」
あー、颯太は癒されるなあ。
みんな颯太みたく成れれば良いのに。
「なに無茶言ってんのよ」
「そうだな。
唯一無二、至高の癒しだから颯太なんだ」
「アンタきもい」
何故に。
「分かりますよ、【巫女】様。
我等にとって、貴女こそ至高!」
「アンタ等全員きもい」
「「「何故に」」」
まあ・・ソレは置いといて。
「ビタ、有難う。
怪我は無いか?」
「は・・はいっ!
有るワケ無いのです!」
「良かった。
あ、ディッポ団長、ただいま帰りました」
「おう、お帰りサン。
・・・・。
・・まあ、色々あったみてェだな」
俺の『後ろ』を見つつ、ディッポ団長が言う。
「そう・・ですね。
ジキアのフォローはしてやって下さい」
「はン、御姉チャンが慰めた方が早いだろ」
「えっ!?
エロい方法で!?」
「違ェよっ!」
何か色々妄想しているっぽいジキアを、今は無視。
「・・さあ、コッチへ」
『ハイ』
俺の後ろ。
虚ろな目をした女性達が付いてくる。
◆◆◆
「正気の人間は?
オマエ等三人だけか?」
「アがっ!
ガァあぁっ!」
頷くオッサン。
だけど。
「か"ア"あ"あ"ァ"ァァ・・っっ!!?」
「泣くぐらいなら嘘つくなよ。
俺が魔法使いだって分かってるだろ?
なら嘘は通用しないって分かるだろ」
「が・・っ」
「・・・・・・。
・・この状況で嘘をつくんだ。
『この状況』より『酷い事』を隠している───って事だよなあ・・?」
「っ・・・・!」
明らかに狼狽えるオッサン。
「・・2階か?」
「ンンーっ!?」
「・・どうやら2階みたいッスね」
「さあて、このクズ共が何を隠して居るのかしら?」
「どうせロクでも無い事ですわ」
彩佳達が上に上がる階段に進もうとして・・止める。
「あ、皆は村の他の場所を探索してくれ」
「「「 はあ? 」」」
信じられないモノを見る目で俺を見つめる三人。
「アンタねえ、今さらこんな───」
「───頼む。
見られたく無いんだ」
「・・・・っ!」
彩佳は俺と同じく再構成され、善悪と倫理を・・『若干』切り離して考えるようになった。
ジキアは『こういった』活動の先輩として、何よりこの中唯一の男として、皆の負担を減らす立場だという矜持があるんだろう。
ザレはこの中で一番のクズ男の被害者だ。
クズ男は許せないし、被害女性は出来るだけ助けたいハズだ。
「こんな世界に居る以上、自衛の為とか『そういう経験』をするのは仕方無い。
・・けどこれから先は、自衛だとかと関係無い」
「あっ・・アタシ達を見くびらないで───」
「見られたく無いんだ」
皆は自衛するだけで良い。
自分勝手だってのはわかっている。
◆◆◆
「───まあ・・自失した村人は畑仕事や漁で食糧を、勝手にとってきてくれる。
人の食糧やその他を摘まみ食いしようと怒られない。
・・小さな集落の小さな王様になった男達と多少、わちゃわちゃ在って・・」
ディッポ団長とオッサン世代のファミリー達が、静かに俺の話を聞いている。
一瞬、寝ているのかと勘違いするほど静かに。
表情は・・表現し難いな。
少なくとも無表情では無い。
「『忘れた者』の中に、村長の息子が居たんで村民名簿で村民の性格を確認して殆んどの男は【人茸】に」
作業中、彩佳にはずっとツネられたり脛を蹴られたり。
半ばほど終えた頃に 「 あの時、2階に上がってたら───こんなに早く解決しなかったのかもね 」 と・・あのタイミングで泣くのはズルいと思うんだ。
「女性は、医師の方に見せてからビタ達と共に洗脳を解く・・かも、ですね」
「そうかイ」
「もう【人土村】から流通のトラックは出発したそうでの。
帰りに乗せれば良いの。
後は妻等が善くしてくれる」
「はい」
たぶん無理して、だろうけど・・ディッポファミリー傭兵団が微かに微笑むのを見て───やっと、落ち着けた。




