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246『拐われたお姫様を、白馬の王子が助ける・・的な。』


「んー・・今、外を出歩いてる人は居ないわ」


「そうか・・。

時間も無いし、堂々と村の大通りを進むんで良いか?」




彩佳はクワガタで偵察、俺は村の全域に土魔法で小さな穴を掘り野球ボールサイズの火球を隠す。




「・・正直言うと皆にも着いて来て欲しくは無かったんだけどな。

『完全洗脳者』だけでなく───

・・『忘れた人』も、『敵』たりうるし」





『完全洗脳者』は、ほぼ全てが先の大侵攻に参加した。

なら、この村居るのは『忘れた人』と『自失者』だけだろう。

けど・・世界がこんなんなって、恐慌状態であろう男尊女卑主義の村で───

・・何が有るか分からない。


颯太とビタは・・ココには居ない。

ディッポ団長達を手伝ってもらっているから。




「・・母さんが『そういう目』に合って、あんな体になった事は知っているッス。

・・・・大丈夫ッス」


「御姉様、『この村』は『この世界』のごく一部ですわよ・・」


「日本にだってこういう問題は在ったわ。

いっそ炙り出しとでも思えば面倒が無いのよ」


「・・そうか」




皆から了解を選られたので、敢えて大声で会話しながら進む。

取敢ず、臭い家(・・・)以外を意識し───




「理性的な話し声が聞こえるな・・」


「ドコから?」


「あそこ。

ちょっと小高いトコの・・。

颯太や源太ちゃん程じゃ無いからこの距離だと内容までは分からん」


「ああ、村一番の金持ちっぽいトコね」


「確かあそこは村長宅、兼、集会所ッス。

村長が村の金の動きをすべて握ってるんで、目的地でもあるッスね」


「分かった」




徐々に近づくと・・大声で会話する俺達に気づいたらしく、人一人出てきた。

・・男だな。

ギリ、二十歳を越えてないぐらいの若い男だ。




「お・・女っ!?

お、オマエら村のモンじゃ無えな!

何モンだ!?」




警戒心バリバリ。

ソレはまあ・・こんな状況だ。

理解出来る。


・・ただなあ・・。


俺達を見て。

『じっくり』見て。

───『悪意』が膨らんだのは頂けないなあ。


顔をしかめそうになる彩佳を隠す。

俺がザレに教えた『感情レーダー魔法』を、今度はザレが彩佳に教えていたからアイツの悪意が丸分かりなんだよ。




「私達は行商人です。

( ほぼパラヤンさんだけの ) 商工ギルド ( が、有る【人土じんど村】) から来まして・・」


「何っ!?

オマエ等以外に生き残りが居るのか!?

・・・・・・。

・・騎士団や傭兵ギルドで無く、商工ギルドが?」


「はい。

狂暴化した方々から自衛する戦力を ( 商工ギルド以外で ) 有しています。

───こちらの村はどういった状況でしょうか?」


「・・・・待ってろ、正気の人間と相談してくる」




・・村全体を通った訳じゃないけど、会話っぽい物はあの家から聞こえない。

どうやら正気の人間は、あの家にすべて集まっているらしいな。


暫くして三人の男が出てくる。


一人はさっきの若い男。

残りは凡そ同年代の男と30代後半ぐらいのオッサン。

家族には見えない。

・・三人とも『悪意たっぷり』だ。




「いやあ、よく来てくれた」


「若い娘さんが三人も・・護衛はこんな少年一人で大変だったろう」


「食糧が尽きかけていてねぇ・・。

行商人なら大歓迎だ・・さあ、家の中で商談をしよう」


「・・では、お邪魔します」




最初の怪訝そうな表情は何処へやら。

満面の笑顔だ。

外面的には・・歓迎出来るか。

食糧云々が『嘘』でなければ。


オッサンが一番前、次いで俺、彩佳とザレ、ジキア、最後に若いの二人という順番で家の中に入ろうとして───




「「 死ねっ! 」」




若い男二人がジキアに対し腰の剣を抜き、一人は腰だめで突き刺そうと、もう一人は肩めがけ降り下ろそうとした・・トコロをジキアが軽くあしらう。


道中、ジキアはディッポファミリー傭兵団の戦闘術を習う合間───

リャター夫人の剣術と魔法を絡めた戦闘術のザレや俺や颯太と実戦訓練をしていた。


この程度の雑魚、『後ろから二人係り』程度でヤられる訳が無い。

( 教えるのは颯太より俺の方が上手いんだけど、俺がちょっと激しい動きになったら・・『体の一部』を凝視してデカい隙を見せちゃうのがなあ。)




「ぐあっ!?」


「ジキア、殺したのか?」


「まだッス。

一人はアキハラ甲冑柔術の『ヒザを踏み抜きつつ肘を梃子で折る』って技で、もう一人は土魔法で剣を持った手を潰したッス」


「そうか。

無茶(・・)はするなよ?」


大丈夫(・・・)ッス」




ジキアが傭兵として活動し始めたのは、ジキアの父親が死んだ戦争終結のすこし前。

そういう経験(・・・・・・)が有るかは・・知らない(・・・・)


でも・・平穏(・・)に生きられるならソレで良い。




「なっ・・なんなんだ、オマエらぁ!?

う、動くんじゃねぇぞ!」




俺の前を歩いていたオッサンが、俺を拘束する。

首筋にはお決まりのナイフ。




「御姉様・・」


「アンタねえ、ちょっと不謹慎よ」


「まあ憧れが無いって言ったら嘘だけど・・最後までコイツ等の行動を確認したかった、っていうか?」


「意味無いわよ」




平然と会話する俺達に・・『男に対し、従順では無い』俺達に・・オッサンは怒声を上げようとする。


怒声を上げるため、大きく開いたクチの中の空気の濃度を・・取敢ず10倍程にした。




「ムガっ!?

・・ガガ・・グガっ!?」


「───さて、事情を聞こうか」


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