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その姉妹品、危険につき──  作者: フユキ
集結・幕間
240/547

240『様々な視点⑥』


◆◆◆◆◆◆◆◆

『【人土じんど】視点』

◆◆◆◆◆◆◆◆


「行ったね・・」




人土じんど】総代表、『山柄 浦』は走り行く家を眺める。


走り行く家・・ある意味、魔法だ異世界だより遥かに不自然な光景を「 まあ、あの人だからね 」の一言で済ます。




「さあさあ、残ったワタシ等も問題は山積みなんだ。

やる事をやるよ!」


「「「はい」」」



◆◆◆



「【スライム】『D3』『F2』『J4』死亡。

『D2』適合率68%『G1・2・3』適合率74.36%」


「ふう・・やっぱり『Bシリーズ』───幹太さんが、【巫女】が、直接魔力を込めた【スライム】が一番適合するね」


「【人土じんど】の血が相当薄い者でもほぼ100%ですからね。

・・・ただ」


「ただ?」




薄暗い研究室。

其処に【人土じんど】総代表の山柄は居た。


多数の容器に【スライム】が詰められ、様々な点滴針や電極が突き刺さっている。


まあ贔屓目に見ても動物実験だろう。

敵には恐ろしく残酷になれる御方だが、あの人には見せられないねと熱いコーヒーを飲みながら山柄は思う。




「【巫女】様の御優しい部分を受け継いだ、というか・・途中まではチカラを引き出せるのですが───宿主の負担になるレベルが来た途端に・・」


「寧ろ、自分が枯死しようと御構いなく宿主を守ろうとするんですぅ」


「はっ。

正しく我等が主、そのものじゃないかね」




【アジ・タハーカ】が自分のビルを襲って来た時、自分の身を挺して【人土じんど】を守ろうとしてくれていた。


事実、山柄がシェルターから出て再会したら、彼女は全身を軽くとはいえ火傷していたのだ。


まだあの時点では【巫女】では無かったのに。


あの人の、認めた人に対する慈悲には頭が下がる。

山柄が、場の【人土じんど】達が、本人の知らぬトコロで勝手に忠誠心を上げていく。




「───が、今回に関しては裏目だね。

ワタシだって、多少は無茶がしたいんだ」


「ええ。

とすると、適合率が規定値ギリギリの【スライム】を使うか・・」


「『aシリーズ』・・野生の【スライム】を使うか・・ですぅ」


「『aシリーズ』確か適合率は90%以上だったね・・。

非常に狂暴だけど」


「【巫女】様と颯太様が、『aシリーズ』・・というか『a』を身に受け【人土じんど】となった訳ですが、【巫女】様の魔力でやっと自分の望む量の【スライム細胞】に調整出来ます」




人花じんか】と【人狼じんろう】は『三種族』としての能力を使い、【空の口】の手下を相手している。


山柄達【人土じんど】は、その補佐。

止めを差したとて・・ソレは何らかの武器を使用して、だ。


人花じんか】達からは敵から直接、魔力を吸収・譲渡してくれる【人土じんど】に感謝を述べられるが・・そうじゃない。




「子供や非戦闘員の者には『Bシリーズ』を。

ソレ以外は取敢ず現状のまま。

しかし場合により───」



◆◆◆◆◆◆◆◆

『子供たち視点』

◆◆◆◆◆◆◆◆


「フェドリーちゃん、行っちゃったね。

・・良かったの?」


「・・うん。

アキホちゃんは【じんど】だから【巫女】のお姉ちゃんを助けたいって気持ちが分かるでしょ?」


「でも・・せめてナムァコ先生は戦う人じゃ無いんだし・・」


「ううん・・ワタシの『だんなさま』は【巫女】のお姉ちゃんの仲間だから」


「そうだぜ、オレ達ディッポファミリー傭兵団はぜったい仲間を見捨てねえんだ!

オレも・・オレも大人になったら今度こそあの旅に付いていくんだっ!!」



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

『クラッゲ・ナムァコ視点』

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「・・・・・・」


「「・・・・・・」」


「・・いや、昔はそりゃ御二人と颯太の事は認めていましたよ?」


「な・・なら、ちょっと・・!

防衛する砦の中は隅から隅まで知っておきたいじゃないかっ!?」


「コレを見てもそう言えるのかあっ!」


「ソレは・・『シャシン』とか言う───なっ!?

ひ、卑怯だぞ、カンタちゃんっ!?

ココでフェドリーちゃんのシャシンを出すなんて───」


『なァにが卑怯なンだ?』


「「ひいっ!?

だ・・団ち・・!?」」


「別に御前等の性癖をとやかく言うつもりは無ェよ。

・・女が泣きさえしなきゃあなア・・!」


「な、ななな、泣かしてやいませんが」


「オメエ等、御姉チャン家の風呂ァ禁止とするからな」


「「そんな・・!?

オレ達は純粋な愛を───」」




「やっぱディッポファミリー傭兵団ってエロばっかじゃない・・」


「ですわ・・」


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