222『「 御姉チャンには人と人を繋ぐ『縁』みたいなんがあるンだからな 」辺りのシーン。』
「・・よし、生命反応ナシっと」
「分かるんスか?」
「ディッポファミリー傭兵団に居た頃、日本人は生魚を食うっつったらスゲエ引かれたじゃん?」
「あー・・そういや」
「毒や病原菌には今ンとこ、無効だけど・・寄生虫を探査する魔法は出来てさ。
こういう事にも使えるんだ」
他に生命の無い特定の場所の生命反応、『シメた魚の寄生虫』『湖の魚』『岩場の魔物』なんかだと良く分かる。
( 草花や苔、虫とかにはほぼ反応しないしな。)
「はあぁ・・生魚、スか」
「いや、今は【ソニックラビット】だから」
「生魚・・日本人・・」
「ジキアく~ん?」
ジキアがフリーズしてしまった。
「ジキア君、まだ【人土村】の食事は大衆食堂とかしか行った事無いんでしょう?」
「えっ?
はい、そうッスね」
一緒に日本から転移してきた、【人土】の医者だ。
再会したジキアが栄養失調だったんで、彼に診て貰っていたんだけど・・?
「『お寿司』と言って、比較的外国人にも人気のある生魚の料理を出す店が有ります。
【巫女】様は寿司も好物ですよ」
「本当ッスか!?
『オスシ』・・ッスね!?」
皆と戦う河側へ行くため、車に乗る途中・・そのお医者さんから謝罪を受ける。
「実はジキア君の治療中・・【人土】にとって、如何に【巫女】様が素晴らしい方か───という事を熱弁したのですが」
「あー、ソレで・・」
「田坂代表とのイザコザを聞きまして、『ああ、私のせいか』・・と」
「そ・・そんな事無いッス!
オレが悪いんス!」
「ま・・しょうがない。
今度、寿司屋デートするか」
「は・・はいッス!」
別に誰が悪いとかは無いけど、全員が ( 俺ふくめ ) ちょっとずつ悪いとしとこう。
謝罪も込みで、助け助けられ・・だ。
◆◆◆
「全力・非爆発型貫通弾魔法、石弾タイプ!」
車での移動中も、射線が開けるたびに地面の丁度良い石をどんどん撃ち込む。
燃料を補給するヒマは無いので炎ではなく土魔法。
なので非爆発型。
( パスで凡そ戦場を確認出来るとはいえ、誤爆をふせぐ意味もある。)
「このスピードで走る車の中から一瞬で飛ばす石をキャッチして、飛ばす場所に飛ばせるなんて・・。
偉そうに魔法の使い方を教えてた頃が恥ずかしいッス」
「何、言ってんだよ。
あの頃が在ったからこそ今の俺だし、俺や颯太が生きているんだ」
「とにかく今は逆にオレがカンタさんから勉強させて貰うッス!」
言って、窓に張り付くジキア。
珍しく ( ホントな。) エロ心が一切無く近づいてきたってのに・・興奮するジキアの鼻息が───ちょい、くすぐったい。
さっき完全洗脳された女生徒達の洗脳魔法を食うため成った【巫女化 ( 弱 )】の影響か。
今は制御の道が見えかけてきたのと───ディッポ団長と話していたら・・その、まあ、なんだ。
すげえシリアスなシーンの時だったんで、ディッポ団長のバレたらソレなりに怒られるであろう感じにはなったんで、そんなに腹は減ってない。
( ジキアのせいでアレ? って感じではあるけど。)
「・・っと、颯太と源太ちゃんから『良』の感情がきたな」
ので俺からも『良』と返す。
途中、ビタ達【人花】と合流。
「被害は?」
「植物豊富な場所で【人花】が負けるなんて有り得無いのです」
「だ、だだだ、大丈夫です、【トイレの巫女】様!」
ピヒタがまた俺を見てビビり始めた。
さっきの上空に打ち上げた数万発の大小自動追尾型魔法を見たのかな?
取敢ず車の中に有ったコンビニオニギリに魔力付与をし、クチに突っ込むと途端にトロ目になるピヒタ。
急ぎとはいえ我ながら仲間に対して雑な説得だとは思うけど、ソレだけで再び懐くピヒタのチョロインぶりに心配もある。
「疲れで怪我人が出る前の適当な所で引き上げてくれ。
コレは第一波に過ぎないからな」
「分かったのです」
「みんなの分も【人土村】で用意するから」
オニギリをハムハムするピヒタに、ビビりの目ではなく絶望の目で見てくる【人花】に約束して河側へ出発。
( 車に80人分ものオニギリは無いし。)
◆◆◆
「幹太姉ちゃん!」
「颯太、源太ちゃん!
調子はどう?」
「雑魚ばっかりだし、問題は無いよ」
「強いて言うなら腹が減ったのう」
「ソレなら父さん達が【ソニックラビット】を調理しているから」
他の皆にも、かすり傷ぐらいは有るけど問題という問題は無い。
「【アローバード】はビル郡を飛び越えるからな!
全力・大小自動追尾型魔法!」




