219『初対面の軍なのに「 なかなかヤるな 」「 オマエもな 」と、抜群の連携を発揮する作品も在りますが、サインとかどうしているんでしょうか?』
「ペリオラ殿・・か」
世間的には【にいずほっぐ】を倒したんはペリオラ殿達になっとる。
幹太は「" 核 " なんだから " 核 " が本体に決まってんじゃん!?
本体を倒したのは源太ちゃんだ!」と強く言われたが、あの自信はなんじゃろな?
( 彩佳ちゃんと「 なあ? 」「 当然よ 」と交わしておったが・・若者には当然なんじゃろうか?)
序でに言えば、儂は弱った核にトドメを差しただけで・・真に戦うたんはザラクス殿じゃしのう。
あんまり儂が【にいずほっぐ】を倒したとかは、言うて欲しくないんじゃがな。
「【ソニックラビット】も【アローバード】も世界中に生息する魔物なので、敢えて説明の必要は無いだろう」
『速い』『すぐ逃げる』だけの『破級外』じゃな。
「しかし今回の奴等は真っ直ぐ此方に向かってくる。
恐らくは『黒い川』だろう。
つまり逃げずに攻めてくる筈だ」
果たしてソレがどう出るか。
【アジ・タハーカ】は、山柄殿のビルを破壊することのみを意識しておった。
阿保になったとも言えるし、絶対に諦めんようなったとも言えるしのう。
「対策だが───
今の我等は【空の口】討伐という志を元に集まった仲間ではあるが、昨日今日会った赤の他人の集まりでもある」
確かにの。
幹太と颯太の知り合いが殆んどで・・顔をチラッとしか見た事の無い者も多いわい。
「故に、弓隊は別として近接部隊は各々が各々の領分のみを守ってもらう。
変に他領分の穴を埋めようとしないように」
「ほう・・リーダーシップをとりたがる者はこういう時、別傭兵団同士を無理に組ませたりするモノだがな。
・・腐っても『対、街破級傭兵団団長』か」
近くにおった・・たぶんディッポファミリー傭兵団の一人が呟く。
彼等傭兵は時に、戦争の兵士として雇われる事もあるという。
(『対人』に抵抗無い者は、じゃが。)
質の悪い貴族が上司になったら傭兵の戦法より騎士の戦法を優先したりするんじゃろうの。
「ワタシには作戦でも何でも無いように聞こえるんだけどね。
ようはバラバラに好き勝手にヤれって話だろう?」
「ペリオラ殿の作戦は・・まあ、一見適当じゃろうがココに居る者なら出来ると見抜いた上で、じゃからの。
あとは必要最低限の共通サイン ( 総員撤退とか。) を作るしかあるまい」
女学園の女生徒達も一瞥しただけで、個々の戦力を見抜いておったしな。
運動会などでも分かると思うが・・ほんの4~5人が敵味方入り乱れるだけで、言葉による指令は届きづらい。
一瞬の攻防の中で、知らんサインが飛び交うのは・・ちと怖いの。
極論、見知らぬ赤の他人のアイコンタクトを理解出来るかっちゅう話じゃ。
「一番頼りになる不特定多数同時攻撃能力がある幹太と、遊撃能力の高い颯太が出られん以上、拠点を生きて守る事が最優先じゃしな」
「餅は餅屋かね」
◆◆◆
「始まった・・」
【人土】達と共に【人土村】内部の防衛を命令された女生徒さん達が気落ちしてるッス。
彼女達はフルメンバーじゃ無い上、戦闘上位者はほぼこの檻の中ッスからね。
「カンタさん達の最後の砦に選らばれたのは確かッス」
「・・そう、ね」
「ソレに・・さっき気づいたッスけど、ソウタちゃんが言う檻の中の彼女の悪いパスが千切れるたび───皆さんとの魔力が交流してるッス」
「えっ?」
「他人のパスは見えないんで、可能性の話ッスが・・一緒にいる事で悪いパスを千切る手伝いをしてる筈ッス」
「そう、なんだ・・分かったわ。
みんな、頑張りましょう!」
「「「ええ!」」」
良かったッス。
でも元々、理不尽から立ち直る能力は男であるオレよか鍛えられているんだろうッスね。
「【アローバード】は高く飛ぶ鳥じゃないッスからこの建物は飛びこせないはずッスけど・・何千何万といれば例外はあるッス」
「分かったわ」
「守るのはカンタさん、ソウタちゃん、アヤカさんもそうッスけど、この檻を囲む結界も只の網なんで、そんなに強くないッス」
「そうね、となると私達の配置は───」
【人土】の方々と作戦会議をするサマは【ファフニール】と戦った時の彼女達と同じ希望に満ちた顔ッスね。
◆◆◆
「5.4・・5.5・・5.6・・」
「昨日の訓練はもっと苦労したのに・・」
「5.7 幹太姉ちゃん 5.8 人を助ける時 5.9 力を発揮する 6% するんだよ!」
「ええ、ええ。
可愛い女の子や男の子には特にそうじゃないの?
・・幹太、ストップ!
そろそろ様子見よ!」
「・・幹太姉ちゃん、ディッポ団長も好きだけどねぇ?」




