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212『「まさかあの旅の間に───ぅおのれ、ザラク・・」「ポロヤン殿?」』


「俺達を襲い、俺に従う事を決めた【人狼じんろう】達の・・まあ、代表だよ」


「タロ、という」


「プッチだ」「ポチだ」


「げ・・源太じゃ」




源太ちゃんにとって・・【人狼じんろう】は大事な人と繋がる種族。


ずっと仲間にしたいと言っていたのが・・探しだそうとした直後に、日本に転移してしまった。


それなのに・・ようやく出会った【人狼じんろう】とは戦闘だ。


俺と颯太と父さんが自然にしているから、まだ平然としているけど・・結構、内心ゲンメツしているっぽい。




「タロはザラクスさんの叔父・・プッチとポチは幼馴染みだそうだよ」


「何と・・」


「そして俺達の親戚(・・)で源太ちゃん。

・・ザラクスさんの、最後を看取った人」


「成程・・な」




お互いに、お互いの、情報交換。




「───そうか・・【ニーズホッグ】と・・。

最後は【人狼じんろう】として死んだ、か」


「ザラクス殿と・・ザラクス殿の子は、里においてどうなる?」


「どちらも、我等と族長とで意見が変わるだろう。

我等としては・・ザラクスも、その子も、本人の意志を尊重する。

ザラクスは裏切り者ではなく、子も【人狼じんろう】の生き方を強要するつもりはない」


「・・そうか」




源太ちゃんから、涙が一筋流れる。




「幹太、彼等の拘束を」


「ん、分かった」




元々、彼等は反省してからは大概の指示を受けいれてくれていた。

手足の拘束はケジメみたいモンだ。




「俺達もザラクスさんの子供が次の【巫女】、もしくはその候補で洗脳を解くチカラがある・・と、思ってんだけど・・族長はやっぱ?」


「ああ。

ザラクスの兄貴に子供がいるなんてバレたら、何としても里へ連れ帰るだろう。

育ての親を殺して、でも」


「洗脳云々の話を知れば尚更だ。

『外の民だけ洗脳で苦しめ』ってな」




しょっぱいなあ。




「ちなみに・・見て分かると思うか?

ザラクスさんに顔が似てなくても」


「ずっと一緒に居たんなら匂いで分かるがな。

兄貴の子が何時産まれたか、今何歳か分からんのなら無理だろ」


「まだ【巫女】として目覚めていないなら尚更だ。

アレ等の母が【巫女】だった頃に娘からは【巫女】の " み " の字も感じなかった」




だよなあ。

やっぱザラクスさんの子、【人狼じんろうの巫女】を捜すのは諦めるか・・。


族長以外の【人狼じんろう】は源太ちゃん預りで一部制限付きながら、【人土じんど村】を自由にして良い・・という辺りで話も御開きにしよう。


───さっきから視界の端ッコで、源太ちゃんからかもし出る甘酸っぱい雰囲気にギリギリしているポロヤンさんが恐いし。



◆◆◆



「そういや【人花じんか】の【巫女化】って、どうなるんだ?」




山柄さんの会社の社員食堂で昼食。

・・の、ついでに【人花じんかの巫女】についてビタに質問。


まだビタは【前巫女】にして姉の死を聞かされて間もないらしいけど・・。

寧ろ変に気遣われる方がしんどそう、との事で俺も敢えて聞く。


どういう能力なのか、俺の【巫女化】みたいな暴走の危険性があるのか、平穏なウチに調べておきたいし。




「さあ・・ヒリタ姉様が【巫女化】したトコロを見たことを無いのです───」


「・・あのう」




人花じんか】の人達がキラッキラした目で段ボールに入った様々な野菜を持ってくる。


昼食に、さっきの魔力付与野菜料理が食いたいらしい。

( ココの野菜は【人花じんか】が卸しているそうで魔力との親和性が高い。)




「ピヒタ姉様・・いやしんぼなのです」




と・・言いつつ、ビタも頬を染めて俺と野菜をチラチラ見ている。


さっきの【人狼じんろうの巫女】捜しの時、【巫女】であるビタは俺達の手伝いで魔力付与野菜を食えてなかったしな。




「はいはい、じゃあ段ボールをテーブルに置いて」


「「「わぁ~い♡」」」




ビタやピヒタはともかく・・イイ歳のオッサンまでも、手をあげて喜んでいる。

何だ、この我儘な生き物。

可愛いって思っちゃったじゃないか。

( 【人狼じんろう】と対比したら余計に。)


人花じんか】達が置いた段ボールの中の野菜に魔力付与し、社員食堂の厨房へと持ってゆく。

( 社員食堂の料理人も俺達の様子を伺っていたのは気づいていたけど・・料理中、味見をして奇声をあげていた。)




「・・美味しいわね。

っていうか・・高位魔物を食べた、あの満たされる感じ?」


「そうッスね・・しかも、村破級より効果が高く感じるッス」


「我々はソレ以上です!」


「わあ、ビックリしたあ!?」




食堂の料理人が厨房から飛び出し、興奮気味に話かけてくる。




「【人土じんど】でない皆さんはその程度かもしれませんが【人土われわれ】にとって、この・・この・・なんと言ったら良いか───」




鼻息が荒い。

じゃっかん恐い。




「『ポーシ○ン』しか使ってなかったのにいきなり『エ○クサー』を使ったかのような・・」


「あー・・その例え(・・)、意味は分かりますけど・・そんなに?」


「ええ!」


「【人土じんど】・・ってか、【スライム】がそういう生態なのかしらね?

ボスが魔力を吸収して、部下に与える───みたいな?」




うーん・・。

コレから忙しくなるし、魔力消費も増えるだろうしなあ・・。


取敢ず「 一日一回、状況次第で増減有り 」という条件で【人土じんど】用食材に魔力付与してみよう。



◆◆◆



「あっ、ペリオラさん」


「なんだ?

我に用か?」


「ペリオラさんにっていうか・・。

ピヒタ、道中で助けた人間ってこの人か?」


「え~っと・・ガリガリだったんで、よく分かんないですけど───髪型とかは同じ?」




ビタが俺と同じく、自らの意志で【巫女化】出来ないようなので一旦置く。


一連の出来事でピヒタが俺に対する恐怖心をとき、すっかり懐いたっぽいので踏み込んだ頼み事───


【空の口】の洗脳に対抗し続け、意識を失ったペリオラさんを救った『植物』・・おそらくは【人花じんか】の能力を見せてもらおう。


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