208『秋原幹太16歳、生まれて初めて 「 道端にトイレを作ってはイケません 」 と怒られています。』
【巫女化】は言わずもがな。
残りは【変換機】と【複数の巫女】、どっちも『洗脳を解く手段』としては時間がかかる上に危険がある。
だから救える数は少ない。
だからソレ以外は切り捨てる。
・・けど。
彩佳のキノコなら。
短いサイクルで完全洗脳者を救える。
短いサイクルで完全洗脳者を救えるのなら───暴れている残りの連中は一時的に閉じ込めでもしておけばイイ。
「そう、思っただけなのに・・どーしてこーなった?」
◆◆◆
「幹太っ!
キノコが尽きたわ!?」
「あ、彩佳ちゃんを湿度のある所に連れていけば良いのかい!?」
「オジさん、アタシを椎茸か何と勘違いしてません!?」
まだ結構、完全洗脳者は迫ってきているしな・・。
「───幹太・・魔力ちょーだい」
「ちょーだい・・って、魔力譲渡か?
コレ、ヤる方もヤラれる方も " 負担 " がデカイけどイイのか?」
「魔法使いじゃないアタシは自然補給しかキノコに魔力を注げないしね・・。
・・お願い」
・・うーん。
俺もこの感覚って苦手なんだけど・・仕方ない。
───行くぞっ!
「ひゃあっ!? ・・あっ! ああぁっ!?」
「・・んくっ・・!
や、やっぱひ───コレ・・俺も!?」
「ストップっ!
ひ、止め・・終わり、終わりよ!」
「ふぅー・・」
あー・・頭が白むー・・。
「───な?
" 負担 " がデカイだろ?」
「そ・・そう、ね。
ダメだわ・・うん、コレだめ」
「「「ええー?」」」
オッサン連中がうるさい。
なんなん?
頬を染めた奥さん達に、引っ叩かれている。
なんなん?
パラヤンさんが明後日の方を向き、ポロヤンさんと母親方が子供たちの目を塞ぐ。
なんなん?
「お・・オレ以外にやって欲しくは無かったッスけど・・コレはコレで───御父様、恐いッス!?」
「誰が御父様だ!?」
ジキアが鼻血をボタボタ垂らしながら前屈みで、鬼の形相の父さんに怒られている。
・・マジでなんなん?
「僕もいつか理太郎君と・・♡」
「【人土】たるは『触』と『食』と『蝕』は同一っぽいですね、【巫女】様」
食・・まあ何となく分かるけど・・。
何故か・・『ハツのヨル』っていう・・言葉? が、浮かぶ充実感 ( 失敗したけど ) はあるけど───やっぱり、なんなん?
◆◆◆
「彩佳のキノコが現状、足りない以上───」
「ヤるぞ守るぞ頑張るぞっ!?
ぜひ続きを───痛痛痛っっ!?」
鍛冶屋のタゥコさんが一瞬でクワガタにまみれた。
何か似たようなホラー映像、見たことあるぞ。
「・・彩佳のキノコが現状、足りない以上は代案が必要だけど・・。
【巫女化】は言わずもがな。
【変換機】と【複数の巫女】、どっちも『洗脳を解く手段』としては時間がかかる上に危険があるしなあ」
だから救える数は少ない。
だからソレ以外は切り捨てる。
・・けど。
彩佳のキノコなら。
短いサイクルで完全洗脳者を救える。
短いサイクルで完全洗脳者を救えるのなら───
「暴れている残りの連中は一時的に閉じ込めでもしておけばイイ・・か。
・・よし、【人土村】周辺の完全洗脳者だけでも土牢に閉じ込めよう!」
我が家のスピードを上げ、【人土村】が正面に見える位置まできた。
【人狼】達と彩佳のキノコの完全洗脳者・・【人茸】達を回りに走らせて・・!
「行っけえ───」
「『トイレ』に閉じ込めたら可哀想だの」
「・・っ!?」
「『トイレ』は駄目なのである~、『トイレ』は屈辱的なのである~」
くっ・・!?
ヒトゥデさん達、いくら完全洗脳中の出来事とはいえ・・トイレに閉じ込められた事を恨んでいるっぽいな。
お笑いDVD好きの子供たちに説明したことによりプチブレイクしている、あの芸人達の、あの芸・・。
子供たちから聞いたか、ソコソコの完コピで煽ってきてワザに 「 押すな押すな! 」 のマネまでして・・。
───あっ、ダメだ・・やっちまった・・。
◆◆◆
「その・・のう・・。
幹太と颯太だけでなく、仁一郎君や彩佳ちゃんとも再開出来たことは喜ばしいがのう・・。
・・何でトイレなんじゃ?」
「幹太殿?」
「お姉さん?」
───久しぶりの家族と仲間達から、「何故トイレ?」 と、責め続けられる。
間違いなく、感動の再開場面だったハズなのに───
「・・どーしてこーなった?」




