207『展示即売会の如く並んで建っています。』
「敷地内ン魔物はこんだけかのう!?」
「ああっ!
幹太殿のお陰で空に待機してた【ガルーダ】は全滅だからね、この場には居ないよっ!」
空の魔物はともかく・・幹太の魔法は【人土村】に被害が出ん位置にて爆発した。
よって、人間の敵はかなりの数を引き受けもってもらったが・・この辺の敵に被害は全くと言ってイイ程に無いの。
敷地内の【ガルーダ】退治で、ダメージは無くとも疲労と寝不足でフラフラじゃ。
「「「おおおぉぉーーーっ!
我ら魔女の守護者!
魔女の敵を殲滅すべし!!
魔女の敵を殲滅すべしっ!!! 」」」
「あの炎に相当びびっているようだね。
村を囲んでた敵はかなり減ったとは言え・・残った敵のツラが猫を噛もうとするネズミみたいだよ」
為る程。
確かにの。
「こ・・ココが踏ん張り時だな!
集結した暁には幹太さんとの結婚だ!」
「あ~ン、血痕になりそうな奴は放っといてぇ・・ココは死守するんですぅ」
「全力・・全開」
「この連日の魔力吸・・正義執行で、我の魔力も真の目覚めを向かえつつある」
うむ。
敵が恐怖で戦意高揚しとるようじゃが・・儂等は儂等で、希望による戦意高揚しとる。
が───
「幹太と颯太が最低一カ月かかるハズの道のりを、この短期間でココまで来たカラクリは分からんが───流石に自ら集めた敵に足止めを食らうじゃろ」
「カラクリ、とやらは・・ひょっとしたら【人土】が何人か車で付いてきたのかもね。
異世界に来て魔力も上がり、パスを感じ・・無くも無い、よ?」
車・・車のう。
まあ道なりは幹太の魔法で均せたとして・・ガソリンがココまで持つんか?
「もし完全洗脳者の中に、お姉さん達の恩人が居たら・・一人ずつ対処するんでしょうか?」
「仮に【人土】が付いてきとったとしても・・【変換機】はまるで足りまい。
【モスマン】が居らんから【モスマンの繭】も無いしのう」
≪チャー・・≫
仕方あるまい。
あの子等も自ら戦場に立ったんじゃ。
全ての覚悟は有───
〔───あ・・新たな魔物が襲来っ!〕
うん?
監視室からの村内放送。
ヤレヤレ・・またか。
〔土煙と共に、狼の魔物と───立ち去ったハズの完全洗脳者が来ますっ!〕
立ち去った・・完全洗脳者?
「・・まさか幹太と颯太は───い、いや・・二人の魔力パスは確かに感じる・・んじゃが、目眩のせいでキチンとは───」
「源太さん、とにかく一度休んで下さい!」
「いや、儂も監視室に行───」
〔つっ、土煙の奥に巨大な魔物・・ま・・まも・・・っ!?
イエェェーーーーッッ!?〕
イエーイ??
何じゃ? 何事じゃ!?
まさか、監視室も洗脳されたか!??
〔攻撃・・来ますっ!〕
儂等が監視室に着いたと同時に、映像が " 巨大な魔物 " とやらから魔物の放つ攻撃へと変わる。
「地面の・・津波!?」
「地震・・とは違う、けど・・。
何もかもを大地がうねつつ飲みこんでいきますぅ・・!」
「地獄門・・!」
「くうっ・・!
『堕天せし・・・トイレ??」
「・・あ?」
何じゃ?
" 土その物 " が、全てを襲い喰われた───かと思ったら・・地面からトイレが幾つも生えてきおった。
しかもコッチで一般的な奴じゃない、『日本式公衆トイレ』じゃ・・。
「あー・・すまんがのう。
さっき言いよった巨大魔物の映像を出してくれんか・・」
「は・・はい」
みな・・先刻までのシリアスな空気を、大量のトイレを前に維持するんがムズカシイのか、微妙な表情じゃ。
・・もし、ソレが───
「土煙・・晴れます。
巨大魔物は・・ど、どう見ても・・その」
「・・家じゃの。
しかも儂ん家じゃ・・。
つまり、さっきの津波は」
・・もし、ソレが───幹太の、完全洗脳者を殺さず捕獲する救援魔法であったとしても・・声を大にして言わせて貰おう。
「「「「何でトイレ!??!?」」」」




