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201『『三種族』イチの野性児。』


「な・・何が起きた? じ、自爆?

あんなとてつもない威力・・万が一【人土じんど村】で自爆されていたら・・はわはわ」




空一面に広がる炎を、田坂殿がワナワナと幼子おさなごのように震えながら眺めておる。

・・ぐっ、不覚にもカワイイと思うてしもたわい。




「たァ~さァ~かァ~・・あんた、一体『誰』に仕えてんだい?

・・あんな、あんな魔力!

たかが『街破級』よりも・・!!」


「・・誰?」


「あの(スーパー)正義執行(ジャッジメント)はやはり・・!」


「主・・帰還・・!」


「や~ん!

あたし見たんですぅ、アッチの方角から火球が飛んできたんですぅ・・!」


「いや・・誰?」


「成程のう・・冷静になってみりゃあ、あの子等の魔力パスを感じるわい」




助かったんか?

一カ月はかかる思うたんじゃが・・二人で超速歩魔法───スタミナが持つとは思えんがのう・・?




「植物たちが、完全洗脳者達は部隊を分けてアッチへ向かったと言っているのです」


「び、びび・・ビタ!?

なな何を冷静に・・!?

ま、『街破級』が───えっ?

空の魔物のほとんど・・余波だけで全滅!?」



◆◆◆



「幹太姉ちゃん、どうしよう?」


「ん?

どうした、颯太?」




俺が作った極大爆発魔法バンカーバスターを投げた颯太がナニヤラ不思議そうな顔をする。




「雲から急になんか出てきて、ソレに極大爆発魔法バンカーバスターが、ぶつかっちゃったみたい。

可哀想な事しちゃったかなあ?」


「うーん、タイミング的に【空の口】の魔物っぽいし・・イイんじゃね?」


「うん、そっか・・そうだねぇ」




颯太が投げやすいサイズに、巨大火球を圧縮した魔法は・・徐々に解けるようにしてあった。

( イメージとしては手榴弾。)


ただ予想値より一瞬はやく爆発したから 「 アレ? 」 とは思っていたんだけど・・まあ結果オーライとしとこう。




「なんだ・・と!?

こんな、こんな威力・・有り得んっ!」




一瞬で赤橙色に変色した空一面を見て、白色ジジイがフリーズする。

目の前を正確に認識出来てないなあ。




「お・・長!

異形の地より物凄い地響きが・・!」


「あの冗談みたいな爆炎を辿って『魔女の守護者』が、コチラへ来たかと!?」




人狼じんろう】がザワめいている。

元々はオマエ等が人任せにしようとした戦いだっつうのに・・。

放っといて、颯太と二人で我が家に帰ろっと。




「アンタねえ・・ちょっと熱かったわよ」


「す、済まん。

上がった魔力を考えて、全力フルじゃあなかったんだけどな。

この家の防壁魔力トーチカもあるし」


「まあ、家に張り付いていた【人狼じんろう】も剥がれたしイイんじゃない?」




良かった。

彩佳の機嫌が治っている。

・・・・本当に良かった・・!




「に・・日本征服ぐらいなら出来そうだな」




父さんが空を眺めながら言う。

だいぶ父さんも異世界だ魔法だ・・に、馴れたっぽいな。




「流石に正面衝突だとキツいけど、ゲリラ的にヤルなら・・ヤレるかな?」


「その時は我々【人土じんど】が全力でバックアップ致します」


「一応、冗談ですから」




・・一応、ね。

でももし日本に戻った時、全ての責任を秋原家や彩佳や【人土じんど】に向けてきたなら・・ホンの僅かでも害してきたなら・・ね。




「ココが・・戦場になるんですね」


「済みません、リラキアさん。

皆さんも。

怖いでしょうが───」


「いえいえ分かっておりますぞ、カンタ様。

今は、世界の何処に居ようと危険度は同じ。

・・この家以外は」


「ええ、父の言う通りですわ。

カンタ様の近にあればある程、防壁が強くなるこの家こそ世界一安全な場所なのですよね」




パラヤンさんとポロヤンさんがフォローしてくれる。


彼等の言う通り、家にかけた防壁魔法トーチカを最大限活かすには俺のそば・・つまり戦場のド真ん中が一番イイ。




「・・分かりました。

お食事を作って待ってますね」


「女神・・【巫女】のお姉ちゃん頑張ってね!」




父さん、彩佳、リラキアさん達ディッポファミリー傭兵団の非戦闘員、行商人母娘、パラヤンさん父娘、傭兵ギルド職員達。

皆が見送ってくれる・・けど。




「ココが戦場になるのは兎も角、だ」




ペリオラさんが難しい顔。




「傭兵として、殺すのも殺されるのも覚悟はしているが・・ペリオラ傭兵団の仲間も居るかもしれない完全洗脳者と戦うのは───『対人』でも無いしな」




戦闘員の、みんなの顔は暗い。

仕方ないよな。

本当の敵は【空の口】で・・これから敵対しようってのは───共に【空の口】と戦う仲間たりえる人々だ。


ディッポファミリー傭兵団は『対集団』で、必要とあらば戦争にも参加するけど・・あくまで行商がまったく出来なかった頃に、ファミリーを養うために選らんだ道らしい。


ペリオラ傭兵団も『対魔物』傭兵団であり、人を殺すことにイイ感情は持てないそうだ。




「ウエスト傭兵団も・・だよね。

お家のみんなを守る為なら、イザって時は───うん」




颯太が握り拳を作る。

俺と颯太は・・再構成のせいで、道徳観より自分の大切な者を優先してしまうからなあ。


下種傭兵団や半グレ共に・・【空の口】の手下。


颯太や父さんに彩佳達といった家に居る人達や【人土じんど村】に居る、俺の家族仲間恩人を害する者は───




「お・・お前ら・・」




人狼じんろう】数人が近づいてきた。

中には水色ジジイの一人や、颯太にヤラれたNO.1・2もいる。




「ん・・? なんだ?

まだヤルのか?」


「『三者』の子孫・・『三種族』の話は本当なのか?」


「オマエ等より強い俺達が、オマエ等()騙す(嘘をつく)理由なんてないだろ」




どうやら【人狼じんろう】は魔力が見えず、俺の言葉の真偽は分からないっぽいな。

凄い魔力を内包しているけど、変身に殆んど魔力を使っている感じか。




「ぐっ・・し、しかしオマエの言う通りだ。

我等は我等より強きオマエ等に、真に【空の口】と戦うオマエ等に従う」




嘘は言ってない。




「ならまず、【人狼じんろうの巫女】は居ないのか?

【巫女】がいれば洗脳が解けるハズなんだ」


「ほ・・本当か!?

・・・・。

───しかし【人狼じんろうの巫女】様は亡くなられた」


「・・そうか」


「【巫女】は長の娘だったのだが・・彼女の兄が掟を破り、【人狼じんろうの里】を出た」




・・・・ん?




「・・強く兄を慕っていた【巫女】様は・・兄を追いかけて里を出た直後に我等の目の前で魔物に───」





あ、兄貴の方の話・・なんか、どっかで聞いた話のような???


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