2『ポッチャリとデブの差はモロに意見が割れます。』
「・・どうだった?」
「・・・うん、僕も女の子になってた」
◆◆◆
颯太が目覚め・・俺を見て開口一番、「 御姉ちゃん 」 とのたまった。
ナニイッテンノ?
頭痛だのが収まって冷静に自分の身体を見下ろすと・・わあ、御立派なモノが胸にある。
「お、俺・・幹太なんだけど」
・・声高ぇー。
名乗っても最初は信じなかったが、俺達しか知らない情報 ( ココへ来る前の事とか ) を聞かせて信じさせた。
「俺はどう見ても女になったけど・・颯太ぐらいの歳だと分かんないなあ・・?」
と、言うと颯太は 「 えっ!? 」 という顔をし・・調べた結果、最初の遣り取りになった。
───まあホントはパニクった颯太が後ろ向くまえに、いきなり胴着ズボンを下ろしちゃったんで・・おもっきし見えたんだけどな。
( まさか初めてが彩佳じゃ───あ、いや・・。)
◆◆◆
「幹太兄ちゃん・・元々母さん似だったけど、もっと母さんに似てるね?」
「そ、そうか?」
「その・・女になって、ちょっとだけ丸顔になったけど」
「・・そうか」
母さんは、良く言えばキリッとした・・悪く言えばキツい系美人。
ソレが多少マイルドになった感じか?
「まあなあ、元182cmから───
・・160cmは無い、な。
なのに体重減ってなさそうだし」
本格的な武術は辞めても、朝練だけは続けていたのは・・太りやすい体質がコンプレックスだったから───ってのもある。
減った身長分、全身と胸に行き渡って『ポッチャリ巨乳』になったみたいだ。
・・デブジャナイヨ?
正直、今だに実感の湧いてない『女体化』よか・・コッチの方が辛い。
「そ、颯太は大丈夫だ!
颯太の顔は癒し系の父さん似だし、可愛いぞ?
・・縮んだけど」
「・・・うん」
俺程じゃないが颯太も僅かに縮んでいる。
幼い頃から鍛えているアスリートに、骨の成長を筋肉が抑えて背が低い人がいるように・・二歳の頃から鍛えている颯太も、9歳当時当時から長身だった俺や父さんと比べ、背が低い事をコンプレックスにしている。
女に成った事より、小学一年生にすら見える身長の方が辛そうだ。
・・可愛いのになあ。
【※作者注・幹太は天然変態ですが無害です※】
「うう・・幹太兄ちゃん・・コレ、どうなってるんだろ?
そもそも、ココ何処??」
見渡す限りの平原。
現代日本だと、あり得ない光景だ。
俺達が、何処ぞの誰かに拉致られ、性転換手術を受け、外国に放置された───
うん。 無理ありスギだな。
「どうも、漫画で言う・・【性転換モノ異世界転移】ってジャンルに、巻き込まれたっぽいかなあ?」
「漫画だとどうなるの?」
性転換モノ、ねえ・・?
男心と女心が移ろう、恋愛モノか───
『オ、女・・?
・・・オンナぁぁ!!』
───化物に襲われる凌辱モノ・・って、マジ勘弁してくれよ!?
咆哮が聞こえてきた方角を見ると、頭が犬 ( 狼? ) で身体がゴリラっつう化物が三匹、二足歩行で走って来た。
少なくとも地球上の生物じゃない。
「うわっ、石投げてきた!?」
どう考えても友好的行為な訳無えぇ!
ボーリング玉みたいな大きさの石が50mは離れてんのに届いたぞ!?
って事は、あんな腕力で直接殴られたら・・!?
「幹太兄ちゃん、逃げなきゃ!」
「あ、ああ・・そうだな!」