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その姉妹品、危険につき──  作者: フユキ
再再転移・幕間
198/547

198『様々な視点・源太編2・⑦』


「皆の者、一斉に行きますよ?

蔓よ!」


「蔓よ!」「蔓よ!」「蔓よ!」




リーダーらしき女性の掛け声と共に、至るトコロから植物の蔓が【がるうだ】へと伸びてゆき、絞めあげる。




「今です、毒草でブチ殺しなさい!」




【がるうだ】が息絶えたのを確認し、此方へと振り返りニコリと笑う。




「大丈夫ですか・・と、聞くまでも有りませんね。

人間なのに──あ、植物を操るチカラも無いのに、素晴らしい強さです」




植物を操るチカラ・・普段穏和で丁寧なんに、敵には容赦無いこの口調───




「 ( 一応、) もしかして【人花じんか】の方々かのう?」


「ひゅぇッ!?

じ・・【人花じんか】?

ななな、何の事やら?」




さっき自分等で

「 植物を操るチカラも無いのに 」 ちゅうたじゃろ・・。


幹太に、初めてビタ殿と会った時の言動に違和感を感じなかったのか聞かれたことが有ったが───


・・警戒心が先にたって気づかなんだ、と答えたら呆れられた意味が・・今なら分かるわい。




あの村(ビル群)は『三者』の子孫、『三種族』の【人土じんど】達が造る村でのう・・【人花じんか】の仲間も一人、居るよ」


「えっ? えっ?【人土じんど】?

実在したんですか?

・・って、【人花じんか】の仲間?」




警戒心が、イキナリ霧散しよる。

ちょい心配になるレベルじゃの。




「ピヒタ様、植物が我等を導いてきた場所とはひょっとして・・」


「そ・・そうですねっ!

此方の方も嘘は言ってませんし・・。

スミマセン、その村まで案内して頂けませんか?」


「エエよ、ピヒタさんじゃったかな?」


「ええっ!?

何故、私の名前を・・!?」


「に、人間侮り難しですぞ、ピヒタ様!」




ビタ殿は普段シッカリしとるワリに、大事な所でウッカリしとるんは・・幼児ゆえの迂闊さかと思とったんじゃがの。

種族的なモンなんかの?



◆◆◆



車が近づいてくると 「 鉄の亥だぁーっ!? 」 と騒ぎ、ビル群を見ると 「 地獄の針山だぁーっ!? 」と騒ぎ。

ビタ殿が呼ばれて来たら 「 わあ可愛いぃーっ!? 」 と騒ぎ。




「って、ビ・・ビタ!?」


「ピヒタ姉様!?」




御互い、顔を見合わすなり駆け寄る二人。

姉妹かの?

・・ザレ殿が言うような、『別の姉』も世の中にはあるからの。


ビタ殿と同じ薄く赤みがかった灰色の髪、将来のビタ殿を思わせなくも無い顔立ち。

・・まあ姉妹じゃろ。




「何故ピヒタ姉様がココに?

ヒリタ姉様の守護は?」


「・・ソレが───

良い?

落ち着いて聞いて?」


「・・は、はい」


「ヒリタ姉様は・・【巫女】様は亡くなられました・・」


「・・・・・・。

───えっ?」




困った笑顔のような表情のまま固まるビタ殿。

どうやら三人姉妹のようでビタ殿が末子、今、話になっておるのが長子らしいの。




「あ・・あの・・一体どういう───」


「貴女が族長命令で村を出た次の日・・族長は私達にも【アルラウネ】共を皆殺しにしてこいと、命令してきたわ」


「旅立った次の日・・ピヒタ様が忘れ物をしたので、取りに村へ戻った我等が見た物は───炎上する村でした」




ソレはもう・・遠目からでも分かる程、集落の全てが燃えとったそうじゃ。


生き残った者の話では出火元は『奥の間』と呼ばれる、長老と村幹部と【巫女】のみが立ちいれる場所らしいの。


どうしても里に残ると言った者を残し、里の生き残りほぼ全員がココに居るらしいの・・。




「そして【巫女】様を感じとれなくなったわ・・」


「ヒリタ姉様・・ヒリタ姉様・・」




ビタ殿が立ち尽くしよる。

自失した者達と似た雰囲気で───儂も娘を無くしたゆえに分かるが・・の。


儂の場合は同じく悲しんでおるハズの家族が支えてくれた。

今は儂にとっても、ビタ殿は家族同然。

今度は支える側に回らねば。




「生き残った者の中から・・我等からは【巫女】は生まれなかった」


「・・・・・・」


「だけど今・・【巫女】を見つけたわ」


「・・えっ?」


「つまり・・ビタ、貴女が次の【巫女】なのです」


「・・・・。

・・・・。

・・えっ?

えええぇぇぇぇっ!??」




───まあ・・【空の口】の魔法に対抗した人間の条件を調べると・・共通項は『幹太』と『ビタ殿』らしいっちゅうのを考えりゃあ・・な。


ビタ殿が【人花じんかの巫女】 ( もしくは、そのスペア ) っちゅうんは予想しとったがのう。




「あ、あの・・その・・!?!?!?」


「ビタさん、辛いのは分かる。

出来るだけワタシ等も助けるよ」


「貴女は?」


「ワタシは【人土じんど】の総代表・・長老だよ」


「ま・・まあ、これは失礼しました!」




山柄殿に頭を下げるピヒタ殿達。




「ワタシ等は英雄ヨランギ時代からの仲間じゃないか」


「「「おお・・」」」


「アンタ等の里程じゃないけど【人土村ココ】を第二の故郷と思って楽にしておくれ」


「「「有難う御座います」」」




再び頭を下げる【人花じんか】の民。




「───では早速ですが、あちらの店から旨そうな匂いが・・!」


「いえいえ、見なさい!

彼等とビタの洗練された服と、我等の閉鎖的なデザインな上に旅でボロボロになった服を!」





涎をたらす男衆と、自分等の服を見比べ 「 うんうん 」 と頷く女衆。

さっき迄の重苦しい雰囲気は何処じゃ?




「お世話になる上で恥ずかしい格好は見せられません!

・・という事で、ビタ。

その可愛い服の仕立て屋に案内して!」


「あ・・あの・・もう少し里の───はあ、此方なのです」




ビタ殿に案内され、大型スーパー ( ザレ殿曰く、イ○ンみたいな場所 ) へと行く。


自己完結型の【人土じんど村】には親子家族で住んどる者も多い。

所以に対【空の口】といいつつ、ああいった『家族向け』『子供向け』施設や日常品の製造工場も有るんじゃな。

( 小さいながら、遊園地みたいなんも有るよ。)




「───さて。

儂等は群ぬ【がるうだ】が、群る原因を警戒せねばな・・。

・・魔物の異常は全部【空の口】のせい、と見るべきじゃろ」


「いかな『三種族』といえど、200人程しか居なかった民が100人以下になったとあっちゃあ・・ワタシ等だけで何とかしないとね」




そしてその日の夕刻。

『逢う魔時』にして『大禍時』。


何千人という・・戦士だけで構成された完全洗脳者が【人土じんど村】へと攻めてきた。



◆◆◆



「アレは・・そんな、みんなが───

女学園のみんなが───」


「ウエスト傭兵団も居るわ!?

『対、村破級』が・・いずれ『対、街破級』にもなるという傭兵団が・・!?」




どちらも幹太と颯太が世話になった者達、殺す訳にはいかんな。




「洗脳を解く準備はどのぐらい整っとるんかのう?」


「やっと最初に【変換機】を着けた ( すでにモスマンの繭で洗脳が弱まっていた ) 方がやっと、取り外しても影響無くなったぐらいですからね・・未だ大半の方は【変換機】が必要でして」


「追加分も含め、あの数は・・とても」




取敢ずこの男尊女卑の世、あの場に居る女はみな女学園関係者じゃろ。

後はウエスト傭兵団の団長と副団長の顔は覚えとるんで、ソレだけ引っ張ってこようかの。


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