194『様々な視点・源太編2・③』
「「「な・・なな・・なん───」」」
≪≪≪チ・・チャチャ・・チ───≫≫≫
【人土村】に来た【女学園】の女生徒達と【モスマン】達。
皆、目が点になっとるの。
自失した生徒は各々、集中治療室に入って【人土】の医師団の治療を受けとる。
立ちさった女生徒達は人格が変わったかの如くであったという。
・・人格が変わったといえば【魔力体】かのう?
自失した生徒は魔力吸収能力のある、モスマンの繭が効果あったとの事。
【魔力体】なら・・。
「・・いえ。
【魔力体】では有りませんでした。
魔力吸収を受けている間は僅かばかり、意識が回復するのですが・・止めた瞬間、元に・・。」
「な、治らないんですか・・!?」
検査結果から、
『心に魔力が反応』するのを逆転させ
『魔力に心を反応』させている・・との事じゃ。
こんなん出来るんは───
「───【空の口】の魔法・・かの」
「・・おそらく」
「魔法なら、そのみなもとの魔力を吸収してしまえば・・!?」
魔力吸収能力ならモスマンの繭より【人土】の方が上じゃが、吸収するのは魔力のみ。
「例えば・・【巫女】様が、得意とする ( というか、他人には不可能な ) 遠く離れた仲間を守る魔法をかけたとします」
「は、はい・・?」
「我々がその魔法を吸収しようとしても・・次から次へ、【巫女】様から魔力が供給されて消滅しない。
周囲の『魔力』のみ吸収し、『魔法』への吸収には至らないのです」
「・・そう、ですか」
暫くは生徒一人につき、数人の【人土】による魔力吸収にて様子を見るようじゃ・・。
◆◆◆
「何で・・何でこんな事に───」
「みんな・・」
落ち込む生徒等に掛ける言葉をなくすザレ殿。
自分は日本に居って、被害を免れたことを悔いとる顔じゃの。
今、儂等に出来る事なんてないしなあ・・。
「───ん・・?
アレは・・」
生徒の一人が【人土】村の中央辺り・・コチラへ転移するさいの『扉』があった場所に在る───祭壇へと目を向ける。
「カンタ先生・・」
「我々を幾度も救ってくれた御方です」
「・・でも、今ココに居ないでしょ!?
・・・・・・。
確かに私達も救ってもらった・・。
けど・・今度は救ってくれない・・」
頼っていたリャター殿達が突然消えうせ、仲間が立ちさり、友人が次々と自失してゆく・・。
その絶望の中長距離を歩き、肉体的にも消耗したトコロへモスマンが、儂等が立て続けに表れ希望が見えた時───
【空の口】などという、訳の分からん絶望に突き落とされた彼女達の心情は如何ばかりかの・・。
「山柄総代表!」
「どうしたね?」
「何故、我等の魔力吸収はその場しのぎのチカラしかなく・・モスマンの繭には少しずつ回復させるチカラが在るのかの仮説が出ました」
「うん?」
その仮説とは。
【人土】の魔力吸収は限定空間内魔力を吸収する、らしい。
しかしモスマンの繭は悪意ある魔力 ( 魔力汚染などと言うらしいの ) を取り込まぬよう、その手の魔力を跳ね返しよるようじゃ。
魔力吸収能力より寧ろ、今回はコッチの能力の方が重要だそうだの。
「ソレ・・幹太が似たような魔法を作っとったのう。
確か───」
日本の『世界の何某』で儂等が弱っとった時、優先すべき『何某』とのみパスを繋いで迎撃させる・・とか何とか?
「軽く言ってくれるが・・無茶苦茶だね。
そんなトンデモ魔法・他を6人同時にかけながら一万匹のクワガタと戦ってたのかい」
「うわ~・・カンタ先生らしいわー」
祭壇に奉られた幹太のブロマイドを絶望的な目で眺めておった女生徒が・・照れたようにはにかむ。
「魔力で迎撃・・か。
・・ふむ?
───河村に連絡しとくれ」
山柄殿が代表の8人の一人、【変換機】開発者の河村殿を呼ぶ。
「河村、アンタの作った【変換機】をコッチの世界でコッチの人間に着けて大丈夫かい?
・・・・ん、分かった。
なら、すぐに取りかかってくれ」
【変換機】?
確か魔力が磁石だと、どうのこうの言っておったが・・。
約10分程か?
河村殿から連絡があり自失しとった女生徒の意識が目覚めたとの事。
リャター殿、ザレ殿、意識ある女生徒達が慌てて病室へと駆けつけ───
・・体力的な消耗は在るものの、洗脳から解けた女生徒達と会合する。
コレで彼女らの直近の問題は立ち去った女生徒達だけだの。
まあ戦闘上位の生徒だけが連れ去られたんじゃ。
・・今すぐ殺されるといった事は在るまい。
◆◆◆
「間接的に、とは言え・・【巫女】様のお陰です・・!」
祭壇に集まっとる【人土】にそう言われ───
「そ・・そうかな・・?
・・そうかも。
そうなんだ・・!」
───と、幹太のブロマイドを拝み始める者が増えたが・・幹太、済まん。
この流れは儂には止められそうに無いわい・・。




