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その姉妹品、危険につき──  作者: フユキ
再再転移・幕間
193/547

193『様々な視点・源太編2・②』


「何処へ行くか・・じゃの。

日本へ転移した時は・・女生徒さんは大多数が【魔物の森】に、残りは【北の村】におったんじゃよな」


「そうですわ。

そして万一の時は森の外側を歩いて避難せよ、との取り決めでしたわね」


「そうねえ・・。

けれど、カンタさんとソウタさんと・・ゲンタさんは同日に転移して半月の差があったのよね~」




つまり女生徒達の居場所候補は───




【魔物の森】( 居る条件 ) 再転移直後なら。


【北の村】再転移から1日2日ぐらい?


【女学園】再転移から間が有れば。


【リャター商会】再転移から相当、間が有れば。


───じゃろうな。




「今が『あの瞬間』からどれぐらい経ったのかが分からないのが痛いわ~・・」


「ちなみに、一番近いのは何処だい?」


「距離は、あまり変わりませんね~・・。

ただ其々別の方角なので、あの娘達なら安全な【魔物の森・北の村】は後回しすべきだわ~」




【魔物の森】ちゅうても、『あん時』居ったんは西側の果て。

森の外へは、すぐに出れるわい。


『対、村破級』にして、限定的には『対、街破級』でもあるしのう。

【魔物の森・北の村】に居るんなら、心配はあまり要らんじゃろ。




「ココから【北の村】【女学園】へは同じ距離でも───

【北の村】から【女学園】へは、大きく迂回せねばなりませんので・・」


「直近で危険なんは【女学園】への行路・・じゃな」



◆◆◆



食後、リャター殿・ザレ殿がトラックに。


儂・ビタ殿・山柄殿・河村殿・森本殿が【人土じんど村】所有のキャンピングカーで、【女学園】へと行く。


昼夜を問わず走るつもりじゃから、河村殿と森本殿は運転交代要員として・・じゃな。




「ゲンタさん、車の運転は?」


「大昔に数度・・の」




20ウン歳の頃じゃから、60年ぐらい前・・ホンマの大昔の話じゃわい。

死んだ妻の方が、まだ運転は巧かったのう。


運転を交替しつつ、女学園へ向かう途中───




「うんっ・・!?

居たぞ・・向こうの麓、4km先に2人!」


「4・・源太様、我等には分かりません」


「済まん、付いてきてくれ!」




儂は車から飛びおり、超速歩魔法で二人の元へ、リャター殿はオフロードバイクに飛びのり付いてくる。




「お~い、二人共無事かのぉ~!?」


「私達よぉ!」


「げ・・ゲンタさん!?

学園長!?」




二人は・・多少やつれた感じじゃが───無事の様じゃ。




「他の皆は?

アレから何日たった?

アレから何があった?」


「え? ええっ!?

えーっと・・」


「あー・・う?」




うん?

一人は・・突然の儂等に混乱しつつも普通なんじゃが、もう一人は───心ココに在らずといった感じじゃの・・。


追いついてきた車二台に、女生徒は恐怖するも・・リャター殿がなだめ、車内からザレ殿が出てきたことから安心したようじゃ。


キャンピングカーの中に入れ、栄養ドリンクを飲ます。


その間ずっと───

リャター殿が泣きながら謝っとったのが・・見てて、キツかったわい。




「あの日【魔物の森】で・・学園長達が光って消えたかと思ったら、目眩がしてみんなもオカシくなって・・」




気づいたら全女生徒の六割が整列して何処かへ立ちさり、三割が自失し、残りがリャター殿やザレ殿の事を忘れたりしとるらしいの。




「学園長達が消えて今日は3・・4日目です。

自失した生徒と共に【北の村】の生徒 ( 全員、自失していたらしい ) と待っていたんですけど・・女学園に帰りたいと残った生徒の中からも自失し始めたコがいて───」




ソレで無茶をおして【北の村】から【女学園】へ帰る途中だったらしいの。




「貴女達以外のコは・・!?

ま・・まさか・・・・!?」


「大丈夫よ、ザレ。

途中、助けてくれたコが居るの。

みんなはソコに居るわ。

私達は女学園への行路のチェックにきてたの」


「助けてくれたコ・・?」


「ヒントはあの山よ」




数百m離れた先の山。

この辺でも屈指の安全な場所。

人を襲う魔物の空白地帯。


女生徒が指差したんは・・【北の村】から【女学園】の間程にある小さな山。

案内され進む。




「【ファフニール】の居った山・・ちうこたぁ『助けてくれたコ』いうんは」


「はい」


≪チャ?

チャチャチャー!≫


「【モスマン】!」




体長30cm、羽が退化した代わりに手足が進化した人型の蛾【モスマン】。


出ていっとった女生徒を心配しつつ・・新参者を警戒するも、ソレが儂やザレ殿やリャター殿と気づき警戒心を解く。


そりゃあエエんじゃがのう・・なんで儂にやたらまとわりつく?

御主等には悪いが・・その・・儂は、蛾が───




「ああ!

匂いか何かで御姉様を探してらっしゃるのでは?」


「家族だし同じような体臭なのかしら~?」




成程のう。

幹太ほどの魔力パスは繋げられんが、意識しつつ今回の騒ぎではぐれたんじゃ・・って通じとるんか?


皆で説明すると、どうやら理解したらしくションボリしよる。

済まんのう。

( ちうか、よう懐かれとるな。)


【モスマン】の里? に到着。

女生徒達は繭にくるまれ───

み、見た目はエサの保存にしか見えんが違うハズじゃ。

・・たぶん。


会合した女生徒達とリャター夫人殿とザレ殿は再び手を取り合い、喜びと謝罪の涙を流しよるな。


皆の話を纏めると、空から声がした後の人間は───




転移した者 ( 儂等じゃの )


整列し、去った者 ( 戦闘上位ばかり )


自失した者 ( コレが一番多い )


声を聞いた事を覚えてない者


一番大切な人間を忘れた者




───といった感じじゃ。

一番大切な者を忘れたいう娘は大概、リャター夫人殿とザレ殿と出会い思いだしよった。


自失しとる生徒等は、魔力吸収能力のある繭にくるまれとると・・徐々に、ではあるが回復しよるらしい。




「あの声が・・お伽噺の【空の口】の声だったなんて・・」


「幹太と颯太とは異世界にてはぐれてしもたしのう・・。

儂等は千年前、【空の口】を倒した『三種族』を集める旅に出る」


「魔力吸収なら【人土じんど村】にての方が効率が良いね。

意識ある御嬢チャン等も、皆やつれてるし・・取敢ず皆を運ぼう」




との事で数人ずつ、女生徒達 ( と、幹太と特に仲の良かった【モスマン】達 ) を【人土じんど村】へと連れてゆく。


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