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187『10年後、美味しい丼モノが食べられています。』


【空の口】の洗脳のかかりが悪かったクラッゲさんとナムァコさんは、洗脳されたディッポファミリー傭兵団から邪魔と判断され追放されたという。


【銀星王国】に居られなくなった二人が居るとしたら一番近くの拠点、ココ・・【北の村】だと思ったんだけど。


また・・日本へ転移した日、女学園の生徒達の一部は【魔物の森】へと付いてくることなくココ【北の村】へと残った。


ちなみに、ボイスレコーダー越しでも翻訳チートは働いている。

( 働かなくても名前だけは分かるし。)




『クラッゲさん、ナムァコさん、女学園の皆!

俺です、幹太です。

居たら合図を御願いします!』




二回目の呼びかけに、とある一軒家から女の子が飛びだしてきた。

颯太よりすこしだけ年下の・・あっ!


【国境の村】で母娘で行商をしていて、俺と颯太に果実水をくれた女の子だ。


【コカトリス】の時、母親が怪我をしたのを救って以来・・なにかと懐いてきたな。


音源を探しているであろう、そのサマは洗脳されているようには見えない。


と・・その後ろから慌てて女の子を追いかけてきて、連れ戻そうとしている女性は・・母親・・じゃなくて───




「あ・・ポロヤンさん?」


「ふーん・・知り合い?

すごい美人ねえ・・?」


「お、俺の知り合いってより源太ちゃんの知り合いだよ。

前に源太ちゃんの恋人云々の説明をした時、行商人の父娘に世話なったって部分の」




源太ちゃんが最初に異世界転移した時、源太ちゃんが魔物に襲われる行商人の父娘を助けたそうだ。

( 恋人になる人も。)


その行商人の父がパラヤンさん、娘がポロヤンさん。


俺と颯太とは別々に転移した源太ちゃんと合流して、共に旅を始める時に【銀星王国】から隣国の【連合】へと行く際、世話になるハズ・・だった。


ちょっとヒマになったんで、魔物の森へと行ったら───日本へと再転移したのだ。




「ニュアンス的にはちょっと出掛けてくる、って感じで出て・・ソレきりだったからなあ。

彼女も一見、洗脳されているようには見えないし」


「どうするの?」


「世話になった人達だから、困っているなら助けたい」


「この家ごと、行くのはカンタの魔力的に騒動的にマズイであるな。

行くなら小人数で行け。

ワシ等は家を防衛するのである」


「分かりました。

彩佳、ジキア、頼めるか?」


「良いわよ」


「了解ッス」



家にほぼ全力の防壁魔力トーチカを掛けて、彩佳のクワガタの半分を残し【北の村】へ。



◆◆◆



「ふぅー・・アタシも身体強化魔法を使えてるハズだけど、まだまだね」


「俺もついつい、体を鍛えるより炎魔法とかの練習をしちゃうから・・っと。

見えてきたな」




パッと見、敵は居ないように見えるけど・・誰が敵になのか分からないので、「近づく人間全員敵と思うぐらいで」と忠告して村内入り。

ポロヤンさん達の下へ。




「あっ、女神のお姉ちゃん!」


「あっ、貴女は・・カンタ様!

───誰かの・・家族・・ああっ、誰の!?」


「兄さん達と同じ症状ッス。

大切な人を忘れてるッスね」


「二人とも、お母さんとパラヤンさんは?」


「お母さん、オカシイの!

いつもボォーっとしてて、話しかけてもお返事してくれないの!」


「私の父も同じ症状でして・・」




女の子はジキアの母、リラキアさんと同じ【空の口】の声を聞いたことを忘れただけ。


ポロヤンさんは一番大切な人を忘れただけ、のようだ。


・・ポロヤンさん、大した接触のない俺を覚えているのは当然として・・父親のパラヤンさんの事を覚えているのは・・。

・・まあ愛のチカラだとしておこう。


二人に事情を話す。




「・・成る程。

空から声が聞こえた時から私達はこの状態になって・・ですから先程カンタ様のお声が空から聞こえた時、ゾッとしました。

この娘は【空の口】の声の事を忘れているので飛びだしましたが・・」


「あー・・その辺、無考慮でした。

済みません。

取敢ず、俺達の本拠地へ来ませんか?

パラヤンさん達の洗脳も治せます」


「お母さん、治るの?

やっぱりお姉ちゃん、女神様だね!」


「御世話になります・・と、言いたいのですが───もう二人、連れてきてよろしいでしょうか?

その二人も大切な人の記憶を失い、苦しんでいるので・・」




うーん・・源太ちゃんの恩人の頼みだし、助けてあげたいけど───




「あまり俺達も余裕がないんで・・その二人が、俺達の敵なり得ないと確証出来ないと・・」


「幹太、誰か村に入ってきたわ。

男二人、武器を持ってる。

狩りに出てたっぽいけど・・」


「たぶん、その二人です。

私達の状況に同情して、色々世話をしてくれるんです。

とても善い人なんです。

・・ちょっとだけ、性癖を疑う瞬間がありますが、とても善い人なんです」




───んん?




「帰ったぞ・・って、ジキア?

ソレに・・カンタちゃん!?」


「クラッゲ兄さん、ナムァコ兄さん!?」




同じ症状の二人って、この二人か・・。

元々、この二人が居る可能性が高いと思って【北の村】へと来たんだ。


有り得る話では・・有るんだろう。

・・ただ───




「怪しい性癖って・・このようじょに対して・・?」


「・・・・はい」



◆◆◆



「カンタさんには何度も何度も助けていただき、感謝の言葉も有りません」


「お母さんよかったねー♡

女神様ありがとー!」


「ゲンタさんからだけでなくカンタさんからも・・貴女方家族には一生かかっても返しきれない恩が出来ました!

・・つきましては、一生恩返しを───」


「父さん、良かったですね。

カンタ様は母としても素晴らしい御方ですもの。

私は・・ああ、ゲンタ様♡」




パラヤンさん達二人は【変換機】を着けたら洗脳がとけた。


ポロヤンさんも、源太ちゃんの名前や日本に再転移していた時の家族ムービーを見せたら思いだしたらしい。


しかし女学園の生徒達の事は知らなかった。

この訳の分からない事態になってからは、家から一歩も出なかったそうだ。


・・そして。




「皆の洗脳が解けて良かった。

後は俺達の大切な人を思いだせれば完璧だな!」


「今はあの娘も大切だがな。

ああ、ポロヤンさんも同じ症状で苦しんだ仲間として大切ですよ?」




・・さあ、どうしよう。

彩佳に言ったらクラッゲさんとナムァコさんが本当に善意ある人とか関係なくブチ切れるだろう。

( 父さんにバレたら、チョン斬られる(・・・・・・・)かもしれん。)




「───ってなワケで、彼女もすごく懐いていますし・・。

彼女の母親も何となく洗脳中の記憶が有るのか、彼等の善意を受けいれているようですし・・。

男尊女卑のこの世、そう悪い話では無いのかも・・」


「そ、そうですね・・あの二人が善人だというのは分かりますし、私を含め性癖の対象外も護っていましたし・・」


「わ・・分かったッス。

兄さん達には忠告しておくッス」




ポロヤンさんとジキアにだけ、彼等の性癖と彼等の想い人を告白。


如何にあの二人が善人で紳士だと知っていようと、結局は颯太と理太郎君のためにあの娘を人身御供にしたようなモンだ。


償いとして・・彼女とクラッゲさんとナムァコさんには幸福になってもらうようフォローしなきゃな。

( 囲炉裏を推奨するワケでなく。)


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