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180『昔ながらの異世界人反応をしてくれるジキアにドキドキです。』


「ディッポ団長は眠り続けているって事だけど・・【銀星王国首都】でか?」


「そうッス。

団長の自宅、兼、ディッポファミリー傭兵団の事務所ッス」


「ワシ等がジキアの母親と共に、人質にしていての」




ファミリーの皆が自嘲気味に笑う。


ディッポファミリー傭兵団事務所。

そこはジキアの自宅でもあるらしい。


というのも、ジキアに父親は居ない。

俺と颯太が最初に転移した頃、【銀星王国】は戦争終結直後だった。


ディッポファミリー傭兵団の傭兵だったジキアの父はその戦争で亡くなったそうだ。


母親は・・男尊女卑の理不尽な暴力からジキアの父が助けだした時には、足を悪くしていた───ので、ジキアは動けない母親とディッポ団長を放っておけなかったらしい。




「アンタの母親は・・その・・オカシくなってないの?」




重たい話しに若干居場所を無くす彩佳と父さん。


俺も異世界へ来た当時はけっこう平和な日本とのギャップにオロオロしたもんだけど、人懐っこくなった颯太が緩衝材になってくれて大部助かったなあ。




「今、事務所にいる人達は大丈夫ッス」


「どうも現役の戦士から完全洗脳されてるみたいであるな」




事務所にいる人や街人も【空の口】の声は聞いたハズだけど、その記憶がある人は今のトコロはジキア以外いないらしい。




「傭兵ギルドで、俺達姉妹傭兵団はどういう扱いなんだろ?

傭兵口座残っていたらだいぶ楽なんだけど」


「隙を見てはチェックしてたッス。

御二人と仲のいいギルドスタッフ達 ( ゲイの受付さんと、その同僚の魔法使い ) は、クラッゲ兄さん達みたいに僅か心に残っているみたいスから可能性有りッスね」




他の職員や傭兵達はどうも、無反応だそうだ。


【空の口】の声を聞いた人間の症状は───


①ただ声を聞いた事を忘れるだけ。

( ジキアの母親がココにあたる。)


②弱洗脳。

自由意思の低下。

( ジキアが確認した限り、大半がこの状態。

タゥコさん ( 鍛冶担当 ) やクジャラさん ( 衣類修繕担当 ) もココ。)


③完全洗脳。

【空の口】を崇めたり、③以外の人間を支配下に置こうとする。

戦闘力のある人間ほどこの状態になりやすい。


④洗脳は免れるも、特に大事な人から忘れやすい記憶障害。

そのストレスからやがて②になる可能性有り。


───の、四つ。

ジキアやディッポ団長のケースは他に見たことないらしい。




「騎士団や上位貴族、王族は?」


「騎士は虚ろな奴が極数人、城から出るだけッスね。

ソレ以外は無人かってぐらい、まっっ・・たく反応ないッス」


「俺達が首都に浸入したらどうなると思う?」


「②以外に見つかったらアウトであろう」




顎髭を擦りながらフウム・・といった感じでアナナゴさんがサラリと言う。




「③は言わずもがな。

①と④も、③に恐怖支配されていると見るべきゆえ。

カンタ、助くべき人間は多く選べんぞ。

団長ですら助けるべきか・・」




目覚めたら敵だった、って可能性有り・・か。




「首都にいる人で助けたい人は───

ディッポ団長。

タゥコさん、クジャラさん、クラッゲさん、ナムァコさん達ディッポファミリー傭兵団。

ジキアの母さん達。

傭兵ギルド関係者 ( の、一部 )───か」


「母さんはオレの問題ッス。

カンタさんに迷惑をかけらんないス」


「クラッゲとナムァコは追放したからな・・首都には居らんから、今回は別として。

ディッポ団長は寝とる。

タゥコ、クジャラは自由意思がない。

ジキアの母は足が悪い。

この四人を同時に連れだす手段など無い」


「御二人は傭兵ギルドにだけ行くッス」




皆、意気消沈している。

・・だけど。




「傭兵ギルドこそ現状で上手く回っているなら後回しにしよう。

でもディッポファミリー傭兵団の異変はすぐにもバレる。

事務所を今夜、強襲しよう」


「「「・・・・・・!?」」」



◆◆◆



「て・・鉄のイノシシッスうぅぅ!?」




陽炎魔法で姿と音を消した、父さんの車で首都へ。


森の中や首都までの道中、荒地は俺の土魔法でならす。




「父さん、ライト無しで大丈夫?」


「魔力パスを見るコツでな。

日本より星や月明かりが濃いし充分だ」


「ワシ等の妻や子の事は心配するな。

個人なら連れだせる」




ウチの車はボックスカー。

ディッポファミリー傭兵団事務所までは───

俺、父さん、ジキア、妻や子のいるオッサン達で行く。


事務所に着いたらオッサン達は降りて、自宅の妻や子供を自らの足で首都外まで連れだす。


空いた部分に、事務所の四人を乗せて首都を脱出する。


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