18『『ニッチ』と『にっちもさっちも』は関係ないです。 ( なんか算盤用語でした。)』
「ああ?
姉妹傭兵団を創るだァ!?」
男尊女卑の事を知り、前々から颯太と相談していた計画を傭兵ギルドへ報告しに行くディッポ団長に話す。
街に入ってから殆んど女性を見ない。
居たとしても女性が外で顔を出したら駄目な国の人みたいに顔を隠している女性か・・おそらく売春婦。
街の男は───
『何だぁ? 何で女が顔をおっぴろげて歩いてんだぁ?』と、
ツバを吐かれたり・・。
『ようジイサン、良い娼婦を連れてんじゃん』と、
俺達を買おうと近づき・・ディッポ団長に凄まれ退散する奴ばかり。
魔法使いなら、例えば綺麗な水を作れるだけで職になりそうだが・・俺達はまともな職には就けない。
この『腕』と・・『女』である限り。
「俺達が働けるのは、誰でも就ける職業・・・『娼婦』か『傭兵』ぐらいのみです」
「まあ、そう・・だろうな。
俺がガキん頃、傭兵になったのも・・クソッタレな理由だった」
戦争が終わったとはいえ、戦後復興を終えてなければ盗賊だ魔物だと、治安と経済状況も悪い。
傭兵はまだまだ需要のある職業だ。
ついでに。
この世界に『冒険者』という、何でも屋職業は無いらしい。
戦闘依頼は『傭兵』。
ストーリー序盤のお約束、薬草採取は『薬師』・・といった細分化がされている。
向こうでも、その道ウン十年のプロが毒茸・毒草を食っちゃった事故もある。
『戦闘』と『採取』両方の勉強なんて無理だろう。
( 鑑定チートなんて無いし。)
また、傭兵でも『対人』『対魔物』と、さらに細分化されていく。
( ディッポファミリー傭兵団は『対集団』だそうだ。)
「ニッチ商売だと思うんですよね。
傭兵は男の稼業、女性客は中々に依頼しずらいかと。
俺達姉妹が『対女性客』を貰います」
「に・・にっち?
・・・ま、まあ、考えは分かる。
御姉チャンの言う通り男客が殆どで、傭兵から身を守る人間を雇ってから傭兵を雇う客も居るぐらいだ」
「ディッポファミリー傭兵団程でなくとも、傭兵のイロハのイ位は覚えたつもりです」
そこで一回ディッポ団長が息を吐き───
「・・・・旅や魔物の知識、戦いの技術は其なりに叩きこんだ。
・・ソレでも苦労するぜ?」
「「 はいっ! 」」
俺と颯太、二人なら大丈夫。
◆◆◆
──傭兵ギルドがある建物に到着。
想像通りだが男ばかり。
俺達姉妹がギルド館に入ると一斉に視線が集まる。
おうおう・・一気に溢れる悪意と下種な下心。
こうやって見るとディッポファミリー傭兵団のみんなが如何に紳士だったかが分かるなあ。
ディッポ団長『の』客か、
ディッポ団長『が』客か・・見極めようとして───
俺達が傭兵志願すると場に居る俺達以外全員が 「 はあ? 」 と、しかめっ面になった。




