175『転移。( 結局はソコかい。)』
「じ・・【人土】が・・性転換!??」
山柄さんさんの部下じゃない ( 【人土村】の住民じゃない )、付いてきた【人土】達を見る。
何かの計測機器を操る、科学者っぽい人。
下水や水道等が何処まで残っているのか調査している、業者っぽい人達。
向こうにいる仲間の魔力パスを探している人達。
凡そ20人程が各々の技能を使っている。
「特に彼等に異変はないなあ・・。
と・・父さん・・は?」
「・・。
・・・・。
・・・・・・。
せ、セーフだ」
バババッと自分の体をまさぐり・・異変は見つけられなかったらしい。
「・・てか、そういう彩佳はどうなんだよ!?」
「へっ? あ、アタシ!?」
「いや・・そりゃ可能性の話をすりゃあ───
は・・生えてくる可能性も・・」
二人とも、俺達が行くなら 「 放ってはおけない 」 という一心で付いてきてくれた。
ソレは有りがたいけど・・いろんな事が立て続けにおきて、二人には珍しく思慮不足だったかカケラも想定してなかったようだな。
「えっと・・えっと・・って、見るなスケベ!」
父さんと同じく、体中 ( 胸や股 ) をまさぐる彩佳をガン見していたら怒られた。
心配して、ですよ?
「み・・【巫女】様・・!?
し、進路とパスがズレていますが・・!?」
「んんっ!?」
しまっ───
一瞬、気が反れたせいで・・!?
慌てて制御するも、一度ズレた進路のブレはどんどん大きくなる。
「みんな、一瞬でいい!
家と向こうのみんなのパスを強く補強して繋いでて!
父さんも源太ちゃんの事考えていれば強く繋がるから!」
「わ・・分かった!
御義父さん御義父さん御義父さん・・!」
「幹太は!?」
俺は一瞬だけ制御から外れ、魔力を爆発的に拡散させる。
何処かに取掛かりさえあればソレを元にズレを限りなく小さく出来るはず。
「ズレると・・どうなるんだ?」
「最初に転移した時、俺達と源太ちゃんとで半月の『時間のズレ』と別々の国に転移する『位置のズレ』があったん───あれっ・・!?」
「どうしたの!?
失敗したの・・・・って、何でニヤけてんのよ?」
「え"っ!?
ニヤけて・・いや!
そんなこと無いぞ、うん、無い!」
彩佳の纏う雰囲気が剣呑なものへと変わってゆく。
ニヤけてないって!
・・たぶん。
「とにかく!
源太ちゃん達が転移した所から最低でも、場所は同国。
時間は三日、ズレが出る。
酷くても一週間以内に収めるけど覚悟して・・!」
「僕も頑張るよ、幹太姉ちゃん!」
「御義父さん御義父さん御義父さん!」
「・・・・・・( じぃぃー。)」
「「「【巫女】様と共に!」」」
二点を支えに、家を異世界へと転移させる・・!
───けど、安定している後者のパスへ引きずられる感はある。
『変』なこと、してなきゃイイんだけど・・。
◆◆◆
「───ん、何だ?
また誰かを探しているのか?」
「い・・いえ・・・・」
「全くオマエは・・まだ懲りないのか?」
「あの二人のように『追放』しようか?」
「そ・・そんなんじゃ無いッス」
「その、『子供みたいな口癖』は止めろと言ったろう!」
「は・・はい・・スミマセン、でした」
「罰として、今日の『魔物の森』の素材回収はオマエ一人で行け」
「・・はい」
───はあ。
今日も兄さん達に怒られたッ・・でス。
『あの日』・・頭が真っ白になり、『好きな人』の事が頭から消えそうな感覚の中・・ひたすら、ただひたすらに『好きな人』の事を考え続けていたら───
世界が変わっていたッ・・でス。
みんな・・『アレ』に抵抗し続けるも、抵抗しきれなかった人から人格が変わって・・オレ程じゃなかったとしても大切な仲間として、想っていたハズの『あの人』達の事を忘れたッ・・でス。
「最後まで抵抗した団長は、あの日以来・・目覚めないッ・・でスし・・。
どうしたらイイ───ん?
この・・感覚は・・・・!?」
【ファフニール】の時、『あの人』の強い姉妹愛から見つけた・・想いを魔力にのせて、心と心をつなぐ魔法。
魔力の強さじゃあ負けても、想いの強さじゃ負けないッ・・でスから。
必死になって会得した魔法───
コレに今、反応があったッ・・でス!
・・居るんッスか!?
この先、魔物の森・・・ぃ!?
「ぃぃいぃいいぃぃぃ・・じ、地震!?」
何スか!?
何なんスか!?
今までこの国で地震なんて───
『───・・ぅ・・ぅぅぉぉぉおおおおっっっ!??!?』
・・・・・・。
・・ホントに何なんスか。
今、目の錯覚じゃなけりゃ・・家?
家が空から魔物の森へ突っコんだッス!
───けど。
『あの人』なら。
『あの人』が絡んでいるんなら、ソレぐらいやってくれそうッス!
◆◆◆
「っ痛つつ・・みんな、大丈夫かね?」
「アタシはクワガタ共々平気よ・・後でアイツ、シバくけど」
「我々は皆、擦り傷程度です」
・・家ッス。
見た事無いかたちスけど確かに家ッス。
森に家が落ちてるッス。
周りはグチャグチャなのに、家と、家の住人?は殆んど傷が無いッス。
「流石だねぇ」
「あー・・でもギリギリだったなあ」
この独特のやり取り・・間違い無いッス!
『あの人』───
「カンタさん!」
「よ・・よう、ジキ───アふん」
「ちょっと幹太ぁ!?
『また』なの!?
そして次は男なの!?
颯太、アンタも知ってたんでしょ!?」
「ご・・ゴメン、彩佳姉ちゃん」
ホンんんん・・トっに、何なんスか。
このカオスっぷりは。




