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170『特攻しよう、Jチーム!』


皆、思い思いの格好・荷物で『扉』の回りに待機する。


リャター夫人はトラックに。

ザレはその隣に。

ビタは・・幼児用自転車!?


キック用じゃなく、ちゃんとペダル付き補助輪無しのオフロード。

今時の幼児用って結構格好イイんだな。

ただ・・前カゴだけ、プ○キュア?

さてはて、ビタの趣味か仲のイイ奈々の趣味か。


源太ちゃんはリュック。

殆んど服と布。

後は魔法があれば現地調達出来るとの事。




「幹太・・。

その・・颯太は───」


「・・・・ん」




俺は父さんの隣でリュックを背負いなおす。

颯太のリュックと共に。



◆◆◆



「───また、異世界に行くのか?」


「うん。

・・ホント言うと・・最初に全部説明しようって決めた時、この世界に残るって言おうと思ってたんだ」


「・・なら」


「でも、【空の口】っていう魔物のボスを倒さないと・・この世界が、みんなが───

・・理太郎君が危険なんだって分かったんだ」


「ははっ・・颯太まるで勇者じゃん」


「勇者?

勇者ってなぁに??」


「颯太ゲームあんましないからな・・。

魔物のボスを倒すのは勇者っていうんだぜ」


「勇者・・」



◆◆◆



「───ん?」




アレ?

山柄さんが眉根をよせている。




「山柄さん、どうかしましたか?」


「もう儀式魔法は九割五分、終えたんでね・・。

そろそろ魔力の渦が収まり始めるはずなんだけど・・誰か魔力を込めすぎてやしないかい?

田坂?」


「ち、違いますよボクじゃありません」




・・確かに全員魔力を一定にしている。

皆に落ち度はない。




「実験でこういう事は?」


「この逆・・途中で渦が失速するこたぁ有ったんだけど・・何時までも渦が維持されるってのは───」




ディレクターの質問に山柄さんが答える。


俺もディレクターも実験の様子は見学しているんだ。

・・何かオカシイってのは分かる。




「儀式中止っ!

全員魔力を止めて!」


「魔法停・・止・・・し・・しし・・!?

幹太殿、魔力を止めても儀式魔法が・・止まらないんだよ!!?」


「・・暴走!?」


「でもエネルギー源が無いのに・・」


「つまり『コレ』は───」




『もっと魔力の要る扉魔法』

ではなく・・


『必要量の魔力が集まった魔法』

に、上書きされて・・




「───さっきの魔力体の真の狙いはコレか!

魔力体から・・魔法そのものに変わったんだ!」




ヤツを吸収した時、スカスカな残り滓を吸った感触だった。


けど・・それは颯太が吸った後だったから───と、勘違いしていた・・!


今からじゃ俺一人の魔力吸収だと間に合わない。


制御出来ない【巫女】化 ( 風船状態 ) は危険すぎる。


・・・・くそっ!

何が颯太のミスをフォローだ。

何が【人土じんど】の【巫女】だ・・。




「みんな・・御免!

・・退避するんだあっ!!」




俺の言葉に周囲の自衛隊員が素早く避難誘導をする。


ヤツは

「本当の敵はこの世界の人間」

と言っていた。


道連れに・・と、最後のチカラで、『扉』を極大爆発魔法(バンカーバスター)のような物に変えたのかも知れない。


父さん・・理太郎君・・【人土じんど】の子供たち・・!

ココには魔法を使えない人間もいる。


せめて命をかけて守───




〔あー・・現【人土じんど】総代表の山柄 浦だよ。

そのまま避難を続けながら聞いとくれ〕




・・山柄さん?

急になにを・・ディレクターさんからマイクを預り、村内放送で語りかける。




〔ソレまでただの『一、高校生』だった幹太殿に私等は【巫女】なんて重荷を背負わせすぎたのかもしれないね・・〕




頼りない俺に見切りをつけたか?




〔幹太殿より、ホンのちょっとだけ年寄りの意見だよ〕




まわりの【人土じんど】達がドッっと笑う。

田坂はツボに入ったか、腹を抱えて笑い・・その腹を溝尾蹴りされていた。




〔私の魔法使い人生から言わせて貰えば、幹太殿が危惧する殺傷系魔法に上書きする時間はなかったと思う〕




一理ある。


人の魔法の上書きなんてやった事ないけど、やるとしたら・・大量の魔力によって強引にやる ( 魔力汚染 ) か、時間をかけて書きかえるか・・。


ヤツにはそのどっちも無かった。




〔ならコレは『何』か?

私の見解は元々有った『扉』の極一部を書きかえた物じゃあないかねえ〕




極一部?




〔『本当の敵はこの世界の人間』と言ったヤツが『扉』を使って目的を果たせるとしたら、『扉』のセーフティーを外したんじゃないかと思うんだ〕


〔山柄代表。

この『扉』・・『儀式修了後、すみやかに消える』辺りのチェックがオカシイです〕


〔ヤッパリね・・。

つまり・・この場にいる者、すなわち

『異世界へと旅立つ者』

だけを転移させる魔法ではなく

『近くの者』

を転移させる魔法へと変わった可能性がある〕




儀式修了後すみやかに消える・・という能力が無くなった今、『近く』の定義は・・未知数だ。




〔無論、幹太殿の言う殺傷魔法の可能性もある。

だから出来る限り逃げてほしい。

・・だけど私は残る〕




───はあっ!?




〔少しでも転移する人間が多けりゃ人間どもの街に被害が及ぶ前に魔力が切れるかもしれないし・・何より私自身が異世界に行きたい!

行って【空の口】をヒッぱたきたいんだ!〕




あがる大歓声。


・・えっ? ええっ?


避難していた【人土じんど】の殆んどが立ち止まる。


夫婦で、相手が【人土じんど】で無い人などが泣く泣く

「我等の分も」

などと言っている。


・・いやいや、もうちょっと考えようよ!?


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