17『そんな、「 私達アイドルになりますっ! 」みたいに言われても。』
「カンタさァ~ん、ソウタちゃ~ん!
お元気でェ~!」
「グシュ・・ふぁい、皆しゃんもお元気でェェ・・・!」
「本当は僕、昨日の事嬉しかったよ」
「いつか・・二人の目的の足手纏いにならない男になってみせるッス!」
「おら、サッサと行くぞ!」
この世界に来て、ディッポファミリー傭兵団と出会った日から二ヶ月ちょい。
街に着き、ファミリーのみんなと御別れ。
昨日の夜、 若い連中が俺達のテントに来て・・『思い出』を求めてきた。
◆◆◆
男だった時は運動をやってる高校生だし、相当飯を食ってたが、そんな当時の俺よか今の俺は食う。
たぶん『腕』の材料にする為。
「魔法マジ便利ッ!」
最初は食事のたびに颯太や若い団員に食わせてもらっていた。
(『ア~ン』が、あんな嬉し恥ずかしイベントだったとは・・! )
・・が、ふと、ジキアの、『初めて使った魔法って何ッスか?』という言葉で──
逃げる為、無意識に『脚』で使った作用反作用の魔法を『手』で使うのを思いつく。
試行錯誤を繰返し、この方法だと落ちる・・こうだと滑る・・。
そうだ、ヤモリの───なんつったかな?
御椀の分子間に俺の魔力を敷き詰めて引力を・・うん、ドラ○もんみたいに包帯で丸くなった手でも物を持てるようなった。
箸を使わない、汁物とか果物なら介護ナシでも食えるっつたら颯太と団員に 「「「 えぇー!? 」」」 って残念そうに言われた。
イヤ、ナンデ??
トイレと御風呂 ( 水魔法で温・冷、自由 ) は流石に颯太に頼んでいたが・・団員が最初、ヤレヤレ主人公みたいな感じで介護してこようとした。
・・まあ・・そーゆー意味、だよな・・。
「「「その腕、治ってからも面倒を見たいんだ。
もちろん、姉妹二人とも・・・!」」」
レーダー魔法でハッキリと見える善意と本心からの言葉。
正直このままファミリーに、家族になるのもアリだなぁ・・・と、かなり揺れた───が。
「故郷に、家族が・・待ってる人が居るんだ。
旅は続けるよ」
───やはり、いずれ元の世界に帰る方を選んだ。
◆◆◆
「・・その時にジキアが魔法使いである事、ディッポ団長が権力を嫌う理由、俺達を保護してくれた訳・・全部聞きました」
「そうか・・。
ッたく、アイツ等はよう・・」
「でもジキアを使って俺達が自ら修行するよう、色々してくれましたよね?」
「・・・はン」
『こうゆう腕』になるのは、やはりチートなのか有りえない事であり・・俺の魔力はジキア ( 平均的魔法使い ) の数十倍以上らしい。
( というかほぼ測定不能。)
所以に、暴走を防ぐ為の細かい魔力制御を覚える必要があったそうだ。
「・・で?
ウチに居て、その故郷へ帰る術ってのを探せねぇのか?」
「・・すみません。
かなり特殊な事情ですので・・」
ただ単に、船に乗って外国へ・・という訳にはいかない。
ソレとなく『日本』や『召喚魔法』について聞いてみたが、団員の誰も知らなかったしな。
そこに来て、支配階級と魔法使いの話。
帰る手段があるとすれば魔法に関する全ての情報を収集・秘匿しているであろう支配階級の所にしか無いだろう。
ただでさえ酷い男尊女卑がまかり通る国なのに、だ。
「・・そうか。
俺等が守るよかァ攻める位ェが、御姉チャン達にゃあ丁度良いのかもな」
「もちろんディッポファミリー傭兵団から貰った色んな物は何一つ、無駄になってません。
・・俺達、姉妹で姉妹傭兵団を作りますっ!」
ちなみに『ヤモリの──』は、ファンデルワールス力とかいう引っ掛かりのない壁でもヤモリが歩ける理由の物理現象です。
( NH○でやってました。)




