169『こんな小学三年生時代なんて知らない。』
≪・・・・は・・はは・・あはは・・!
後、もォォ少しィだったのにィィ・・。
ゴメンねえェェ幹太姉ちゃん。
僕シッパイしちゃッタアアアアア♡
───あ?≫
首から下はほぼ全てを。
首から上はその半分を消滅させた───
颯太にとり憑いていた魔力体。
ソイツが・・【人土村】へと近づく。
先回りした俺の元へ近づく。
俺の運動能力と、今の残り体力でも確実に捕らえられる場所へと近づく。
≪なあ・・!!?≫
「俺の失敗を颯太がフォローして・・!
颯太の失敗を俺がフォローしてきたんだあ!!
姉妹傭兵団を舐めんなあああああぁぁぁぁっっ!!!」
≪───ぎゃう・・ん・・!───≫
魔力吸収!
魔力体を消滅させる。
・・けど。
「消滅させる直前・・」
ヤツは───笑った。
・・何だ?
「・・幹太姉ちゃん!
やったね♡」
「まだだ」
「・・えっ?」
「───嫌な予感がする。
【人土村】へ急ごう!」
◆◆◆
「崖下さん!」
「おお、上手くヤっ───」
「とり憑かれていたっていう自衛隊員は!?」
「んっ・・!?
本人は拘束して、憑いてたヤツは【人土】の方々が吸いつくしたぞ?」
「他に何か村に異変は!?」
「いや・・御互いが御互いを監視・フォロー出来るようにしてある。
村に異変は無い!」
感情レーダー・寄生虫探査・時空震探査・・・・取敢ず、俺の持つ探査系魔法を有りったけで発動するも・・崖下さんのいう通り、異変は見当たらない。
「幹太!
空からも怪しい動きをしてるヤツは居ないわ!」
「変な呟きも聞こえんのう」
『御姉様!
学園長とビタさんもと御父様が』
ザレが呼んできたらしい、父さん、リャター夫人、ビタが来る。
・・良かった。
3人に、身体的に魔力的に異常は無い。
御互い喜びあっていると───
「そ・・颯太」
「あっ・・り、理太郎君・・!」
えっ!?
理太郎君が避難した場所って【人土村】!?
・・まあ、元々この辺の病院が軒並み【アジ・タハーカ】に破壊されたか、人が居なくなり潰れた・移動したらしく、この村内の病院が一番近い。
安全も ( あの時は ) 確保されている。
理太郎君の怪我を治療しようと思ったら、まあ・・ココか。
ちなみに理太郎君にも異常は無い。
「颯太・・なんだな」
「り・・理太郎君、ゴメン!」
「颯太・・なんで・・・!」
リャター夫人はかなり見たそうだし、父さんは歯軋りしかけているけど・・颯太が元男とか説明しだす前に二人からソッ・・と離れる。
『はあ・・仕方ないわねぇ。
ソレで、異変は何処なのかしらぁ?』
「奴等の目的地は・・『扉』だけどアソコに異変は無かったしなあ」
当然、家族仲間に次いで真っ先に調べた。
ただ、当人達に話は聞いてない。
『扉』を開ける8人の元へ。
「山柄さん!」
「幹太殿!
話は聞いたが、私達に異変は無いよ」
「魔力体とやらも人も、儀式の場に近づいてすらいませんぞ」
「そう、です・・か」
気のせいか?
顔の半分がなかったんだ。
笑ったように見間違えたのかもしれない。
「俺の気のせい・・ですかね」
「大事な時です。
神経質なくらいで調度良いでしょう」
ディレクターさんがフォローしてくれる。
まあ、そうだな。
「オレは警備に戻るよ。
次の魔力体とやらが来ないとも限らないからな。
自衛隊・【人土】の皆さんに話してくる」
「有難う御座います」
儀式の方は・・扉となる魔力の渦がさっきより速くなっていた。
もう間もなく、完成するだろう。
『私はトラックに待機してるわねぇ』
『では・・ワタクシは助手席に・・』
ザレが死刑台にあがる様な顔色でトラックの助手席に乗る。
いや、流石にリャター夫人もこの僅か数十mの距離で曲乗りしたりしないだろう・・たぶん。
( Y○UTUBEにリャター夫人がトラックでウィリーしながら走り、助手席でザレが悲鳴をあげる動画がアップされていたけど誰だ。)
◆◆◆
理太郎君が怒ってる。
凄く悲しいな。
「颯太・・何で嘘ついたんだよ!
女の格好までして───」
「嘘ついたのはゴメン!
だけど女の子になったのは嘘じゃないんだ!」
証拠を見せようとスカートを上げ・・ようとして、シバかれた。
・・んぅ??
「わっ・・分かったよ!
オマエが人を騙す奴じゃないってのは知ってるし。
女は本当だとして・・どうしてソレを黙ってたんだ!?」
「うん・・ホントはさっき、帰るってなった時に全部言うつもりだったんだ───」
僕と幹太姉ちゃんが異世界へ行った事。
女になった事。
魔物に襲われた事。
チートっていう魔法使いになった事。
傭兵って人達に助けられた事。
元男って信じてくれるか分かんないし、女って嘘をついた事。
「───・・ぅ・・」
有名人になって仲間が沢山出来て・・今さら元男って言えなくなった事。
「・・・・ぐすっ・・ぐすっ・・」
あの時ザレさんが居たし、理太郎君にも嘘つかなきゃなら・・なくなった・・事。
「・・ふうぅぅああぁあぁぁ・・!」
嘘をつくたび・・理太郎君が僕のこと女って信じてくれるたび・・なんか男の友情とかどうでもよくなって───
「ゴメ・・ンっ・・なさい・・!
理太郎君があ・・僕の事女の子扱い・・嬉しくてぇ・・!」
「───・・はあ。
ばぁーーーか・・!」
「・・ゴメぇン」
「颯太のばぁーーーか!」
「・・・・」
「ばーーーか」
「・・なんだよぅ、理太郎君もばーーーか!」
「馬鹿バカばーーーかっ!」
「馬鹿って言う方がばーーーか!」
なんだか・・何時の間にか二人とも笑っていた。




