166『親元から離れて金使いが暴走しつつ有ります。』
「かァァんンンたァ姉チャンがァァ、
悪いンだよォォォ?」
「・・俺が?」
「何でェェ死んでェェェ無いのォォォ?」
源太ちゃんが不快感を顕に、颯太 ( の・・ ) を叱ろうとする・・けど、手で制する。
「何で、って?」
「何ではァ、何でだようゥゥゥ♡
何でェ魔法使いがァァこォのォォ世界に来てェェ、生きてるのォォォ?
ヒビ割れてなきゃァァァァ♡♡」
「『世界の何某』の事か?
うーん凄腕の整体師がいたからか?」
「ふ・・っ、ふうゥゥん・・?」
おい、スゲェ颯太の顔が引きつってんぞ。
颯太に変顔さすな。
スゲェ可愛いじゃんか。
〔───幹太、聞こえる?〕
「うぉッ!?」
びっくりした・・あ、さっきデイレクターに着けられたインカムか。
とっさの事で、外し忘れてた・・。
「彩佳?」
〔『たまたま撮れた』颯太のデート映像チェックを、生放送現場に行く時・・自衛隊の一人に任せたじゃない?〕
「ああ」
〔その自衛隊が何かに取り憑かれてたみたいなのよ。
色々と映像に細工したり、報告してなかったり・・〕
「コッチでも、颯太が何かに取り憑かれているみたいだな」
〔分かってる。
デモに紛れてた他所のマスコミが今、アンタ達を撮ってるのよ。
凄いヘイトスピーチ付きでね〕
ショッパイなあ。
〔颯太が取り憑かれた事で、
『やっぱりアンタ達が魔物を日本に呼びこんだんだ』
・・ってさ〕
「うぜえぇ・・」
「幹太姉ちゃァァんン?
何をコソコソ話てんのさァァ!」
「俺も颯太も『世界の何某』なんかに負けないって話じゃね?」
「じゃ・・じゃあ、特製の【コカトリス茸】はァァ?」
「お前さあ・・【人土】、倒し損ねているぞ」
「は?」
「コッチで【人土】の皆と一緒に【コカトリス茸】キャリアーを倒したし・・【コカトリス茸】の治療法もあっという間に【人土】達が確立したんだ」
「【人土】・・?
『三者』の子孫ども・・?
・・まだ、居た・・!!?」
───んっ?
「ま・・『街破級』はァァ?」
「俺達と【人土】と自衛隊とで倒したよ」
「・・・・・・っ!
何処までも邪魔な『三種族』どもめェェ・・」
「『四種族』よっ!
颯太から離れなさい!」
『ワタクシも貴方が邪魔ですわ!』
彩佳!
ザレも・・!
近づいていたのは知っているけど・・ココまで来たのか・・!?
今、俺達と颯太は悪意あるマスコミに撮られている。
特番を作った方のTVにすら、カメラに撮られるのを嫌がっていたのに・・。
「『四種族』ゥゥ?
・・ってェェ何だよォォォう!」
「【人土】【人花】【人狼】に続く【人茸】よ!」
「じ・・【人茸】ェ?
ソイツがァ何で僕の邪魔をするんだよォォォ!」
「アンタのせいで馬鹿なマスゴミが鬱陶しいのよッ!
幹太が居なかったら【空の口】に世界征服されてたって事も分かんない馬鹿どもがねッ!」
『ソウタ様の体から出ていって貰いますわ!』
「───苛つくなァ・・。
幹太姉ちゃん達がァァ邪魔するからァァァ、何時までたってもこの世界に攻めいれないんだよォォォ!」
『颯太』が彩佳に殴りかかる!
「我等の本当の敵はァァ!
お前等、この世界の人間なんだよォォォォ!≫
「彩佳!」「彩佳ちゃん!」
源太ちゃんが颯太の隙を突き、掬い投げる!
・・けど。
操られているとはいえ流石颯太、空中で体勢を変えて綺麗に着地する。
≪ふ、うふふ・・我は一心同体ィィ、【コカトリス茸】で操られてるんじゃないィんだァァァ!
どうやって倒す気かなァァァ!!?≫
「お前、もう一つミスを犯してんぞ」
「へっ?」
「颯太!
薄ボンヤリとしか思いだせないけど・・『あの時』の言葉、信じるからなああああ!
───魔力吸収、【巫女】バージョン!」
「~~~~~~~ッッ!??!?!」
◆◆◆
『あの時』。
俺が【人土】の皆と一体化した ( らしい ) 時。
【アジ・タハーカ】の魔力を喰いつくした後、俺は颯太達の魔力も喰ったそうだけど・・同時に不思議な場所にいた、との事。
俺は魔力ごと・・『魂』まで喰った、というのが彩佳の推察。
『その時』、颯太は言った。
「幹太姉ちゃんとなら良いよ」と。
魂の同化───
そんなら俺達姉妹があんな奴に負ける道理が無い!
◆◆◆
「颯太あああっ!
帰ってこおおおおいっっ!」
「───幹・・た・・・姉ちゃ・・・ん・・!」
「俺達の姉妹愛を計算し忘れるバカに負けんじゃなあああいっ!」
「・・いやあ。
アンタ等の姉妹 ( 兄弟 ) 愛、大概コッチの計算狂わせるから。
入れても、入れなくても。
経験者は語る・・よ?」
・・っさい!
「幹太姉ちゃんっ!
僕・・行くよっっ!」
「おう!」
身体強化魔法を無意識で操ることしか出来なかったせいか、今まで活性化しなかった颯太の中の【スライム細胞】。
ソレが・・目覚めて───
「僕ん中から出てけえええええ!」
≪・・ぉぉぉおおおオオオオオッ!?≫
「・・コレで、
『僕ん中から出てけ、幹太姉ちゃん』
ってオチだったら今日の晩ゴハン、幹太ね。
今金欠だから」
『御姉様達なら大丈夫ですわ♡
茶番げ───結果が分かりきってますの♡』
外野がうるさい。
ちょっと今、シリアス中だから。
≪・・オオォ・・・ッ!??≫
「ただいま、幹太姉ちゃん!」
「お帰り、颯太!」
≪我の精神支配から脱するだとォ?≫
颯太から、人の形をした魔力の塊が抜けでた!
アレが颯太を操っていた奴か!




