160『途中、読まなくてイイ文があります。』
「いや、化粧嫌いなんで・・」
「ナチュラルメイクですから♡
肌キレーですねー♡ ( ・・チッ )」
某TV局の控室。
化粧だヘアメイクだ衣装だと様々な支度をされる。
最初はやたら胸を強調し太股が大きく露出した・・見ようによっては魔法少女っぽい ( たぶん萌え系アイドル ) 衣装ばかり用意されていたけど、俺が駄々をコねて最終的にスーツみたいな服になった。
腕の包帯はどっかのマダムが着けてそうなやつで隠す。
「いや~アイドル以上にお美しいですなあ!」
「顔なんて母さんから貰っただけですよ。
妹の方がもっと───痛っ!?」
「ど・・どうかされましたか!?
妹さんが───妹さんも・・美人なんですか?」
「は・・アハハ・・はい、大丈夫です」
◆◆◆
「あの国の生物兵器ですこれは軍事施設のある都市で目撃情報が多発する蛇人間と類似性が高く「日本に出現した蛇と同じだった。俺は日本に愛人がいるから知っている。サエコは最高の女だった」といった目撃した住民の証言を多く得ており実はこの軍事施設の責任者は大の日本と繋がりがあり」
「宇宙意思です大気汚染温暖化戦争に怒る宇宙意思が金星を爆発させた今次なる目標を地球に定め」
「ヨトーハーヨトーガー」
「ヤトーハーヤトーガー」
何か全員、目が濁ってんなあ・・。
山柄さんの部下の人達が持ってきた、出演者の資料によると『本を売りたい奴』とか『地位が欲しい奴』ばっからしい。
政治家連中は一応見た事がある。
何かあった時、国会で怒鳴ったり野次ったりするのが好きな連中だな。
共通事項として【アジ・タハーカ】は自分 ( の説 ) にとって、都合のイイ存在でなければ成らない。
【アジ・タハーカ】は自分の『敵』の『仲間』でなければ成らない、ってワケだ。
「ココで登場して頂きましょう。
あの怪物を倒したと目される少女、秋原幹太さんです」
「ヨトー・・お、おお・・・」
「ほ・・ぉう」
俺がスタジオに登場すると、一瞬静寂に包まれる。
「秋原幹太と言います」
「あ・・はい♡」
ちなみにマスコミが撮った映像は、陽炎魔法越しで颯太と源太ちゃんが【アジ・タハーカ】をゴルフ場へと蹴り押すものと、一瞬だけ微かに映る俺の風船? のみ。
あとは俺の風船? とやらがマスコミのヘリやらカメラを無効化した・・らしい。
自衛隊もおおよそは似たモン。
だけど俺の事を知っているんで、あの風船は俺の魔法だと認識している。
「秋原さん。
『秋原さんが』あの怪物を倒したそうですが本当ですか?」
「はい」
『俺が』退治したんでなく『皆で』。
しかも最後は誰も正しくは認識していない。
でもソレを言ってもしょうがないし、父さんや彩佳たち海野家に山柄さんたち【人土】にどんな迷惑が行くかちょっと計りきれない。
なんで、俺一人の手柄にする。
『異世界』『魔法』『魔王』『両世界の危機』を説明するも───
「───っは!?
待て待て、与党が間違った対応をしたから多数の被害者が出たんだ!
自衛隊が被害を拡大させたんだ!」
───ソレ関係無いやん。
ホント言うとミサイルを一斉に撃ちこみやあ、もっと早くに倒せて被害を減らせた・・とは思っているから、対応を間違ったといえばそうなんだけど。
ソレは俺が言う ( 言える ) 立場じゃない。
「アンタもだ!
アンタと与党のせいで被害が出たんだ!
被害者に謝れっ!」
「被害者の皆様には深く御悔やみ申しあげます。
しかしアレは害獣被害であり・・」
この人も若干トンチンカンだな。
今一つ、殺らなきゃ殺られるという危機感を感じられない。
「俺は魔法を使って【アジ・タハーカ】を倒して───」
「そんな証拠はない!
魔法なんて有るわけが無い!」
「ヨトーガーヨトーガー」
・・・・・・。
ふぅ・・。
これ、マジで本場の国会でヤラれていたら気絶していたぞ。
( ブチ切れて。)
「そもそも【アジ・タハーカ】なんて地球上の生物でも、人間が作れるモンでも無いでしょう。」
「ヨトーガーヨトーガー」
「ヨトーガーヨトーガー」
「ヨトーガーヨトー───ふぐッ!?」
「き・・君、どうし───
な・・何だ、コレは・・ば、バリア・・!?」
わぁー、たいへんダァー。
あの人の周辺だけ空気が薄くなってるぞーぉ?
「き・・貴様、コレを外したまえ!」
「・・外せって何ですか?
まるで貴方方が無いと言った魔法を使っているみたいじゃないですか?」
「ぐっ・・!?
手品でも何でもいい!
とにかく外せッ!?」
「タネなんか無いですよ?
なんなら裸にひんむきます?
・・証拠が無いんですよねぇ。
例えその人が『陸で溺死』しても魔法は無いんでしょう」
流石に回りが騒然となる。
TVスタッフや警備員、あと政治家のSP? みたいなんが倒れいる政治家の回りを取囲み、バリアとやらを壊そうとしているけど───触れない。
SPの一人が、バリアから俺に視線の向きを変え・・警棒をぬく。
「き・・貴様!」
「あんま、この御茶美味しくないなあ」
父さんが御茶好きで、かなり拘りがある。
今まで気にしたこと無かったけど俺、美味い御茶しか飲んだこと無かったんだなあ。
「ッらあっっ!!」
俺を警棒で殴ろうとして・・俺を囲む空気の壁に阻まれる。
「俺は何もしてないと、貴方方の雇い主が認めたんですから。
『ソレでコレ』ですから。
反撃しても・・正当防衛ですよね?」
「ひ・・・・ッ!?」
「がはっ・・!?
ヒュー・・ヒュー・・───ふぐッ!?」
おやまあ、限界寸前で空気を吸えたと思ったら・・満足する寸前でまた空気が無くなったらしいですね。
「か・・囲めッ!?
皆で一斉に───」
「一人だけにしか出来ないって決めつけない方が良いですよ?」
何故か俺を襲ってきた人間の周辺から空気が無くなる。
「ひぃああ・・ッ!?」
俺に手出ししていなかったスタッフや政治家が、スタジオから出ようと出口に殺到する。
しかし、ソコにも見えない壁があるらしく、出られない。
「ば・・化物・・ッ!?」
出口に近づく俺に恐怖の視線を向ける政治家。
「そうですね・・。
俺は化物で良いです。
───でも、【アジ・タハーカ】はそれ以上の化物であり、【空の口】は更にそれ以上の化物だという事を忘れないで下さい」
「は・・ハひ・・!」
魔法を解き、スタジオを出てゆく。
与党・野党ではなく、YOTOU・YATOUと思って下さい。




