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153『その時・・彼女は頬を紅く染め、瞳を潤ませ───まるでこ』


「【アジ・タハーカ】・・。

対炎・対物理耐性を持つ『街破級』か」




奈々が作った黒キノコ変異種。

効果はあると思う。

ただなあ・・。

どうやって当てるか・・。


颯太と源太ちゃんには【アジ・タハーカ】を押さえつける役目をして貰うしかない。


それ以外の人間の運動能力だと、空でも飛べないと【アジ・タハーカ】にキノコをぶつけるなんて不可能だろう。


自衛隊に頼む?

どう考えても違法なアレを使えって?

・・まー無理だろう。


同じく毒も無理だな。

街中で【アジ・タハーカ】に効果があるほどの毒を粉やガスで噴霧するのは論外だろうし注射器タイプはそもそも刺さらない。




「結局は自分達でなんとかしないとな」




奈々は一緒にいた時、魔力を見るに魔力操作をしていたし魔法を作る・使うのに抵抗はない・・っつうか、俺と同じ『魔法オタク』のニオイがする。


人茸じんたけ】に成るつもりかどうかは分からんけど・・その能力は何だ?


たぶんキノコを操る能力か・・?

植物全てを操れるビタの・・【人花じんか】の下位種になるんじゃないかな。




「奈々には悪いけど【アジ・タハーカ】戦には役立たないよなあ・・。

───ん・・?

・・・・・・んん!?

山柄さんのパスが・・移動している!?」




颯太や源太ちゃん程、パスは強くないから分かりづらいけど・・この、周辺魔力の感じ・・まさかせっかく避難させた【人土じんど】の人達を引き連れている・・!?


何だろう・・?


【アジ・タハーカ】の狙いは山柄さんのビルのみ。

( 邪魔しない ) 人間に興味は ( 今の所 ) 無いみたいだから、家に帰っている?


でも【人土じんど】の宿敵たる【空の口】の手下(アジ・タハーカ)を倒すにはシェルターにある設備を使うしかないって言ってたんだけど・・。




「取敢ず、行ってみるか」



◆◆◆



「来たね」


「そりゃ来ますよ。

何をする気ですか?」




【アジ・タハーカ】の攻撃範囲外ギリギリ外側を山柄さん達、【人土じんど】の皆が取り囲んでいた。


山柄さんの目付きがヤバい。

つーか皆の目付きがヤバい。


鼻息もヤバい。

至る所からフンスフンスうるさい。


奈々・・まさか、マジックマッシュルー───いや、いやいや・・いやいやまさかだよな。 な!?




「アンタ、異世界で【スライム】に喰われたって言ったね?」


「は・・ハイ」


「「「おおー」」」




何故か【人土じんど】の皆から歓声と拍手があがる。


・・何? TV版最終回??




「しかもその後魔力吸収された」


「は・・ハイ・・・」


「「「おめでとう」」」




何故か【人土じんど】の皆から祝福される。


俺、ココにいて良いの?




「・・あの、俺、怒られてんですか?

その、御先祖様をどうこうした・・的な」


「まさか!

【スライム】は人を襲う。

アンタはその驚異から身を守っただけ。

そんぐらい分かるさ」


「はあ・・?」




何だろう・・?

ちょっとだけ、皆の顔に見覚えはある。


俺だ。

俺と颯太だ。


ディッポファミリー傭兵団に助けられ、女として惚れ・・偉大な傭兵として憧れ・・あの時の俺達の顔にチョイ近い。




「【人土じんど】として忘れかけたチカラを今こそ使うべきなのさ」


「【人土じんど】としてのチカラ・・?」


「魔力吸収だよ。

今まで、【スライム細胞】は自分から生まれた魔力や周辺の『世界の何某』から身を守るタメに使ってたんだけど・・」




俺が作った結界魔法(イージス)みたいなモンか。




「それは【スライム細胞】が無くても・・」




俺と颯太も別に、魔法を使う時【スライム細胞】をどうこうしない。


源太ちゃんやジキア、他の魔法使い以外も【スライム細胞】の有無で魔力操作に変わりはない。




「つまり私等は【スライム細胞】の使い方を知らなかったのさ」


「使い方」


「昨日、アンタが魔力を放出しまくった時・・私はアンタにキュンキュン来たよッ!」











「───はっ!?」


一瞬、気を失っていたようだ。

・・ま、まあ、魔力の無い世界に来た【人土じんど】として、自分以外の魔力を使ったのは初めてかもしれんけど。




「出来るんですか・・?

俺も【スライム】を真似て魔力吸収は出来ますけど吸収力が段違いですよ」




魔力量自慢の俺と颯太の魔力をほぼ一瞬で半分くらい吸いとられた。

アレは俺でも出来無い。




「疑問を持つまえにまず、【空の口】の目的を潰す。

・・ソレが大事なんじゃないかい?」


「「「ウォォーーーーーーッッ!!?」」」




・・恐いよ。


───でも、俺や颯太と源太ちゃんの攻撃が通じない以上・・黒キノコをぶつける具体的手段がない以上、代案は・・無い。




「行くよ、皆ッ!?」


「「「ウォォーーーーーッッ!!」」」


「分かりました、護衛は任せて下さい」


「頼んだよ・・。

───魔力吸収っっっ!!!」




人土じんど】の皆が一斉に【アジ・タハーカ】へと手を向ける。


【アジ・タハーカ】内の魔力を操作しようとしている。




「俺が感じた【スライム】のソレは魔力操作だとかじゃ無く、食事でした。

相手を喰い殺そうとする、本能その物です!」


「「「【アジ・タハーカ】・・アレは我等の食料・・・!」」」


「いけええぇぇぇ・・・・!」


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