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137『「山柄さんの息がかかった・・」「モルボ・・」「やめろ」「キスティ・・」「マジでやめろ」』 


「準備・・ねぇ・・・」




異世界へと行く準備。

電気や特別な燃料のいる機械などは余り要らないだろう。

( リャター夫人はソレでも、とか言いそうだけど。)


他に・・リャター夫人が欲しがっていた工業用ワイヤーなんかはイ○ンより、山柄さんに頼んだ方が早くて確実だな。




「ザレは【銀星王国】へ持ち帰りたいの・・ある?」


『さあ・・学園長先生なら何かあるのでしょうけど、ワタクシにはさっぱり・・。

ザレは御姉様と一緒に居れれば───いえ・・何でも有りません』


「ザレ・・」




【空の口】の事を考えれば。


山柄さんが、

『両世界の為にザレ達を犠牲にする』

とまで言った。


だけど。

ソコまで【歪み】の封印に徹っしようと、現時点で『【歪み】を封印出来る8人』のキャパを遥かにオーバーしている。


封印ではなく、倒す為に動いた方が良いんだろう。


けどソレは───

父さんが危惧する、颯太と父さんが喧嘩する原因となった理由・・。


『父さんや彩佳と一生離れ離れになる』


・・という可能性がある。




「ある日、イキナリ日本から銀星王国へと転移して。

またある日、イキナリ銀星王国から日本へと転移して。

そして今度は・・イキナリどっちか選べ、かあ」




俺が家族を何より大切にするのはザレも知っている。


多分、俺が仲間を見捨てて家族を優先するっつっても・・ザレ達は責めないだろうな。




「もちろん・・ザレ達を仲間を、見捨てるつもりは無い」


『・・・・・・』




・・等々、ザレと今後について話していると───やや離れた位置にいた彩佳が、意を決したように近付いてくる。




「あ、あのさ・・っ!

アタシ・・病院に行きたい!」


「ええっ!?

あ・・彩佳、どっか悪いのか・・!?」


「ち・・違う、わ。

奈々があの後病院に検査入院したっていうから・・・」




・・・・・・?

どことなく、彩佳がよそよそしい。

・・そういや、彩佳と最後に話したのは───


ザレ達を侮辱した『【人土】の女』を脅した時・・俺が容赦無く、あの女の服を焦がした時。

彩佳と父さんに引かれた時だ。




「そうか・・俺、彩佳を恐がらせちゃってたなあ。

すまん、ああゆうクズとか見ると堪えられないんだ」


「恐・・?

あ、いや・・そうじゃなくて・・。

───ううん、魔法使いって嘘が通じないらしいからホントの事を言えばちょっと怖かったけど・・。

そうじゃなく・・」




もう、一歩・・近付き───




「アタシの知らない幹太を見るのが寂しくて・・でもアタシの知ってる幹太がチョイチョイ出てきてくれるのが、やっぱ嬉しくて・・。

ちょっと混乱しちゃってたのっ!」




その後、小さい声で 「 あと・・ザレとくっつ───何でもないっ! 」 と、後ろを向く。


んで、彩佳とザレが全く同時に睨みあい・・口喧嘩を始める。

・・なんなん??


まあとにかく問題は山積しているとはいえ、陰鬱な空気だけは払われた。




「病院か・・。

あ、奈々といえば見捨てちゃったOLさん・・今なら助けられないかな」


『黒キノコの時、言っていた人ですか?

黒キノコだけなら菌糸が頭に行くまで充分間にあう筈です』




奈々に寄生していた黒キノコを、難無く取り払ったビタが言う。


一度見捨てた身で『助けたい』なんて、おこがましいけど・・あの時と状況が変わった今は出来るなら助けたい。


幸い、山柄さんが早い段階で手を回してくれた。

今回の被害者達は山柄さんの息のかかった医者 ( と病院 ) の管理下にあるという。


皆も了解したんで山柄さんに連絡し、手筈を整えてもらい病院へ行く。



◆◆◆



「お・・おはよう・・・」


「おはよー、幹太♡

あと彩佳と颯太に、ワタシを助けてくれたビタだっけ?」




連絡を受けていた彩佳の妹、奈々が病院ロビーで俺達を待っていた。




「ちょっと!?

何で姉のアタシよか先に幹太と挨拶すんのよ!?」


『今、明らかにワタクシの名前だけ出ませんでしたわよね!?』




今だに、朗らかな奈々に慣れないなあ・・。


彩佳の家族がオカシくなる前、まだ俺も付き合いがあった頃に戻った感じではあるけど。


黒キノコに寄生された結果、肉体が再構成されて俺達のように『魂 ( 心 ) は大人、肉体は0歳児』らしいが。




「実は私・・幹太のこと好きだったのよ♡」


「えっ!?」


「へぇ~」




そういや幼稚園で友達が出来ず、人見知りをしてて俺達としか遊んでなかったなあ。

颯太もその辺は似たかんじだったんで覚えている。




「へぇ~・・って。

まあ、アンタの想像通り小さい頃ガキの憧れに過ぎないけどね」


「な・・何よ・・。

ビックリさせんじゃないわよっ!?」


「でも───当時の憧れを今の肉体(15さい)に持ってきたら・・ねぇ♡」


「はあっ!??」


「・・ふふん、冗談よ。

今の幹太に私の入るスキマなんて無いもの。

私、手に入らないモノには手ぇ出さない主義だから」


「奈々・・」



◆◆◆



「貴女が【人花】の方ですね」




山柄さんの息のがかかった医者に会う。

お金か権力の繋がりかと思っていたら、この人も【人土】だった。




貴女方の助言(異世界の治療法)も有って、直ぐ治療法が確立しました。

・・・・・・が」




OLさんは集中治療室にいた。




「私は体表面の魔力が見える程度でして───意識ある被害者達の『茸』は皮膚近くに寄生していました。

既に完治し、退院しております」




医学的にはクワガタに着けられた首筋の傷以外に異常は無いらしい。

診断書には『恐怖によるショック症状』などと書かれているとの事。




「しかし彼女の患部は体内奥のようでして・・診て下さい」


『この辺から、こう・・この辺まで、髪の毛より細い菌糸が伸びています』


「成程・・では此方は───」




ビタと医者の通訳をする。


・・が、【人花】的専門用語や医療用語が飛びかい始めたんで、一旦治療に専念してもらう。


特に異常なく、OLさんから黒キノコは完全に取り払われた。




『では、コレだけ貰います』


「分かりました。

どうぞ」




【空の口】の手口に黒キノコが有る以上、黒キノコ対策は必要だろうとの事でビタが研究用に幾つか、黒キノコを特殊保存ケースごと貰う。


黒キノコもそうだけど、自分だけの日本製品ケースが嬉しいみたい。

ニコニコしながらケースを磨いている。



◆◆◆



「ふーん、こんなのが私ン中にあったんだ~。

・・キモいわあ」




病院ロビーで御互いの現状やコレからを話していると───




「あれ、颯太ん家のオバさん!?

こ・・こんにちは!」




知らん少年に話しかけられた。


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