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135『40代オッサン、【変換機】開発部門部長。 18歳女、読モ。』


「見ての通り、彼女の魔力は我等【人土】の中の誰よりも高い」


「「「「・・・・・・っ」」」」




俺の攻撃魔法を見た【人土】の代表達は萎縮している。




「・・・・ハァ。

山柄さん、『わざと』でしょう?」


「バレたかい」


「「「───はあ!?」」」




田坂以外の代表が驚く。


山柄さんとは短い付き合いだけど、俺が家族や仲間を侮辱されたら ( 普通、誰でもアタリ前だと思うけど ) すぐにキレる性格だと分かっているハズ。


自分の仲間である『あの代表の女』が、ああいう紹介の仕方をしたらリャター夫人達を侮辱するってのも分かっていたハズ。


どちらかに事前交渉してなけりゃ、『こうゆう結果』になると分かっていたハズ。


でも、何も言わないかった。

───多分、本気で代表等をビビらすため。




「ちょい、性格悪いです」


「済まないね。

こうでもしないと、コイツ等が本気にならないと思ったんでな」


「本気?」


「今回のアレやコレについて、だ」




田坂が話を引きつぐ。




「皆も、今や【歪み】と思われる【電波障害】が日本中で30箇所以上あるというのは知っているだろう」


「はい」


「単純に手が足りない。

単純に戦力が足りない。

それが全てだ」


「「「・・・・・・」」」


「特に戦力だ。

今回の事で小む───幹太どの達の実力・・と【空の口】側の戦力に対して理解した・・。

・・あれだけの魔物が【空の口】にとっては只の一戦力、雑魚に過ぎなかった・・。

大人しく、ボク達は封印に徹底すべきだ」




コイツ等とザレやビタを比べて・・魔力量はともかく、戦闘力だけなら戦闘経験豊富なザレ達が勝る。




「ボクが【人土】No.1魔力という事に胡座をかいていたように・・彼等だいひょうらも、【人土】以外の魔法使いなど、偽物扱いしただろう。

・・ボク達がどう、説得しようとな」


「俺がソイツ等に認めてもらう事のメリットは?」




正直・・どうでもイイ感がハンパない。

ビタも寝ているし、颯太も眠そうだ。

俺も帰って寝たい。




「一つは、【変換機】を渡せる事だね。」


「【変換機】?」


「山柄代表!!?」


「私達が使っている、『世界の何某』の動きを操る機械だよ。

一応、ウチの最高機密なんでね。

代表が認めた人間にしか渡せないんだ。

もちろん、全員分だよ」




【変換機】か。

ソレがあれば確かにだいぶ楽になる。


だけど、最後の私服代表の40代くらいのオッサンがくい下がる。




「た・・確かに幹太どのの実力、我等の実力不足は認めましょう。

・・ですがソレは私が以前から進言していた通り、警察や自衛隊と関係を密にすべきでは!?」


「魔法・魔法使いってのは、国家権力に取り込まれたってロクな事にならないよ」




最高権力者が魔法使いである異世界と比べりゃあな。

一般人にも魔法使いは、(【人土】しか居ないコッチと比べて ) 沢山いるし。




「ですが他の方々の分までというのは・・!?」


「先ず、颯太どのと源太どのは・・幹太どのと同等の戦力を持つ」


「あ・・あのチカラと同等・・!?」


「そしてそちらで寝ているビタどのは・・我等と同じ『三者』の子孫、【人花】だよ」


「じ・・【人花】!?

実在したのか・・!」


「リャターどのとザレどのは、普通の人間だが我々より魔物との戦闘経験が豊富である以上・・【変換機】は渡す」


「───みんな・・認めるか?」


「「・・・・・・はい」」

「「「「はい」」」」




私服代表は渋々・・スーツ代表は全員即答する。


スーツ組の本来の代表は全員、スパコンが弾きだした【歪み】に行っており───全てが【電波障害】、魔物つきらしい。


全箇所クワガタ以外が転移する前に封印出来たそうだけど全員実力不足を実感し、俺達をむしろ歓迎するとの事。




「さっき『一つは【変換機】』って言いましたけど、他に何かあるんですか?」


「・・異世界への扉を開く」


「「「「えええっっ!?」」」」




コレには組織の人間はもちろん、俺達もビックリ・・あれ?

源太ちゃんとリャター夫人は驚いてない。




「あ・・さっき別のヘリで───」


「うむ、この事に関するアレコレをな」




ちらりと源太ちゃんが颯太を見る。

・・・・・・??


颯太は寝惚けていて、一瞬意味が分からない感じだったけど山柄さんの言葉を理解するにつれ・・満面の笑みを浮かべてゆく。


・・そして、喜ぶ颯太を見て・・父さんが悲しそうな顔をする。



◆◆◆



会議終了の後。

このビルは山柄さんの家みたいなもんで、客が宿泊する施設もあるので『泊まってゆけ』との事。


一人一部屋を与えられたが、俺は颯太と同じ部屋へ。




「異世界・・かあ」


「楽しみだねぇ」


「ん?

んん・・」


「幹太、颯太・・ちょっと良いか?」




父さんだ。

後ろには源太ちゃんも居る。




「二人とも・・。

異世界の、異世界で知り合った人々の危機は分かる。

ひいては、この世界の危機だというのも分かる。

───だが・・別に二人でなくとも良いだろう!?」




やっぱり、この話か。

父さんの気持ちは痛いほど分かるけど・・異世界のみんなのピンチもな・・。




「颯太・・。

せっかく、せっかく日本に・・我が家に帰ってこれたんだぞ!?

次は・・いつ帰ってこれるか分からないかもしれないんだぞッ!!?」


「えっ・・?

で、でも・・向こうのみんながピンチだし・・幹太姉ちゃんの居るトコが僕の家だし・・」




───あ・・?

また、今一瞬、颯太が別人に感じた。

なんだ・・なんでこんな───




「顔は幹太が母さん似で・・颯太が父さん似じゃがのう」


「えっ?」


「性格は反対・・幹太が父さん似で───

颯太は母さん似じゃ。

・・儂もそうじゃからの」


「何の・・何の話さ!?」


「幹太と颯太・・御主達はな。

御互い魔法使いであってなお、気付いとらん嘘を付きあっておるんじゃ」




源太ちゃんが何を言っているか、よく分からない。

俺が颯太に、颯太が俺に、嘘をついている!??!?


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