134『働け、労働基準法。』
「御義父さん、ご無事でし───幹太!?
大丈夫か、幹太!?」
「だ あ い じ ょ お お ぶ う ぅ・・。
眠 い だ け ぇ・・」
父さんがァ・・魔力切れによる眠気でェ・・フラフラする俺を・・心配するゥ・・。
大丈夫だあって・・。
怪我ァ・・?
してなあい。
・・ほらあ。
◆◆◆
「・・ふぁわ~・・・あー?」
『御目覚めですか、御姉様。
お加減は如何ですか?』
俺・・ザレの膝枕で寝てて───
・・・・!?
寝ていたのか!??
皆との魔力パスは───繋がっている・・。
結界魔法とかは・・かかったまま、か。
んん??
ヘリコプターの中?
来る時、さんざん聞いた音と部屋だ。
眠かったのは確かだけど、まだ気絶する程じゃなかったハズだけどなあ?
「ん・・?
頭いたい」
『まあッ!? どうしましょう!?
御姉様が頭痛いんですって!?
どうしましょう、アヤカ!??』
「ぐっ・・大体ナニ言ってんのか分かんのがムカつくわ・・」
・・二人の反応で、大体分かるなあ。
なんか知らんけど彩佳にシバカれたらしい。
ソレで緊張の糸が切れたか。
( まさか気ィ失うほどに殴られた訳じゃないだろうし。)
・・まあ、いいや。
今、コッチのヘリには ( パイロットや山柄さんのスタッフ以外で ) 俺の他は、颯太・彩佳・ザレ・ビタ、の五人が乗っている。
つう事は、アッチのヘリには、源太ちゃん・父さん・リャター夫人・山柄さん、の四人か。
颯太は眠そうに舟をこきかけているし、ビタは完全に寝ている。
彩佳の妹、奈々を探し二回目にイ○ンに行った時が20時過ぎだったしな。
小学生と幼児に働かせ過ぎだ。
そういやザレもまだ中学生 ( 14歳 ) か。
どんな超ブラックだ。
・・すまん。
「アレからどうなったんだ?」
『一度、この乗り物をヤマエさんの拠点に持っていくそうです』
「燃料とかドウとかって言ってたよ。
組織の支部が近くにあるんだって。
・・ほんのちょっと嘘ついてたけど」
「───嘘? 山柄さんが?
・・悪意は?」
「全然なかったよ」
『ゲンタ様は普通になされていました。
心配無いのでは?
御姉様の頭の傷は心配ですが』
「そっか」
・・山柄さんの嘘、か。
魔法使い同士に嘘は通じない。
ソレでもついた嘘・・ねえ。
ガチの喧嘩に発展しつつある彩佳とザレを止めつつ、ヘリが目的地につくのを待つ。
◆◆◆
俺達の乗るヘリともう一機も、とあるビル屋上のヘリポートへ着陸。
田坂のヘリは地上のヘリポートへ。
もう一機から降りてくる面々の表情は
・・暗い。
いや、暗いというか───複雑だ。
何か問題があり・・その問題の相談を大人達だけでやったって感じか。
『な・・何でしょうか、御姉様?』
「オジさんの表情が・・特に・・ね」
「・・ま、まあ、この後話してくれるだろうさ」
大人組と合流するも・・敢えて今は聞かず、ビルから出てきたスタッフの案内に付いてゆく。
案内されたのはTVドラマで見るような会議室。
すでに何人かいて、田坂もいたが・・知らない人間もいる。
殆んどがスーツだけど、俺達以外で私服が四人いた。
他が山柄さんと田坂なんで、多分『【歪み】に結界をはれる8人』かな。
他のスーツ組が四人なんで、残りの四人の代理?
山柄さんがいかにも一番エライ人が座る場所に座る。
「先ずは秋原家とその関係者に、自己紹介を。
この八人が【人土】の代表とその代理だ」
「『【歪み】を直せる八人』で、良いんですよね?」
「ああ」
「で、彼女等が異世界へと旅立ち・・再びこの世界へと帰ってきた───
秋原 源太どの、秋原 幹太どの、秋原 颯太どの、だよ」
山柄さんの紹介に、山柄さんと田坂以外六人の表情が僅か変化する。
「その隣が異世界からのお客さん、ザレどの、リャター夫人、ビタどの、だ」
彼女等の紹介には・・六人が明らかに表情を変える。
「異世界からの客ゥ!?
【空の口】の手先じゃ───」
「クラスターミサイル」
私服の一人、俺よりちょい上・・18~9歳の女が、全部言い終える前に火球を40個ぐらいを放つ。
完全な自動追尾型じゃなく、人やテーブルに当たる寸前で止める。
「ひっ!?」
「なん・・【人土】でも無いのにこの魔力だと!?」
「な・・何よッ!?
アンタも【空の口】の手先か!?」
目に悪意を込め───
「【空の口】は関係ない。
向こうで何の見返りも無く助けてくれた仲間だ」
「「「・・・・・・」」」
「・・でも───熱っつ!?」
まだ反抗しようとしてきた女に火球を一個、服の端にぶつける。
上等な服っぽいし、一瞬で燃え広がるなんて事はない。
せいぜいで軽ヤケド程度だ。
「ちょっと・・幹太!?」
「幹太!?
やめるんだ!」
彩佳が引き・・父さんが止めるけど無視。
山柄さんが女を睨む。
「今のはアンタが悪いよ」
「でも・・」
「彼女達に謝罪しな」
「・・・・・・ッ!
───も・・申し訳・・有りませ・・ん・・でした・・・ッ!」
暫く女を睨み続け・・火球をある程度引っ込める。
父さんと彩佳が俺の様子に、源太ちゃんや颯太を見るけど・・さも俺が『当然の事をした』という雰囲気に青ざめていた。
一応、赤ちゃんの精神・・『呪い』については説明しているんだけどなあ?




