132『水曜スペシャル!これが地球の底だ!!人類未踏!気世界最大の地底大洞穴探検!!田坂探険の前に現れた謎の生物とは!?』
【歪み】のある山の頂上にヘリを着陸。
気持ち離れた場所に、ちょこんと田坂達のヘリも着陸する。
「本部からのデータは!?」
「ポイントda-116です!」
「よし、山柄たちより先に【歪み】を封印するのだ!」
「「「おおーッ!」」」
田坂達がポイントとやらに駆けてゆく。
「俺達も走っていった方が良いですか」
「封印をヤってくれるっていうなら、ヤらせておくさ。
本部から送られたデータを見たかい?
洞窟の中だよ。
弟くんでも一ッ飛びで行けない、入りくんだ場所だからね」
「うー・・幹太姉ちゃんゴメンね」
「大丈夫だ、颯太!
一緒に探険しようぜ!」
「うんっ!」
『道案内は任せて下さい』
てな訳で【人花】であるビタが植物の声を聞き、誰でも通れる最短ルートを使って現場まで歩いて行く。
父さんは山柄さんのスタッフと共にココにベースキャンプを張る手伝いをする事に。
俺達の事をよく分かっている父さんがサポートに回ってくれるのは有難い。
ビタ・山柄さん・彩佳・俺が陣形の真ん中、颯太と源太ちゃんが進行方向の前後を警戒。
リャター夫人とザレは全体的なフォロー。
「・・ぁぁ--・・っ」
何やら遠くから悲鳴が。
「田坂って人が崖に突っ込んで落ちかけてるんだよ」
「部下連中が迂回しようちゅうって、揉めとったら崖に突っ込みよった」
「颯太と源太爺ちゃん・・き、聞こえてんの・・?」
「うん!」
「・・・・・・」
「いや、俺も多少は視力とか上がったけどココまでじゃねえよ?」
まあ、魔法が使えるなら自己再生出来るだろ。
『あの方々が歩む道は 「 艱難辛苦 」 と植物が』
「あー・・まあいいや。
ほっとこ」
◆◆◆
「ふ・・フフフ、よくぞ此処まで来た・・な」
何処の魔王さんの台詞だよ。
【歪み】のある洞窟の入口には、俺達のパーティーと田坂達とほぼ同時に辿りついた。
・・遠回りだけど安全な道を歩いてきた俺達と違い、艱難辛苦な道を直進してきた田坂達はボロボロだったが。
『お姉さん、すみません・・。
ココからは所々にしか苔がはえてなく・・』
「仕方ないさビタ。
颯太、源太ちゃん、何か聞こえる?」
「蝙蝠や【なぁが】みたいなんは居らんの。
じゃが、羽虫っぽいんは聞こえるな」
「そーだねー。
例のクワガタだと思うけど」
人の声は聞こえないらしい。
でもまあ、こんな山奥まで黒キノコの洗脳だけで人間を連れてくるなんて不可能っぽいか。
ディッポファミリー傭兵団と旅していた時、よく頼まれていた
『汚水から水だけを抜き取り麗水を作る』
技術を、洞窟内の空気に利用して清浄化する。
「おお・・っ!」
「おお・・っ!」 じゃねえよ。
ボロボロで走れなくなって付いてくる田坂の部下が感嘆の声をだす。
「付いていってるんじゃない!
貴様達がボクの進行方向に付いて来ているんだっ!」
「・・ほっとこ」
走って置き去りにしたいけど、【歪み】を封印出来る山柄さんが 「 年寄りにはキツイ 」 と言うので仕方無く、共に進む。
◆◆◆
「コレは・・!?」
「皆、気をつけよ」
颯太と源太ちゃんが警戒を促す。
さっき、ヘリをとめた広場よりさらに広い場所に出た。
「ひいぃ・・ッ!?
お、お前達───ボクの側を離れるな!」
そこに居たのは・・壁、天井、ビッシリと集まったクワガタの群れ。
千か・・万か・・。
【電波障害】は広場の真ん中に存在する。
この中に飛びこまなくてはならないらしい。




