130『見た目はどう良く見ても、キ○タクの真似をする○リ。』
今もまた、TVクルーの車っぽいのが炎上する。
TVではその炎にまかれたレポーターらしいのが、ぐるぐると地面を転がって火を消していた。
『が・・ガソリンって結構、燃えるのねえ・・』
もう一機のヘリコプターから聞こえる ( 無線 )、リャター夫人の大胆な人命無視発言。
まあ、欲しがっていた車は、取り扱いを間違えれば炎上の危険があること ( 理由・小 ) と・・このレポーターが【ナーガ】から逃げる時、女性スタッフを突き飛ばしたのがしっかりTVに写っていたから ( 理由・大 )・・だけどな。
赤ん坊の精神で、悪意ある相手には欠片も同情出来ない俺や颯太に源太ちゃん。
母さん一筋で、女性に暴力をふるう男が信じられない父さん。
幼い頃から酷い男女差別を受けてきたザレ。
そういう娘達を助ける事に生涯をかけているリャター夫人。
俺達以外の人間にさほど興味が無いビタ。
皆からの無言の自業自得だろ感がはんぱない。
「いや・・アタシもコイツは最低だと思うけどさ、女性は助けなきゃ。
あと・・いざって時、見捨てたのがバレたらヤバいでしょ?」
「まあ・・そりゃそうか」
いくら陽炎魔法で正体を隠すとはいえ、 ( 既にヘリにはかけている。 回復した魔力による静音化つき。) 相手はTVだしな。
「颯太、源太ちゃん、魔力は大丈夫だよな!?
陽炎魔法をかける!」
「よーし、頑張るぞぉ!」
「もうエエかっ!?
降りるぞっ、降りるからの!?」
「お、御義父さんズルいですよ!?」
『あ、あのぉ・・御父様とゲンタ様・・・?
その・・御家族とはいえ、男女がガッチリ抱きあうサマは───ちょっとエッチですわ?』
何やってんだ、あの二人・・。
俺と颯太は魔力回復の為、僅かとはいえ仮眠をとったけど・・あのテンションだと源太ちゃん、寝てないな。
とにかく、イ○ンの時点では使えなかった魔力パスを通じての遠隔操作で颯太と源太ちゃんに陽炎魔法をかける。
「幹太姉ちゃん、行ってきまーす!」
「はァーっ・・やっと生きた心地じゃわい」
颯太と源太ちゃんがヘリからノーパラシュートで飛びおりる。
源太ちゃん・・ヘリん中は怖いのに、飛びおりるのは平気なん?
俺達の乗る、二機のヘリは現場近くにあった人気のない広場へと着陸。
パイロットさんと、広場の周囲にいた人が連絡をとりあっているのを見るに、あの人達も組織の人間みたいだな。
広場も彼等が人払いをしたらしい。
出入口に、工事中の看板が見える。
ヘリが着陸したのを確認し、ヘリの陽炎魔法を解き、俺達もヘリから降りる。
「どう、幹太?
陽炎魔法二人分と結界魔法六人分を遠隔で操作して・・魔力は足りているの?」
「イザって時の攻撃魔法用を考えるとギリギリだな。
ナンだカンだと今日は色々あったし」
「最初にニュースで言ってた───人を襲う新種のクワガタってのが見当たらないのよね・・。
【ナーガ】への援軍に飛んでくるかもしれないから、幹太は周囲への警戒。
アタシ達はそのサポートね」
「頼む」
『御姉様へのサポートは完璧でしてよ♡』
『植物は・・この広場にしか無いです。
でも種類は多いですね』
「フフフ、心配御無用だよ」
なんか20代後半くらいの、チャラいイケメン『風』の男が近付いてきた。
魔力有り・・【人土】か?
それも、以前山柄さんが言っていた『結界をはれる8人』の一人か?
「このボクが退治したんだよ」
「す・・凄いわ・・」
「フッ、それ程でも───」
「か、幹太・・フフフキャラよ!?」
「い、居るんもんだなあ」
「───あ?」
何やらイケメン『風』さんが引きつっている。
「や・・山柄さん?
貴女は随分と躾のなってない部下を飼っているようだ」
「田坂・・この連中は部下じゃないよ。
協力者さ」
「所詮・・貴女は我等【人土】の顔役というだけに過ぎない。
こんな重要な【歪み】は【人土】No.1魔力のボクのチームに任せて、気品もない貴女は───」
「おい、そこの『イケメン擬き』!」
「あ"あ"ん!?」
チンピラか。
「本当に全てのクワガタを退治出来たのか!?
他所で黒キノコを降り蒔くために居ないだけじゃないだろうな!?」
まだ何もしてない俺が、既に働いている ( らしい ) 奴に言えた義理じゃない。
・・でもコイツの山柄さんに対する横柄な物言いには腹がたつ。
本当は前話でヘリの着陸まで書きたかったのですが、初めて書きかけのデータが飛ぶという経験をしました。
気付いた時、生まれて初めて『酸素が喉が詰まる』という経験もしました。




