13『エロとは違うのだよ、エロとは。』
アレから一週間。
魔力制御が大分上手くなって、身体動かし用や攻撃用に魔力を廻せるようなった。
犬ゴリラと矢が糸で繋がっていたみたいな一矢・・颯太がアレでナニかを掴んだように、俺も魔法と関連づけて見てみよう。
俺と敵を、魔力のパスで繋げるとホーミングっぽくなるかもしれん。
ゲームスキルっぽく言えば、俺のスキル欄はほぼ全部、
自己再生魔法
炎魔法
土魔法
水魔法
魔力ブースト
・
・
といった『アクティブスキル』で埋まっている。
逆に颯太のスキル欄は、
チカラ+1
チカラ+2
チカラ+3
スピード+1
スピード+2
・
・
といった『パッシブスキル』で埋まってると思う。
( 基本、無意識で魔法を使ってるから。)
身体強化 ( の、ように見える ) 魔法はメキメキ成長してってるのに、炎だとかは今だに出せないらしい。
◆◆◆
「───痛ぅっ・・けどッ!」
死んでいたハズの神経も再生してきた。
自己再生魔法には鎮痛効果もあるらしく、他の魔法へ魔力を分割させると・・かなりキツい。
・・が、水筒に容れた樹脂油から野球ボール程の火球を生成し、クワガタ型の魔物の群に魔力の糸を持ってゆき・・───繋がった!
「大小自動追尾型魔法!」
大火球が飛び回りながら、パチンコ玉サイズの小火球をバラ撒く。
小火球は、糸が繋がった全ての魔物に外れる事無く当たる。
上手くいったッ!
この世界の魔法に『炎』や『雷』といった『属性括り』は無い( 筈 )。
魔力という原子を操り、任意の場所でどういう運動をさせるか・・を、イメージさえ出来れば物理学を飛び越して魔法という現象が起きる。
( 個人的には運動を加速させるイメージは簡単なんで炎魔法がやりやすいが。)
さて、ディッポファミリー傭兵団のみんなの方は───ブバァァ・・ッ───
俺は大量に出血する。
くっ、目眩が・・此処までなのか───
「か、幹太兄ちゃん・・大丈夫!?」
「颯太・・兄ちゃんじゃ無い、だろ?」
「あ・・そっか、僕達が兄弟ってバレちゃ駄目なんだっけ」
今の俺達は後方支援 ( 本当は颯太も前衛をやりたそうだけど、敵の数が多いんで俺の護衛 ) なんで、離れてのヒソヒソ話だから、他の皆には聞こえてないみたいだな。
「お~い・・カンタさん、ソウタちゃん大丈───
な、何スかこの血・・怪我したんスか!?」
「「・・・・ご、後免なさい」」
「───あ・・『呪い』ッスか。
無茶しないで下さいッスよ?
解けるまで頑張るッス!」
「蕩けるまで頑張る!!?」
──ブバァァ・・ッ──
「カンタさんっ!?」
「わあ、また鼻血鼻血!!」
「ア、アハハ・・・大丈夫だよジキア。
それより・・下、 ( 惜しいけど ) 仕舞いなよ」
「はああん!?
す、すいませんッス!!!」
はあ~ビックリしたあ。
ファンタジーのズボンのくせに、破けてボロンと、( ポロリ、じゃなくボロン・・日本は小さい国だ。) 飛び出すとは・・。
まったく・・あのクワガタの魔物、グッジョブ───じゃなかった、けしからん!
◆◆◆
「御姉チャンよう・・あいつ等をエロつって警戒してたじゃねェか」
「・・ハイ、分かってます。
自分が一番エロでした」
いや正確には───エロじゃない。
エロじゃないったら、ない。
・・やたら惚れっぽくなったのだ。
男の時は初恋の彩佳一筋だったのに。
万が一にもこの作品に御上品な恋愛を求めている方、ジャンルを間違えてますよ。




