126『台風中継などでたまに、スタッフに怪我して欲しいかのような指示を出しているのを見かける時があります。』
結界魔法の練習をしつつ考える。
・・【スライム細胞】、つまりは【人土】だ。
色々あったせいで、まだ詳しく山柄さんには聞いてない。
具体的な能力が分からない。
「【人花】は、植物操作が出来るんだよな」
「はい。
他には位置や種類が分かったり、成長させたりも出来るのです」
【人花】の先祖は『三者』の『聖者』と呼ばれた人らしい。
色んな薬草を種の状態で運べば、普通の旅医者の数百倍という量を持ち歩けるか。
もし『エリ草』や『アルラウネの花』まで操れるなら正に『聖者』だろうけど。
ヒーラーだな。
各種毒草でデバッファーとしても戦える。
俺達が戦った【アルラウネ】は蔦攻撃とかしか、しなかったけど本来はそんな戦い方だとか。
「【人狼】は変身出来るんだっけ」
「他の能力は分からんがの。
おそらくは、身体強化魔法 ( 作用半作用など ) と・・・肉体強化じゃろ」
身体強化魔法と肉体強化のWで強くなれるなら、チートLVの強さだろうな。
【犬ゴリラ】が、腕力だけなら『道破級』の中でもトップクラスらしい。
確か【人狼】は『三者』の『覇者』と呼ばれた人の子孫だったか。
まさしくアタッカーだな。
「【人土】は・・『賢者』っていう『三者』の子孫か」
「で、【スライム】の子孫でもあるんだよね」
「ああ」
『【スライム】の特徴といえば魔力吸収ですわね・・【人土】の方々もそうなのでしょうか?』
「うーん・・。
山柄さんって魔法を使ったり、魔力を見たり出来ていたしなあ」
「ザラクス殿はどっちも出来んかったぞ」
『私も一族のみんなも魔法は使えないのです・・。
・・ゴメンなさい・・』
「あ、謝ることじゃ無いって!
植物を操るなんて俺には無理だしな」
ソレで言うなら変身も出来無いし。
【人土】と魔力・・か。
『三種族』中、魔法を使えるのが【人土】か?
あるいは敵の魔法から魔力吸収出来るなら・・俺の天敵に成りうる。
【スライム細胞】を俺が使うメリットは───能力が分かんない以上、有無も分からん。
山柄さんに渡すメリットはデカイだろう。
理解者のパワーアップは助かる。
『あと、ヤマエさんの組織が開発したっていう───魔力と反応してしまう【此方の何某】を使う技術も気になるトコロねえ』
「あー・・。
山柄さんは結界を張るのに使っているらしいけど・・利用法次第では颯太や源太ちゃんが魔力切れを起こさなくなるかも」
「ちうか、ソッチが先じゃったんじゃないんか?
【空の口】ゆうんは滅多に出んのじゃろ」
『自分達が魔法を使う手段を捜しているウチに、色々応用法を発見したわけですのね』
ああ、なるほど。
自分の生活・・あるいは生き死にに関係する技術だろうし。
「───っと、颯太。
ちょっと結界魔法を試してみて良いか?」
「うん、やってやって!」
「じゃあ・・結界魔法 ( 仮 ) !!」
颯太の周りに、【スライム細胞】【人土】について考察しつつ創った魔法を試す。
ようはパスを繋いだ敵に優先して飛んでいく自動追尾型の魔法を───
魔力原子単位で、
『近付く【世界のナニか】だけ』に自動追尾させ、対消滅させる魔法だ。
整体師の木島さんのトコロでやった、魔力を塗り薬のように塗布する技術をヒントに 「結界魔法 ( 仮 )」 を颯太に纏わりつかせてゆく。
「どうだ?」
「なんか・・魔力が僕の中でケイケイする感覚が無くなった!」
源太ちゃんにも使う。
「成程のう、あの常に魔法を使いよるような消費感は・・無うなったわい」
俺自身にも使用。
というか、普段俺から漏れ出る魔力を迎撃用にする。
・・よし。
若干だけど体内の消費感が無くなり、魔力回復力が上がる。
「『世界と世界の境界線が薄い場所』で実験出来れば良いんだけど・・たぶん、山柄さんの言う結界魔法は『コッチの技術』と絡ませて使うから『結界魔法 ( 仮 )』とは運用とか色々違───」
≪──キコーン・・キコーン──≫
「うん?
ニュース速報かの?」
俺達、日本人三人全員が咄嗟に反応したんで異世界組も 「 何事!? 」 と言わんばかりに言葉の分からないTVを注視する。
〔先程の『新種の生物による怪我人が出た』というニュースの続報です!
○○県○○市にて現場を調べていた警官に怪我が出たとの事です!
同行しているTVスタッフを呼んでみましょう、ギハラさんゾラジロー!?〕
〔ゼエ・・ゼエ・・・・!
はっ・・はいっ、ギハラ・・です・・!
現場はパニック状態で・・我々は慌てて逃げだし───あれっ、ゾラジロー?
何処だ、ゾラジローぉぉっ!??〕
〔ギ・・ギハラさん!?
もっと詳しく現場の状況を映し───〕
〔『シャラララララッ!』〕
〔ひいっっ!?
奴等・・追ってきてっ!??
───あっ、ゾラ・・ジロー・・!?〕
TVには、巨大なコブラが数匹映っていた。
TVスタッフと思われる人や警官を・・軽々とくわえて───




