122『「黒」がゲシュタルト崩壊しました。』
申し訳有りません。
急用により短いです。
「今までの【歪み】に【電波障害】なんて無かったんですよね?
魔女の手先が転移した【歪み】に【電波障害】が発生するんでしょうか?」
「今まで、年に2~3件しか【歪み】なんて発生しない上に、すべて封印に成功してきたからね・・。
なんとも言えないけど、最悪を想定すりゃあそうだろうさ」
手先・・俺の魔法だと自動追尾の【クラスターミサイル】に近いのか?
「・・・・で?
スパコン4台分の演算を魔法で済ます、大魔法使い様はなにか分かるのかい?」
「何本か、帯が伸びているんですよねー」
「帯?」
「何かこう・・穴───たぶん『境界線の薄い場所』から煙みたいなんが出てて・・そっから、こう煙の帯が数本・・」
「ふぅん・・ソレがもし見た通り煙なら、小ちゃく速い奴が複数飛び出したって感じだね」
小さく速い、か・・。
魔物だと候補が多過ぎる。
「この帯を一直線に伸ばしたとしたらその先は───怪我人が出たって場所だな・・。
・・空飛ぶ系なら鳥か虫か・・」
「幹太姉ちゃん、虫の脚が落ちてる!」
颯太が指差す先は100mぐらい先の件の現場近く。
「ワタシも目ぇ良い方だけどさ・・。
本場帰りは違うね・・」
「いやいや、颯太が凄過ぎるだけで俺はソコまでじゃ無いですから・・。
まあとにかく、証拠品かもしれないし行ってみよう」
「ワタシはこの穴を塞ぐ結界をはってるよ。
狼か花の【核】が有ると助かるんだけどね?」
「ビタが二人で出掛けるなら何か有ったときの為に・・と」
「助かる・・おほっ、さすが本場の【人花】が暫く持ってただけあって、渡す前よりパワーアップしているよ!
・・ちなみに【狼の核】は?
アンタ等のパーティに【人狼】は居ないのかい?」
「いえ・・。
ちょうど【人狼】の里へ向かう前に残した用を片付けていた時───コッチへ転移しちゃったんです。
源太ちゃんの話だと、ソレまで光ってなかったのに・・恋人の【人狼】が死んだ時から光るようになったと」
「なるほどね。
本部に有る【土の核】もそうだよ。
だから【人土】たる者、末期の時は枕元に【土の核】を置くシキタリなのさ」
血の薄まった【人土】が何人死のうとあの【狼の核】程じゃ無いけどねと、山柄さんは自嘲気味に言う。
いや、重いって。
若干、逃げるように颯太が見た虫の脚の元へ。
「ゴキブリにしちゃあデカいなあ」
「んー、どっかで見た気がするねえ」
「そうだな」
ドコでだっけ・・と思案していると───ん?
何だ、この虫の脚に絡まった黒いの。
ゴミか?
でも微かに魔力が残っているな。
「黒いの、黒いの、黒い・・黒い川・・・・黒キノコ!?」
かつて【コカトリス】が起こした黒い川。
その正体は【コカトリス】の腹で共生する黒色のキノコで、【石 ( 茸 ) 化ブレス】により他の生物に胞子をバラ蒔き繁殖する。
黒キノコに寄生された生物は、操られ、更に胞子を撒き散らしながら他の生物を襲う。
そうやって黒キノコは広範囲に子孫を残し、【コカトリス】は見返りに操られた一部が自ら食べられに【コカトリス】の元へ集まる。
「虫の脚に絡まっているの・・菌糸か?
コレが黒キノコの欠片かどうか分かんないけど、もしそうなら・・『村破級【コカトリス】』が転移してて騒ぎに為らない訳ないし、寄生された虫が転移したって事でイイのか?」
「だとしたら、襲われた怪我人って・・」
「黒キノコに寄生された可能性有り!?」
「なら今すぐ病院に行かなきゃ!」
「いや、ソレは山柄さんに任せよう。
ソレより感染源の、黒キノコに寄生された虫を探さないと感染が広がるばっかだ!」
「あそっか、でもどうやって!?」
颯太と源太ちゃんは転移してすぐ魔力切れを起こした。
でも転移痕の魔力は暫く残っていた。
魔力と人の心は密接関係に有る。
「心の無い虫や黒キノコや寄生された生物は、まだ魔力が残っているのかもしれない。
さっきみたいに魔力痕を探そう!」
「でも時間が」
「仕方がない・・走る!」




