117『Q.作者に妹萌えは有りません。 何故でしょう? A.コスプレしたり、BL同人誌を書いたりしながら 「 あーオタクきもっ! 」 が口癖の妹がいたから。』
イ○ンに到着。
異世界組が目を輝かせる。
まあ貴族御用達店でなく、庶民用・・しかもほぼ日用品ばかりを扱う店でこの大きさは向こうでは有り得ない。
父さんは休んだ仕事の分、車内でノートPCにて作業しつつ颯太を見るとの事。
カードを預かり、いざ買い物。
「魔物の素材が有るなら買い取るよ」
という・・RPGみたいな台詞を言う山柄さんに手持ちの素材を幾つか渡し、結構な額の日本円を貰ってあるので必要ないかもしれないけど。
取敢ず入り口すぐの婦人服売場へ。
『まあまあ♡
服のデザインも良いけど商品の陳列の仕方が面白いわあ♡
取敢ずあの真っ白な人形 ( マネキン ) が欲しいわねぇ~』
『大人の服しかないです』
「ビタの子供服売場は別場所だなあ」
『ワタクシにもちょっと合いませんわ』
「ちょいシックな感じじゃしな。
儂はせっかく動けるようなったんじゃし、スポーツ用品店の服を見たいわい」
「確かスポーツ系は東じゃなくて西よ。
子供系もその近くじゃなかったかしら?」
目を輝かせる異世界組と対称的に・・店員さんの目が、スゲえ泳いでいる。
美人の外人、三人にいつ話かけられるか気が気じゃないみたいだなあ。
日本人の俺達にチラチラ目線を走らせ、「 お前達だけでなんとかしろよ!? 」と、言外に言ってくる。
どっちにしろ、俺達の望む服売場ではなかったので案内板の所へ。
「コレが現在地で───
俺やザレの服は二階、源太ちゃんとリャター夫人とビタの服は一階西かあ。
一端二手に分かれようか」
「構わんぞ」
『ええ』
リャター夫人はお洒落より元騎士として、日本の技術で作られた運動着に興味があるらしい。
なので源太ちゃんと一緒。
「昨日教えた時計、あのデカイのの長針が上にきたらまたココに。
みんな魔法が使えない事を忘れないようにね」
◆◆◆
俺とザレと彩佳は二階、中高女子向け店へ。
「アンタ、恋愛感情は両刀使いになって・・」
「別に両刀って訳・・・・・・・・・・」
「長いっ!!」『長いっ!!』
仲イイなあ。
「服の趣味は?
アレ ( 日本に再転移してきた時の服 ) って女物?」
「あー・・インプリンティングって言うのかな、転移して最初に着た系統好きになってる。
颯太はフリルリボン好きで、源太ちゃんも異国情緒溢れる系の服が ( デザインは ) 好きだし」
「幹太は?」
「・・・・その事でちょい話がある・・」
「な、何よ・・!?」
俺の変なタメに彩佳がいぶかしむ。
ザレをチラリと見ると・・俺の意図を理解してくれたようだ。
長い袖をめくってくれる。
「・・な、何・・?
その包帯・・巨大な魔力を隠しているとか・・!?」
「───コレでも・・さ。
だいぶ再生したんだぞ。
元は肘から先、ほぼほぼ無かったからな」
彩佳が、最初は 「 ま、またまたァ~ 」 という感じだったけど・・俺とザレの表情に、徐々にアウアウしだす。
再転移した夜、父さんと彩佳に異世界の出来事を話した。
・・腕、以外。
犬ゴリラ相手に魔法を暴走させた事、そのトラウマ、【アルラウネの花】を使う決意───
ちょっとづつ、ちょっとづつ話しを続け彩佳の気を落ちつかせる。
「───って訳で、今もちょっとづつ再生してるんだ」
「・・その【アルラウネの花】を使ったらピッ○ロみたいに生えんの・・?」
「いや・・あんな直ぐには生えないと思うけど」
取敢ず軽口はたたける程度に震えは止まった。
・・まだ微かに表情固いけど。
「俺、袖が無い・・腕が全部出てる服を買って、父さんの前に出るよ」
「オジさん、卒倒しかねないわね」
『御父様も話したら分かってくれますわ・・!』
ソレから三人で服を買う。
アンタ胸デカすぎ、だとか。
彩佳とザレが明らかにアキラカな服を薦めあって言いあらそいになったり、だとか。
店員に注意されたり、だとか。
まあ、ソレなりに楽しかった。
下着を試着してサラシやカボチャパンツよか履き心地は良いな、という・・少なくとも身体は完全に女になった話をすると───フイに彩佳の顔に愁いが漂うのは・・申し訳無かったが。
◆◆◆
「そろそろ時間だな」
『えーっと・・ああ、本当ですわね』
「なら、待ち合わせ場所に行───」
「───ん?
なんで彩佳がこんなトコ居んの?」
「奈々・・!?
あ、アンタこそ学校は!?」
急に彩佳に声がかけられる。
この・・彩佳にちょっと似ている声は・・。
『・・知り合いですの?』
「ああ・・。
彩佳の妹だ」
彩佳と1歳違いの妹、海野 奈々。
この子とは付き合いが殆んどない。
いわゆる『ギャル』で・・進学校に通ってなお、成績上位なのも手伝い基本的に裏表が激しく人を舐めている。
「げっ、隣のババアじゃん!?
なんで!?
事故で死んだんじゃ・・!?」
「───・・。
・・親戚で別人です」
「ああ、そう・・」
悪意が洩れ出てる。
下種な男共とは違う・・ドロドロとした、何か。
「幹太は?
アンタが学校サボってまでこんなトコ居んの、知ってんの?」
「学校は・・ちょっと───
奈々こそ学校どうしたのよ」
「・・あたしは馬鹿なアンタと違って多少学校サボっても怒られないのよ♡
・・ソレにしても・・ふぅん、アンタがサボりねぇ。
この事を───」
『───ごちゃごちゃ五月蝿いですわよ、貴女っ!!』
ザレが不機嫌な様子を隠さず、彩佳と奈々の間に割り込んだ。




