111『今回『・』が滅茶苦茶多いです。』
「施術完了・・っと。
幹太君どうだい?」
「魔力の流れが・・凄く安定しています!
強く綺麗で──しかも身体から、魔力がちょっと漏れだしたっ!」
源太ちゃんは身体強化魔法しか使えない。
言いかえれば魔力の運用に応用力が無く・・身体に魔力が流れている場所と、流れていない場所がある。
ソレに加え、彩佳の言っていた若返りや病、完治したとはいえ魔力的負担は有るみたいだ。
淀み、と、言いかえても良いかもしれない。
その淀みが減った感じ。
『まあまあ!
ソレっていずれは・・?』
『魔力が溜まればお姉さんのように目覚めるのですね』
流石ゴッドハンドって自慢しているだけの事はある!
嬉しさのあまり、木島さんに抱きつくと彩佳とザレに引っぺり剥がされ、怒られた。
理不尽なり。
「き、木島さん!
息子・・颯太にも施術出来ませんか!?」
「颯太君か・・子供だし健康には問題無いし───
整体術は効果が薄いかもねぇ・・。
無論、出来る限りやってみるけどさぁ」
木島さんが颯太の身体を触診し初める。
颯太の小っちゃい身体を、木島さんの大人の大きい手でまさぐるんで、施術すべき場所以外をどうしても触ってしまう。
「───ん・・、・・・んん・・ふ・・・・あっ」
「・・・・」「・・・・」「・・・・」「・・・・」『・・・・』『・・・・』『・・皆さん、どうしたのですか?』
リャター夫人がホホホとクチに手をあてつつビタを撫でる。
「・・木島さん?」
正直、感情レーダーで善意が見えてなかったら───
「・・幹太、この人ホントに信用出来るの?」
「いやっ!?
難しいんだってば!?」
「んぁ・・っ」
「ほらッ・・幹太君だって!?」
・・まあ、指半本分のスペースに患部と変な部分が隣接してたりで、難しいのは難しいんだけど。
◆◆◆
颯太の施術も終了。
源太ちゃんと同じく魔力が漏れだした。
いずれ目覚めるだろう。
「けど・・病を完治させた反動か無理な若返りのせい、なのかな・・?
色んな病気や怪我の人を触ってきた俺がよく分かんない症状・・手が届かない深いトコが・・ね。
やっぱ対処療法だよ。
たぶん今までの月一~二から、週一は最低ウチに来てもらうかしないと」
「ソレは仕方無いでしょう・・。
御義父さんの命には変えられません」
「幹太君はどうすんの?
魔力を安定供給できるのは幹太君だけだよ?
・・つまり一生源ちゃんに付きっきりさ」
「「・・えっ?」」
「・・お、俺は源太ちゃんの為ならソレでも───」
彩佳とザレが・・俺を挟む。
「幹太、たぶん源太爺ちゃんはそんな事望んでないわ」
『御姉様、ソレは腕の時と同じ話です』
───源太ちゃんは病気が治り本気で喜んでいた。
向こうでザラクスって人の敵を討つ目的もある。
コッチの世界より異世界の方が源太ちゃんは───
──ドンドンドンッッ!!!──
──ピンポーンピンポーンピンピンピンピンポーン────
「わっ!?」『きゃあ!?』
「き、木島さん!?
お客さんですか!?」
「いや・・もしかして・・・!
ご免ね、ちょい待っててね」
木島さんが玄関へ。
「・・・・昨日・・・・っ!?
あれほど・・・・いいから・・・・!」
「・・・・だから・・・・!?」
微かに聞こえる声だと、かなり気の荒い御婆さんっぽい。
なんか木島さんに対してスゲエ怒ってる・・?
木島さんの施術が気にくわなかった客か?
「あっ・・ちょっ───」
──どすどすどす・・っ──
「ふんっ、また結界を張り直さねばなら・・ん・・!?」
どうやら、御婆さんが木島さんを押し除けて無理矢理入ってきたみたい。
木島さん以外に人がいると思ってなかったのか、大層たまげた顔をして───
「な・・なんで異世界人が居るんじゃあー!?」
「・・へっ?」
御婆さんからは、微かに魔力が漏れ出ていた。
───彼女は・・魔法使いだ。




