110『この前、たまたまミキサー車がコンクリを流すのを見たのですが、映画ほど 「 埋める 」 のには適さない感じでした。』
すみません。
頭痛で、遅刻な上に短いです。
『ほぁ~・・スゴいですね。
車 ( タイヤ ) がなければ、鉄の猪かと思います』
『ソレだ! 思うよな!?』
『あらあら、あの大きいのの荷台・・もしかして全部砂利!?
あの量をあの速度で・・商会に欲しいわあ・・♡』
『あー・・ちょい無理っぽいですね』
『アヤカさんは、あちらの車の方がお似合いだと思いますわ?』
『アレ・・ゴミ収集車だけど、たまたまだよな?』
「ザレ、あんたアッチの車のオプション使ってみない?」
「ミキサー車のオプションって何だよ!?
使うって、どう!?」
前半二人はファンタジーから日本への転移テンプレで微笑ましいが、後半二人のギスギス感が凄い。
彩佳は産まれた時から、ザレも数ヵ月の付き合いだけど・・二人のこんなん初めて見た。
怖い。
「幹太・・父さんは母さんが初恋だったから女性経験は無いに等しいので、こうゆうのは、よく分からないが・・悲しませちゃあ駄目だぞ?」
「えっ!? 俺のせい!??」
最初は喧嘩だった彩佳とザレだけど───俺達が異世界転移した事、女体化した事を伝えて、颯太と源太ちゃんが弱っている事を伝えてからは・・協力して颯太と源太ちゃんの世話をしてくれた。
その、言葉も通じないのに阿吽の呼吸で協力する様に・・仲直りしたんだ、むしろ相性ピッタリだと思っていたぐらいだ。
「トランクルームに乗る? ( ニッコリ♡ )」
『前の熱いトコ(エンジンルーム)に乗られます? ( ニッコリ♡ )』
・・わあ、相性ピッタリ♡
( 負の。)
◆◆◆
木島整体店に到着。
『はあ、申し訳ないわねぇ。
ゲンタさんの様子を見なければならないのに、ついつい『日本』の技術に目移りしちゃってぇ・・!
この窓の真透明ぐあいにしても・・!』
リャター夫人は経営者としては物凄いが、発明家でもないし文明のブレイクスルーとかは心配しなくても良い・・のか?
まあとにかく、源太ちゃんと木島さんだ。
本来、まだ開店前だけど事前連絡はしてある。
店舗兼自宅のこの店にいる筈だ。
インターホンを鳴らし、店の中へ。
「や、やあ・・幹太君久しぶり~・・ぃ?」
「ど、どうもォ・・」
「はあ・・電話でちょっとは聞いたけど・・こうゆう事だったんだァ・・。
魔法的なチカラなのかなァ?」
「け、結構簡単に信じてくれるんですね」
「俺、孫に付き合ってゲームするウチに割と本気でハマっちゃってね。
まあ理解力は無くは無いつもりだよ?
───で、コッチが源ちゃ・・スゲエ美人になってるじゃん!?」
言って、源太ちゃんの顔や首筋をさわる木島さん。
イヤらしさは感じないし感情レーダーでも悪意は一切ない。
完全に整体のためだけなんだろう。
「源太ちゃんもそうだったけどさあ・・。
身体が弱った人を整体し続けてると、『気』って実在するんじゃね?
・・と思う瞬間はあるよ」
「木島さんはそうゆうの、分かる人じゃあ・・」
「ないない!
そんなん有ったらもっと儲かってるよ!
───でも、今の源ちゃんは・・そうだな・・ココとココが大きく、あとは全身に細かいのが転々と・・変なコリ方してんだよねぇ。
筋肉やリンパとか関係ない場所なのにさあ」
「ソレって昨晩、源太爺ちゃんにヒビいった場所じゃなかったかしら?」
「ひ、ヒビ・・?
うーん・・幹太君、ちょいそのヒビ痕・・ココからこう、魔力を塗るように流せる?」
「こうですか?」
「うん・・うん・・・・うん? うーん・・。
あ、ココが───」
指示された場所へ魔力を塗布? していく。
木島さんが魔力を塗られた患部の反応を、確認しつつ整体を続けていくと・・気のせいか、源太ちゃんの血色が良くなってきたみたいだ。




