109『主に音ゲーにハマっていた時期のです。』
源太ちゃんの全身にはヒビが入っていた。
そのヒビは、細かい小さなモノだけど結構深く見える・・が、血は一滴も出ていない。
と同時に、ヒビ部分からは一切の魔力が見えない。
『御姉様! ゲンタ様が突然・・!』
颯太と源太ちゃんはこの世界に転移してスグ、気絶するほどに魔力を消費した。
けど───
さっき行方不明の女生徒達を調べた時、リャター夫人達が異世界転移した痕跡は暫く残っていた。
心の動きがあるぶん、人の魔力の方が『世界のナニか』と反応しやすいのかもしれない。
ソレにしたって源太ちゃんの消費は酷い・・普通の魔法使いと比べ、俺達チート組は魔力の回復力も高いのに。
「ぐっ!? ぐがあァぁぁアあ・・っ!」
「お、御義父さん・・!?
び、病院・・救急車を───」
「父さん、どいて!」
コッチの病院で魔力回復手段があるとは思えない───
「───魔力譲渡・・!!」
源太ちゃんの呻きを聞いて───
頭が白くなったら・・とか為るまえに、頭がカラッポに為った。
源太ちゃん源太ちゃん源太ちゃん源太ちゃん源太ちゃん源太ちゃん源太ちゃん・・!
◆◆◆
「幹太っ!!!」
『御姉様っ!!!』
「───っ・・!?」
気付いたら目の前に彩佳とザレがいた。
突きとばされた? らしい。
源太ちゃんの様子は・・安定している。
逆に俺は・・軽く気絶する程度には消費していたようだ。
「心配・・させないでよ・・・。
アンタまで源太爺ちゃんみたいに成ったらと思うと・・・・」
『御姉様・・御姉様ぁ・・!』
『・・・す、済まん・・つい───
俺はどうなってた?
源太ちゃんみたくヒビいったりは・・』
『していないのです』
『颯太は?』
『ずーっと変わらず、ねぇ。
良くも悪くもなってないわ』
「ね、ねえ幹太。
アンタ達、魔力量はおんなじなの?」
「え? あ、いや・・。
颯太と源太ちゃんは、魔力切れを起こした事がないからなあ・・。
恐らくだけど普通の魔法使いの数十倍で、俺が数百倍とからしいけど」
「魔力の回復力は?」
「起きている時と気絶している時とじゃ違うんだけど・・大体魔力量に比例する? のかな?」
「そう・・。
たぶん颯太がちょうど、魔力の消費と回復が吊りあってるのね・・。
んで、幹太が上回っているから動ける。
源太爺ちゃんは下回ったからこんな事になったのかしら?」
「そんな・・!?
なら颯太はずっと目覚めず、御義父さんはずっと身体が崩壊し続けると言うのかい!?」
「ドコかパワースポットとか異世界と同じような魔力を安定吸収出来る場所があれば良いんですけど・・」
「さっき回った時は───
例えば○○神社は寧ろ『世界のナニか』が濃かった気がする」
ココで一旦、彩佳が家に帰った。
ネットでパワースポットを調べるらしい。
帰り際、ポソッと一人言のつもりで
「もし病気とか若返りが原因なら・・源太爺ちゃんは・・コッチではもう───」
と、言っていたのが聞こえた。
◆◆◆
『時計の見方は分かった?』
『はい、この針がココからココまで動いたら交代ですわね』
父さん以外、皆同じ部屋で寝る事に。
俺はイザという時の為、ギリギリまで魔力回復させた方が良いという訳で、起こされるまで寝る。
異世界組の三人は順番で源太ちゃんを見張り、異常があれば俺を起こす手筈になっている。
『───パワースポット、か・・』
病院がどこまで信用出来るか分からない。
( まあイキナリ捕まって解剖・・なんてのは、漫画だろうけど。)
『あ・・木島さん・・!』
『お姉さん?』
『ああ・・源太ちゃんの昔馴染みで、俺と颯太も世話になった事がある凄腕整体師さんが居るんだ。
駄目元で明日、源太ちゃんを連れていこう』
以前ちょっとしたイザコザがあった時、木島さんは自分が不利になるのに助けてくれた事があった。
あの人は信用出来る。
◆◆◆
とくに源太ちゃんに異常は起きず次の日。
父さんに木島さんの所へ源太ちゃんを連れていきたいというと、会社を休んで車を出してくれる事に。
彩佳に電話すると彩佳も学校を休んで付いてくるそうだ。
『あとはみんなの服だな。
歩かないとはいえ万が一、昨日みたいな騒動になっても困るし・・然りとて、服屋に行っている間に源太ちゃんが急変したらヤバいし・・。
( 同じ理由で朝飯もウチ。)
彩佳に借りるかなあ・・?』
『そっ・・ソレなら、おおお御姉様の服を・・!』
『え・・? 俺の服?
うーん・・』
『元々、服に贅沢言える生活では無かったので私はどうとでも』
『騎士団時代は酷い服を二週間ぐらい着るなんて当たり前だもの~、問題ナイわぁ』
男の時の服だからなあ・・。
160cm無い今と違い、182cm時の服だ。
しかもポッチャリじゃない───
縦横が大部違う( 泣 )。
( コレでも転移直後よりは痩せた・・ハズ。)
ビタには颯太の服でも問題無いけど・・結局、むかし彩佳が変なラッパーファッションにハマって勧められて買った、丈は短いけどダボダボなヤツを───あ、コレでも胸入んないなあ・・。
『あら? このサイズ・・もしかして・・!?
御姉様、旅の間にずいぶん・・♡』
『あらあら~その秘訣興味あるわァ♡』
『人間・・侮り難し・・!』
・・まあ、嘘は言ってない。
暫くして彩佳がウチへ。
ザレが俺の服を着ているのを ( リャター夫人は無視して ) 見て───
「・・ちょっとォ?」
『ふふんっ♡』
───なんか急に部屋の温度が下がった。
なんで!?
君ら最終的に仲直りしていたじゃん!?
たまたま作者が見たラッパーだけ、変に丈が短かくダボダボな服を着ていただけで世のラッパーは違うのかもしれませんが少なくともこの作品世界では皆、そうゆう格好です。
偏見です。




